確定拠出年金の実態 2023年

確定拠出年金実態調査結果が2023年3月23日、企業年金連合会から発表されましたので見てみましょう。

⇒は、私の意見です。

調査結果のポイント

2021年4月から2022年3月までの期間の平均運用利回りは、3.5%(前回12.7%)制度導入からの平均運用利回り(年率)は、3.8%(前回4.3%)

3.5%の平均運用利回りを高いとみる人もいるでしょうが、私は低いと思います。年金は確定拠出年金だけでなく、厚生年金や人によっては確定給付年金もあるので、全体のバランスから見ると、株式、特に外国株式のパッシブファンドを中心に運用した方が良いと思います。元本確保型や債券に投資すると運用利回りは低くなります。私は2001年から外国株式パッシブファンドに100%投資したので、約20年間で3.6倍に評価額が増えました。元本確保型商品は、インフレ率2%の時代にあっては、毎年2%価値が損なわれます。

資産残高ベースでの投資信託の割合は、55.1%に上昇(前回52.1%)。掛金ベースでの投資信託に対する配分割合は、57.4%に上昇(前回53.4%)

⇒投資信託の割合が増えたことは良いことですが、アクティブ型の投資信託では、2~3%の手数料を支払うことになりますので、です。アクティブという名前はパッシブというよりも積極的で勇ましく思う人もいますが、積極的にコストを増やしているだけで、投資家にとってはそんな選択です。

運用商品の追加を行った、もしくは検討しているは40.7%。運用商品の除外を行ったもしくは検討しているは、7.2%。

⇒会社によっては、低コストの商品しか採用しないという立派なところもありますが、多くの企業の年金担当者は、金融機関の言いなりになって、アクティブファンドをたくさん載せています。その結果社員は自分の利益を削って、金融機関にもうけさせてあげることになります。基本的に信託報酬が0.2%の商品しか、まともな商品はないと考えたほうが良いでしょう。

指定運用方法(運用指図をしていない加入者について、一定の手続きを経たうえで本人による運用指図があったとみなして購入される運用商品のことを指定運用方法という。)を採用している割合は、38.2%(前回40.5%)。具体的な指定運用方法は、元本確保型商品が69.7%(前回75.7%)、バランス型投資信託が29.5%(前回23.6%)

継続投資教育の実施率は、81.5%(前回78.8%)に上昇このうち、87.2%の企業が直近3年以内に実施

運用商品のモニタリング結果()確定拠出年金制度において、運用商品の選定等及び運用商品に関する情報提供並びに記録管理、運用指図の取りまとめ等を行う機関。)確認の実施率は、89.4%(前回84.8%)に上昇運営管理機関の評価等の実施率は、37.6%(前回35.6%)に上昇

2021年度の運用利回り

2021年4月から2022年3月までの期間の運用利回りの平均は、3.5%(前回12.7%)

制度導入からの平均運用利回り

制度導入から2021年度までの運用利回り(年率)の平均は、3.8%(前回4.3%)

想定利回り

想定利回りの平均は、1.91%

資産配分

資産残高ベースでの投資信託の割合は、55.1%(前回52.1%)。掛金ベースでの投資信託に対する配分割合は、57.4%(前回53.4%)

元本確保型商品のみで運用する加入者

元本確保型商品のみで運用する加入者が8割以上の企業が5.0%

運用商品┃本数

運用商品の本数の平均は21.5本(前回20.3本)

運用商品┃元本確保型商品

元本確保型商品は、平均して4.6本選定うち、定期預金が2.4本、保険商品が2.2本

運用商品┃投資信託

投資信託の選定状況は次のとおりで、国内株式においては、パッシブ型よりもアクティブ型が多く選定されている。

左から、国内株式、国内債券、外国株式、国内不動産、外国不動産、バランス型資産配分固定型、バランス型リスクコントロール型。緑が合計、オレンジがパッシブ、水色がアクティブ。

⇒私のお勧めは左から3本目の外国株式パッシブです。1.6%しか選択していませんが、最も有望な選択だと思います。

運用商品┃ラインアップの見直し

商品の追加を行ったもしくは検討しているは、40.7%商品の除外を行ったもしくは検討しているは、7.2%

⇒ 商品が多すぎて、迷っているうちにアクティブファンドを選んでしまう人が多いのですから、信託報酬が0.2%以上の商品を削除すると社員の福利厚生としては合格点をあげられるでしょう。

指定運用方法の採用状況

38.2%の企業が指定運用方法(運用指図をしていない加入者について、一定の手続きを経たうえで本人による運用指図があったとみなして購入される運用商品のことを指定運用方法という。)を採用うち、29.5%がバランス型投資信託を採用

具体的な指定方法:

  • 元本確保型商品:69.7%
  • 資産配分固定型:9.1%
  • ターゲットイヤー型:14.2%
  • リスクコントロール型:4.7%

マッチング拠出の実施状況

マッチング拠出(加入者による掛金の上乗せ拠出)を実施している企業は、55.2%(前回53.1%)

(注)企業型確定拠出年金では、会社が拠出する掛金に加えて、加入者本人が掛金を上乗せして拠出することができます。 このしくみを「マッチング拠出」といいます。

マッチング拠出の利用状況

マッチング拠出の利用率の平均は、34.3%(前回32.6%)

利用率が2割に満たない企業は、34.3%(前回39.1%)

加入者掛金┃(拠出限度額が2.75万円の企業)

加入者掛金(月額)の平均は、6,040円

加入者掛金┃(拠出限度額が5.5万円の企業)

加入者掛金(月額)の平均は、8,692円

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