ビックマックの価格で考える為替レート

◎今日のグラフ:ビックマック1個の各国の価格

日本の物価はかなり低い

最近ニュージーランドを12日間旅行しましたが、その際必ずスーパーマーケットで各種商品の値段を確認します。そこで思ったのがニュージーランドの物価の高さです。ビーフ、ラムといった肉は畜産国として、輸出の主要品目です。また、キーウィ、リンゴなどの果物も生産が盛んです。ところが、原産地であるにもかかわらず、東京の通常のスーパーマーケット、肉屋、八百屋の値段とあまり変わりません。それ以外の日常生活品は、日本より確実に高いのです。観光地を案内していただいた日本人のガイドさんも、日本よりニュージーランドの方が、はっきりと物価が高いとお話しされていました。感覚的には、1割~2割ではなく、3割~4割~5割という印象でした。この物価の高さはニュージーランドだけでなく、昨年旅行したアメリカ合衆国フロリダ、イタリアのミラノなどでも同じような価格水準でした。

ビックマックの価格

そこで、公益財団法人 国際金融情報センター  各国の物価水準(日本の物価との比較)(2017年3月29日)のうちのビックマックの価格を調べてグラフにしました。

国・都市 ビックマック1個(日本390円を100とする。)
中国・北京 63.6
香港 65.4
タイ 90.5
韓国 104.7
シンガポール 105.8
ベルギー 138.3
米国・ワシントン 146.8
オーストラリア 155.8

欧米の先進国は日本より物価がかなり高い

アメリカやオーストラリアは新大陸の広大な土地を利用して放牧しているので、日本よりビーフの価格はかなり安いはずです。しかし、ビックマックは日本の5割高です。ベルギーのあるEUは、農業補助金を大量に支出しているのでビーフはかなり安いはずですが、それでもビックマックは日本の4割高です。

現在の為替レートは、円安では?

農産物や食品の価格形成について、私は詳しくはありませんが、ビックマックの価格を形成しているものは、

  1. 商品自体の価格
  2. 流通コスト
  3. 為替レート

の3つだろうと思います。このうち、1の商品自体の価格は上に述べた、農業という産業の強さで決定されます。ビーフに関しては、アメリカ、オーストラリアに比べて日本は割高といえます。次に流通コストについては、日本は東京など消費地が一か所に集中している上に、過去20年以上にわたって低コスト化を進めてきたので、割安といえるでしょう。最後の為替レートについては、感覚的には、円安の影響だろうと思います。為替レートによる日本の物価安は、感覚的には20%~30程度だろうと思います。調査時点は2017年2月で、その時の為替レートは、115円/ドルでした。従って、本来の為替レートは80~90円ぐらいが妥当なのではないかと思うようになりました。私の保有している金融資産は、内外のETFなので、円安になった方がありがたいのですが、冷静に客観的データを見ると、本来の適正な為替レート水準は100円を上回ることはないかなと思います。

物価以外の要素としての円売り、金利差

物価だけで為替レートの水準が決まるわけではありません。最近は、日本企業による外国企業の買収によって、円が売られています。また、個人投資家も投資信託などを通じて外国株、外貨ETFを買っていますから、その際、円が売られています。そして、当面は日本の金利がゼロのままアメリカの長期金利が上昇していますから、これも円安の重要な要因です。

円高になる覚悟が必要かもしれません。

現在は日米の長期金利差が開くことを前提にして、為替レートが105円前後で推移していますが、もしかすると、ドルに対して円高になって日米貿易不均衡が是正されるべきだというトランプ大統領の主張は、本来の姿に近づくきっかけになるかもしれないという覚悟は必要かもしれません。

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