バイ・アンド・ホールド
連れ合いは、2007年に1000万円で投資を始め、数年後から追加投資を行って、現在は投資元本の1.69倍になりました。
資産 169 = 元本 100 + 運用益 69
この式が成立するということは、1回も引き出していないということを意味しています。つまり バイ・アンド・ホールド Buy And Holdを実践しているということです。
2022年に入って、アメリカを始め、世界の株価は下落しましたが、円が安くなったために資産評価額は過去最高水準で推移しています。
為替レートは「気分とノリ」で決まる
先月アメリカのアトランタ空港に寄った時、ビックマックは日本の2.6倍の値段でした。現在のドル円為替レートは、適正な水準なのでしょうか。適正な為替レートを計算する式はないと言われ、ある経済学者は、「気分とノリ」で決まるとさえ言っています。
今回は、国際通貨研究所のデータで購買力を平価を勉強します。
購買力平価
購買力平価とは、為替相場は、短期的に様々な要因で振れることがあっても、長期的には二国間の財・サービスの価格が均衡する水準に収束するという理論です。よく使われるのがマクドナルドのビッグマックの価格です。例えば日本で360円、米国で4.7ドルで売られているのであれば、そこから導かれるドル円の購買力平価は360÷4.7=76.59で、1ドル=76.59円です。2015年5月現在の1ドル=120円の円相場は、非常に円安ということになります。
購買力平価は、時系列的な均衡水準の推移を示すこともできます。日米間の価格差が小さい時点を起点として、その後1年のインフレ率が日本が0%、米国が3%だったとしますと、米国の方が通貨価値が3%下落しているのですから、1年後の為替相場も3%ドル安に均衡水準が移ったとみなします。この計算を繰り返して均衡点を連ねていくと、ドル円の購買力平価のグラフが書けます。この線と比べて実際の円相場が割安なのか割高なのか目安がつきます。ちなみに2015年4月時点を見ますと、実勢相場は均衡水準よりかなり円安にあることがわかります。日本は何でも安いと大勢の外国人観光客が来る一因はそこにあります。
ドル円購買力平価と実勢相場 2022年10月
- 紺色の線:実勢相場 139.33円/ドル
- 赤色の線:消費者物価108.87
- 緑色の線:企業物価 88.76
- 水色の線:輸出物価 83.41
購買力平価が83ドル、88ドル、108ドルなのに、実勢相場は139ドルです。理論と実際がこれだけかけ離れているのも珍しいと言えるでしょう。
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購買力平価はどのように算出されますか?
次式で算出できます。
相対的購買力平価=基準となる為替相場×(日本の**指数/外国の**指数)
以下の指数を当てはめると、それぞれ「消費者物価 PPP」、「企業物価PPP」、「輸出物価 PPP」を求めることができます。
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消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)とは?
全国の世帯が購入する各種商品(財やサービス)の価格の平均的な変動を測定するものです。
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企業物価指数(CGPI:Corporate Goods Price Index)とは?
企業間で取引される財に関する物価の変動を測定するものです。
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輸出物価指数(EPI:Export Price Index)とは?
輸出品の物価の変動を測定するものです。購買力平価の水準を知ることはどのようなことに役立ちますか?
実際の為替相場が購買力平価と一致していることは稀ですが、為替相場は長期的には購買力平価に沿って推移することが一般的です。
つまり、為替相場が購買力平価から大きく乖離している時は、いずれ購買力平価の水準に向かって動くだろうという相場の将来の方向性を知る手掛かりになります。また、現在の為替相場が購買力平価よりも通貨高に乖離していれば輸出に不利な状況にあり、通貨安に乖離していれば輸出に有利な状況にあるといったように、為替相場がもたらす国際競争力への影響を知る手掛かりともなります。
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「ドル円購買力平価と実勢相場」のグラフにおいて 1973 年を基準にしているのはなぜですか?
ブレトンウッズ体制と呼ばれた戦後の国際的な固定相場制度が崩壊した 1971 年から 2 年が経ち、ドル円相場は一旦その頃に日米の実体経済を反映した水準に落ち着いたであろうという見方に基づいています。実際、その頃の日本の経常収支はほぼバランスしていたことも有力な根拠となっています。
その結果でもありますが、1973 年を起点とする購買力平価分析は、その後の実勢レートとの関係を見ても整合的であるため、ドル円においては 1973 年を購買力平価分析の起点にとることがエコノミストの間で定着していると言っていいでしょう。
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購買力平価のグラフが示すものは?
物価全般が上昇することはその国の通貨価値が下がることを表します(通貨相場の下落)。
ドル円のグラフを例にとると、変動相場制に移行した 1973 年以降アメリカの物価上昇率は、日本の物価上昇率よりも趨勢的に高いのでドルの購買力は円と比較して低下し、ドル相場は円に対して長期的に下落していることが見て取れます。また、1981 年から当時のレーガン政権が採った強いドル政策のために、ドル相場が購買力平価を離れて割高になり、結局 1985 年のプラザ合意で大幅調整を受けることになった姿もグラフから読み取れます。