魚は日本人が良く食し、体にもよいと言われていますが、気を付けなければいけない点もあるそうです。PRESIDENT Online 2023/05/04を見てみましょう。
実は「魚の干物」は健康や美容の敵である…魚を食べるなら「刺身、蒸す、煮る」の順に選ぶべき理由
ただしクサヤだけは「クサヤ・パラドックス」がある
特に「天日干し」は避けたほうがいい
魚は身体にいいからと、冷凍庫に干物を入れておく。忙しい時など、それを解凍して焼いて食べる。
健康にも良さそうな方法ではあるが、実は「干物」は健康や美容の敵であることをご存知だろうか。
製法や保存方法によって酸化の度合いは異なる
健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏は「天日乾燥は温度、酸素、紫外線によって酸化が進み、加工後にも酸化が進む」と指摘する。
「製法や保存方法によって酸化の度合いは異なりますが、一例として図Aは干物にした後の酸化具合の変化です。昔ながらの灰干製法(魚を特殊なフィルムに包み、火山灰の中で魚の水分を取る干物の製法)で干物を作れば脂肪酸の酸化が進みにくいといわれるものの、それでも本来、健康や美容に良い作用があるはずのオメガ3の酸化を完全に防ぐことができず、体に悪影響をおよぼします」
缶詰であれば、EPAやDHAが酸化されていない
酸化に加えてもう一つ、干物のデメリットは塩分の多さだ。干す前に魚を塩水に漬けることが多いため、どうしても過剰な塩分摂取になってしまう。例えばマアジ(生)なら100グラムあたりの食塩相当量が0・3グラムだが、開いて干すと2グラムにも。
「干物の良さは、保存が利くこと。ビタミンDが多いことの2点のみ。けれども保存食であれば、サバ、イワシ、ツナなどの缶詰のほうがいいと思います。もちろんこちらも塩分は高いのですが、EPAやDHA(オメガ3)が酸化されていませんし、缶汁ごと野菜にかければ汁に流れ出たオメガ3も取ることができます。そういった食べ方なら、野菜には塩分排出を促すカリウムが豊富ですので、デメリットを消すこともできます」(望月氏)
同じようにどうしても干物が食べたいなら、レモン汁をかけるなど抗酸化成分を合わせて摂取すれば多少は緩和されるかもしれない。また金目鯛のような白身魚は脂質が少なく、オメガ3の効能がほとんどないかわりに酸化しにくいので、白身魚の干物を選ぶのもいいだろう。
栄養素を失わない調理法としてベストは刺身
調理法として、酸化と塩分過多の点から干物はお勧めできないが、フライもまた「糖化」という観点からNG。糖化とは、食品に含まれるタンパク質と糖質と結びついて劣化する反応のことで、その時、AGEという悪玉物質が発生する。
AGEは高温加熱による調理過程で生まれるのだが、多量に摂取すると、その一部が体内に蓄積し、悪影響をおよぼす。例えば肌が黄色っぽくくすんでくるのは、AGEが茶褐色の物質のため。肌の奥にAGEがたまれば、コラーゲン繊維の機能が低下し、硬い皮膚になったりシワができやすくなったりする。
「アジを例にすると、アジフライであれば衣がついているから酸化はしにくいですが、糖化はします。美容健康の観点から、栄養素を失わない調理法としてベストは刺身。二番目は蒸す(ホイル焼き)。次に煮る(味噌煮など)、四つ目が焼く、最後に揚げるの順です」(堀氏)
ヨーグルトについても気を付けるべき点があります。
PRESIDENT Online 2023/05/07 を見てみましょう。
血糖値を下げ、老化を防ぎ、免疫力を高める…最強の健康食品「ヨーグルト」で唯一注意するべきこと
「飲むヨーグルト」は無糖プレーンでも避けたほうがいい
悪玉物質「AGE」の発生を抑える効果がある
第1回の魚、第2回の野菜ジュースで老化を促進する悪玉物質「AGE」が発生する危険性を指摘した。体内にAGEが蓄積されると老化が進み、病を発症しやすくなる。ヨーグルトにはそれを食い止める効果がある。今回は、その効果を高める食べ方と注意点を紹介する。
前回のおさらいになるが、AGEは「タンパク質と糖」が結びつき、劣化(糖化)する現象で発生する。食品では“きつね色”が糖化の証し。カステラやプリンなどの茶色の部分、格子状のワッフルの焼き目、どら焼きや今川焼きの皮など、おいしいところにはAGEが多く含まれている。そういったAGEを含んだ食品を多量に摂取することでも体に悪影響をおよぼすが、食品だけでなく体内でも血糖値が急上昇すれば糖化が進み、AGEが発生する。
昭和大学医学部の山岸昌一教授がこう説明する。
「私たちの体内でも同じように高血糖によってコラーゲン(タンパク質)がAGE化すると老化が進むということです。体中のコラーゲンがAGE化するとシミやシワなどの老け顔になったり、動脈硬化が起きたり、骨がもろくなる、変形性関節症の発症などさまざまな機能障害が起きてしまいます」
血糖値の上昇を抑え、抗糖化作用をもつ
そこでAGEを発生させないためには、こんがり色の食品を避ける、血糖値が急上昇しないような食べ方をするなどが効果的だ。第2回で紹介したように液体の糖類摂取をやめたり、あるいは野菜から食べるなど、要は「糖質がすぐさま腸に吸収されること」を防げばいい。
ここで活躍するのがヨーグルトだ。
同志社大学生命医科学部糖化ストレス研究センター客員教授の八木雅之氏は長年の研究により、ヨーグルトが血糖値の上昇を抑え、抗糖化作用をもつことを突き止めた。
「野菜類や果物に含まれるフラボノイドというポリフェノールの一種に強力な抗炎症作用があり、糖化を抑える働きがあります。それはもともとよく知られていたことでもありますが、私たちも改めて確かめました。続いて我々の研究では、ポリフェノールがあるはずのないヨーグルトにも糖化を抑える反応があるということがわかりました。ヨーグルトを食事に取り入れることで血糖値が上がりにくくなるのです。この作用は牛乳にはありません」
八木氏らが▽米飯のみ▽野菜サラダと米▽ヨーグルトと米という3パターンで食後血糖値を比較したところ、「ヨーグルトと米」の組み合わせは「野菜サラダから先に食べる」食事法と同等以上に、食後の血糖値を下げることがわかった(A図)。食前摂取でも食後でもその結果は変わらない。食事は、「野菜から」だけではなく「ヨーグルトファースト」でもいいということだ。
固形から液体にすると血糖値上昇を招きやすい
また、重要な注意点がある。ヨーグルトが美容健康に良いのはわかっていても、毎日食するのは大変だからと「飲むタイプのヨーグルト」を選んではいないだろうか。第2回で紹介した野菜ジュース・果物ジュースのように、ヨーグルトもまた固形から液体にすることで糖質の吸収効率が高まり、血糖値上昇を招きやすい。