癌について、TBSラジオの「生島宏のおはよう定食・一直線」で放送されました内容のメモです。
東京大学医学部附属病院放射線科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授 中川恵一
- 癌の予防には筋トレ・運動が大切
- 癌は日本人の死因のトップで2021年にはおよそ28万1千人が亡くなっている
- がん検診を受けるペースは、多くの癌では1年1回。特に大腸がん、肺がんは毎年。胃がん、子宮頸がん、乳がんは2年に一度が標準。
- 市区町村からがん検診の郵便が来るので、それを基本的に受けるのが良い。子宮頸がんは20歳から来るし、それ以外は40歳から来る。あれが一番お勧めです。
- ただし、日本の受診率は約4割。欧米は8割なので半分くらい。
- 日本は、学校で癌のことを習わない変わった国です。今、授業で入っているし、指導要領も変わっているんです。でも、大人たちは全然そういうことを習っていないので、乳がん、子宮頸がん、前立せんがんは男女の9人に一人が罹患。身近な癌。
- 乳がんはセルフチェック、自分でチェックすることができる。だから、毎月やって、2年に1回マンモグラフィー。
- もともと日本の癌は、胃がんが代表だった。映画とか、ドラマとか、白い巨塔とか、黒澤明の「生きる」とか、主人公の癌は胃がんだった。確かに圧倒的に多かった。私は63歳で、昭和35年生まれなんですけど、その時の男の癌死亡の3分の2肺がんだった。
- それは冷蔵庫のせいなんです。冷蔵庫で胃がんが減るというのは、子供の頃のピロリ菌感染が、どんどん減っているんです。それは食べ物が衛生的になってきて、その主役は冷蔵庫です。
- 一方、大腸がんは野菜不足、肉食、それから、体を動かさない。欧米型の不活発が原因の癌です。
- 感染型の胃がんは冷蔵庫で減ってゆき、体を動かさないから大腸がんになった。食べ物や社会とともに変わっていく。
- 大腸がんは日本の癌で一番多い。
- 大腸がんの検査は検便。これはやらなければ損。私の近しいものも、大腸がんで48歳で死にました。検便をやってなかったんです。本当にもったいなかった。
- ポリープが大腸がんにつながって来る。だから、定期的にチェックして、ポリープはとっておいたほうが良い。
- 胃のポリープは、健康の証。同じポリープでも大腸のポリープは癌の芽。
- 大腸のポリープは、大きくて複雑な形のものはとりにくいけど、今、技量のある医者は大体外来で取っている。
- 日本の男性の癌で一番多い、9人に一人が前立腺。これは放射線向き。
- 胃がんは手術向き。
- 前立腺がんは欧米型の代表で、肉食にも関係する。東大病院の場合、たった5回の通院。治療室に入ってから出るまで7分。ですから、痛くもかゆくもない。放射線で薬という言葉があるけど、患部の温度は500分の1度くらいしか上がらない。これは正直言って放射線がお勧めです。
- 欧米では、癌患者の6割が放射線治療を受けている。日本では4人に一人からせいぜい3人に一人、半分ですよね。もったいない気がします。
- 習ってないですからね、学校で。大人の癌教育が必要。
癌の予防策
- タバコを吸わない。酒はほどほど。というのはたぶん常識だと思う。
- そのほかには、運動・筋トレ。これが年末、年始はダメになる。そこで私は縄跳びを買いました。
- 握力を鍛えるグリップ。
- こういうのは、雪が降っても寒くてもできるので大事。
- 食べ過ぎ、飲み過ぎは避ける。
- 赤くなる人の深酒は本当に危険。赤くなる人は、日本と朝鮮半島くらいで、本当にまれなので、特殊な民族。
- 赤くなって、3合飲むと、食道がん50倍です。
- 食道がんは、野菜果物が防ぎます。それから熱いものはダメで、鍋なんかは食道がんになる。
- それから、歯磨き。歯磨きをすればすい臓がんまで減らす。歯周病菌は、アセトアルデヒドを作るので、歯を磨いてないと、口の中から食道に発がん物質が流れ込む。
- 運動して、歯磨きをする。
- 体重計にもこまめに乗る。私は1日2回乗っています。500g単位で一喜一憂してください。
- プランクは1日1回、75秒。それをサウナの中でやっている。自分の体を守るっていう感覚です。
- 私は膀胱がんを自分で見つけて、明後日で5年になります。自分の体に関心を持つ。自分の体を守るという意識です。
- 筋トレによるがん予防の効果は、週30分が最も高く、週130分になるとマイナスになることが分かっている。過ぎたるは及ばざるがごとしというのは明言。筋トレはやり過ぎるとマイナスになる。筋トレもそうだ。フルマラソンを続けるよりも、毎日30分くらい強めのウォーキングとか、ほどほどの運動が良い。ただ、日本人にとっては足りてない。やり過ぎの人はほんとの少数。
- 養老孟子は虫取りで運動している。
- 今も話しながら、グリップしている。
- 腕立て伏せ、体幹トレーニング、スクワット
(注)プランクとは、うつ伏せになった状態で前腕・肘・つま先を地面につき、その姿勢をキープする体幹トレーニングです。
プランクの正しいフォームとやり方
- 両肘を床につけ、うつ伏せになる
- 腰を浮かせ、背筋をまっすぐに伸ばす
- 頭、背中全体、腰、かかとが一直線になるように姿勢をキープする
呼吸は止めないように意識します。