私の運用実績2022年10月

円安なので資産額は上昇

運用実績は今年3月と並んで過去最高です。ただし、それは円安によって、見かけ上の金額が大きくなっているだけですから、1~2年後に、1ドル120円前後になれば、評価額が下落するかもしれません。

ドル円の動向は、資産評価額を大きく変動させる要素ですが、それは、経済政策、金融政策によっても変動します。イギリスでは9月に、株式、国債、ポンドのトリプル安によって、新首相が2か月足らずで交代することになりましたが、日本でもそのような心配はないのでしょうか。

日経CNBCでは、二つの見方が紹介されていますので、それを確認しましょう。


日経CNBC イギリス金融市場と日本への教訓

1.見方1

英米のGDPギャップはプラス

イギリスでは、家賃水道光熱費が2022年に入って急上昇しています。前年比20%で、これからもっと上がると想定されています。一般の家庭で年間50万円ベースになると言われています。前年比では5倍になります。コロナからの回復途上なのに、それに輪をかけて苦境に陥っているので、前トラス政権は何とかしようとしました。それで結構大きな規模の減税と財政政策を発表しました。これは日本的に言うと、GDPの2%、約12~3兆円ですから、結構大きかったのですが、これが結論から言うと、市場からノーを突き付けられたのです。9月に政策を発表したところ、国債の金利が3%から一気に4%に跳ね上がりました。これは相当なショックで、住宅ローン金利も上がりました。一方でポンドドルは下落しています。これらの政策は、市場から受け入れられずに取り下げたのですが、その原因は、GDPギャップです。経済の総需要と総供給を比べて、プラスなら需要が多い。イギリスとアメリカはプラス、一方で日本はマイナス。マイナスは、企業収益が低く、デフレになるので、今までは弱点だったのです。ところが、今はプラスだと、逆に不利になります。なぜなら、需要が強いのでインフレ圧力が高くなり、経済政策を打つ余地が実体的にもうないからです。イギリスで減税を行うと、買うものが無いのに、モノを買う金を庶民に渡しますから、インフレの火に油を注ぐことになるので、物価面で無理な状態になります。そして、この原資には国債を発行するので、市場に買ってもらわなければならないのですが、これだけの規模の国債を買いたい人はいません。いないからこそ金利が上がってしまったのです。

アメリカは金利を上げる

アメリカの需給ギャップは2022年が1.6%、2023年が1.5%なので、消費を抑えようとして金利を上げています。庶民生活が苦しいので財政政策を実施していますが、その原資はほかのところから調達しようとしているが、これはかなり難しい。そういう芸当がスナク政権ができるかどうか。

  • 国           2021年           2022年           2023年
  • 豪州       -1.0%                  1.0                       0.9
  • ドイツ    -2.1                      -1.1                      -0.3
  • フランス-1.8                      -0.5                      -0.6
  • イタリア-4.1                      -1.2                      -0.3
  • 日本       -2.6                      -1.7                      -0.4
  • 英国       -0.1                      0.4                       -0.7
  • 米国       0.3                       1.6                       1.5

日本への教訓

日本はGDPギャップがマイナスなので、そうなるかどうかはわかりませんが、潜在成長率、つまり、余っている人、余っている機械がどれくらいあるか、需要サイドの変動がどれくらいかによって変わってきます。

日本はイギリス型か、アメリカ型か

日銀の推計では日本の6月のGDPギャップは-0.6%ですが、その後のリオープン、経済再開、インバウンドを考えると、9月にはプラスになっている可能性があり、その場合には日本も大きな経済対策をとることは考えにくくなる。一言でいうと、最近のイギリスとあまり変わらないかもしれません。

GDPギャップは、内閣府、IMF、日銀の3種類

総合経済対策は日銀ではなく、内閣府の推計に基づいて行うので、今回の経済対策は大きすぎるということが問題になってきている。大きすぎる経済対策は、物価が上がることになる。具体的には、需要が高まれば、人が足りないので賃上げして人をとることになる。政治家は公共事業が大好き。

2.英国と大きく異なる日本の財政状況

英米は需要超過

米英日は自国通貨建ての国債を発行し続けるとインフレになる。インフレ目標2%なのにすでに9%にインフレになっているところに財政出動するとさらにインフレが加速する。日本とイギリスは全然違う。日本のインフレ率は3%だし、コア指数では0.9%に過ぎない。イギリスは経済が過熱していますが、日本はまだ経済が冷え込んでいる状態。それを端的に見れるのがGDPギャップ。IMFによると、アメリカとイギリスは去年の段階で需要超過、つまり過熱しています。こういう状況において、ネットで財政出動すると経済は過熱するので財政出動できない。

日本はコストプッシュ型インフレ

日本は、国内を見ると需要が足りない。つまり、国内の需要と関係なく輸入品の物価が上がっているからインフレになっている。つまり、コストプッシュ型インフレになっている。アメリカやイギリスはデフレになっていないんで、一般庶民は、もっとモノの値段が上がると考えて経済が過熱しやすいが、日本はデフレマインドが染みついてしまっていて、物価が上がると節約する。

29兆円の経済対策で

内閣府のGDPギャップを15兆円にするとインフレ率が0%になり、さらに15兆円財政出動すると2%のインフレ目標を達成できます。合計で30兆円。総合経済対策が29兆円とすると、実際の需要はそれ以上になることはない。マーケットは29兆円。

クレジット・アナリストの考えている通貨の信任は数値化できている。

5年債のデフォルト確率 2022/10/19時点

  • イタリア              2.40%
  • イギリス              0.68
  • カナダ                  0.55
  • フランス              0.40
  • アメリカ              0.36
  • 日本                     0.33
  • ドイツ                  0.28

国債の信任確率

  • 一般政府純債務/GDP:   日本は最大
  • 経常収支      : 英国は赤字で、日本はドイツに次ぐ黒字
  • 対外純資産     : 世界最大
  • 一般政府対外債務比率: 日本は最小

政府純利払い費(対DGP)

この4つだけ見ても足りず、もっとビビッドにみるデータがあります。最近アメリカの財務省が、政府の財政に対する信認を見る指標として政府純利払い費(対DGP)を見ている。低い順から、カナダ、ドイツ、日本の順になっている。イギリスはイタリアに次いで高い。日本はこれを見て需要を作ってみていこうということ。

日本の純利払い費が低いのは、日銀が金利を抑え込んでいるからで、自由にしたらもっと上昇するはず。

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