最近発表された市区町村別平均寿命です。
NHKの2023年5月13日の記事です。
平均寿命 川崎 麻生区が男女とも最長 厚労省調査
3年前の全国の市区町村別の平均寿命で、最も長寿だったのは男女とも川崎市麻生区で男性は84歳、女性は89.2歳だったことが厚生労働省の調査で分かりました。
厚生労働省は、国勢調査のデータをもとに、5年ごとに全国の市区町村別の平均寿命を調査していて、今回は3年前、令和2年の結果をまとめました。
それによりますと、平均寿命が最も長かったのは、
男性では、
▽川崎市麻生区で84歳
次いで、
▽横浜市青葉区が83.9歳
▽長野県宮田村が83.4歳となりました。
女性では、
▽川崎市麻生区が89.2歳
次いで、
▽熊本県益城町と
▽長野県高森町がいずれも89歳となりました。
また、最も短かったのは男女とも大阪市西成区で、
▽男性が73.2歳
▽女性が84.9歳でした。
平均寿命が最も長いところと短いところの差は、
▽男性は10.8歳
▽女性は4.2歳となりました。
全国平均では、
▽男性は81.5歳
▽女性は87.6歳で、
男女の平均寿命の差は6.1歳となりました。
東京23区の平均寿命を見てみます。
目黒、太田、世田谷、渋谷の男の寿命が83歳以上、台東、墨田、荒川、足立、葛飾、江戸川が80歳代なので、所得と相関がありそうです。
全国の中で大阪と並んで青森県が圧倒的に悪い結果でした。Web東奥の2023年5月12日の記事を見てみましょう。
平均寿命下位10、半数超が青森県内市町村
平均寿命が短い全国市区町村のワースト10位に、男性は青森県の7市町村、女性は6市町村が含まれ、青森県の自治体が半数以上を占めていることが12日、厚生労働省の「2020年市区町村別生命表」で分かった。ワースト50位まで広げると、男性は32市町村、女性は24市町村が青森県の自治体。前回15年調査に比べ、県全体の平均寿命は延びているものの、全国平均との差は開いた。短命県返上への道のりは、厳しい状況が続いている。
一方、寿命の長い神奈川県川崎市は、寿命の短い地区もあるので、その理由を見てみましょう。2019年4月5日の現代ビジネスを見てみましょう。
長寿ナンバー2とワースト11が同居する川崎市から何を学ぶか
全国的に見ても不思議な町
厚生労働省が2018年7月に公表した簡易生命表によると、2017年の日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性は87.26歳で過去最高を更新している。喜ばしい限りだが、都道府県別に見ると、第1位の滋賀県と最下位の青森県では男性は3.11歳、女性は第1位の長野県と最下位の青森県では1.74歳の開きがある。
同じ日本で、なぜこれほどの「寿命格差」がでるのだろう。この手のデータが公表された後は決まって、ご長寿県の郷土料理や習慣が注目されるが、平均寿命の地域差には、実はもっと気になることがある。同じ都市のなかでの地域間格差だ。
都道府県別平均寿命では、男性が5位、女性が17位で、特筆すべきことはないように見える神奈川県だが、2018年1月に発表された市町村別の平均寿命(2015年)では、トップ10に横浜市と川崎市の各区がずらりとランクインしている。
市町村別平均寿命 上位10
男性
1 神奈川県横浜市青葉区83.3
2 神奈川県川崎市麻生区83.1
3 東京都世田谷区82.8
4 神奈川県横浜市都筑区82.7
5 滋賀県草津市82.6
6 大阪府吹田市82.6
7 大阪府箕面市82.5
8 長野県大町市82.5
9 奈良県生駒市82.4
10 神奈川県川崎市宮前区82.4
女性
1 沖縄県中頭郡北中城村89.0
2 沖縄県中頭郡中城村88.8
3 沖縄県名護市88.8
4 神奈川県川崎市麻生区88.6
5 石川県野々市市88.6
6 神奈川県横浜市都筑区88.5
7 熊本県菊池郡菊陽町88.5
8 東京都世田谷区88.5
9 神奈川県横浜市青葉区88.5
10 神奈川県川崎市宮前区88.4
この調査は5年に一度行われるが、前回2010年では、男性の2位が川崎市宮前区で82.1歳、3位が横浜市都筑区で82.1歳、8位が横浜市青葉区81.9歳で、ベスト10に神奈川県の3つの地域がランクインしていた(女性は入っていない)。
つまり、市町村別でみると横浜市と川崎市は、日本一の長寿地域ということになのである。これはちょっと驚きではないだろうか。特に川崎市は、工業地帯というイメージが強く、昭和の頃には「川崎ぜんそく」と呼ばれる公害病まであった。しかし、今では大転換を果たしたのだ。
ただ、後述の通り、改善しつつあるも転換しきれていない地域もある。川崎市川崎区だ。
市町村別平均寿命のワースト50には、川崎市川崎区の男性が78.2歳で、下から数えて11位に入っている。トップ4の麻生区の83.1歳との差は4.9歳。都道府県別の1位と最下位の差よりもさらに大きなこの差は、どこから生じるのだろうか。
筆者は川崎市宮前区住まい。川崎市に住む一人の住人として、この問題を様々な視点から比べて、考えてみた。
さまざまな数字で見る川崎市の南北差
川崎市は東京都と横浜市に挟まれた、南北に細長い地形の大都市だ。南東部(臨海部)は重工業地帯、北西部(丘陵部)は、東京のベッドタウンともいうべき住宅地域という性格の違う2つの顔を持つ。
かつては、「公害の町」として知られていたが、1972年に全国に先駆けて「公害防止条例」が制定され、改善の努力がかさねられたこともあって、現在は大気・水質とも、国の基準値を達成。北西部は緑も多く、ホタルが生息する美しい里山保全地域もある。
この川崎市に「南北問題」があることは、以前から知られていた。南東部の川崎区と北西部の麻生区、宮前区には、様々な違いがあるというのだ。
具体的にはどのような違いか。数字で比較してみよう。
所得
2012年の川崎市の生活保護率は2.23%(全国平均は1.65%)。多摩、麻生、宮前、中原、高津の北部5区が平均1.49%なのに対し、川崎区は4倍の6.05%。
平均世帯年収は、麻生区が678万円なのに対して、川崎区は491万円。世帯年収1000万円以上の富裕層の割合は麻生区17.64%、川崎区6.35%。ちなみに年収1000万円以上の世帯の割合は全国平均で8.6%である。
(「日本最大級の富裕層限定クラブ “YUCASEE(ゆかし)”」が、神奈川県の「平成25年度市町村税課税状況等の調」をもとに算出)
教育
15歳以上人口の卒業者(卒業して在学していない者)に対する、短大・高専・大学・大学院の卒業者の比率と首都圏(東京、千葉、埼玉、神奈川)ランキング。麻生区は53.1%で3位、川崎区は23.7%で147位(川崎市中最下位)。
(【都道府県】貴志原の情報局【市区町村】が2005年国勢調査データより算出)
治安
平成30年の犯罪認知件数は麻生区517件に対し、川崎区は2237件と4倍以上。
(神奈川県警察 犯罪統計資料 平成30年確定値より)
愛着
川崎市が2017年に実施した調査では、自身が暮らす区に住むことの推奨度(NPS:ネット・プロモート・スコア)は、麻生区が20.8に対して、川崎区はマイナス14.1。