私が外貨ETFの投資するようになった理由
私が外貨ETFに積極的に投資している理由の一つが、日本の国債残高増加の問題です。 ダイヤモンド・ザイのZAI・ONLINE(2016年12月17日公開)「日本政府により私たちの預金封鎖が起こる日【後編】」によれば、2016年時点で債務残高が1000兆円を突破して、対GDP比246%となり、第二次世界大戦の時代とほぼ同じとなっています。
残された個人の金融資産は360兆円
2016年時点で個人の金融資産が1600兆円ありますが、そのうち400兆円程度は住宅ローンなどの負債で、実質資産は1200兆円程度になります。すると、残りは360兆円で、1年に40兆円弱増えると、あと8年程度で国債を引き受ける資金が枯渇することになります。しかし、2017年になって世界的に好景気になったため、国債の引き受け資金は増えたようです。先ず、株価が上昇したために日本人の金融資産が増加しました。一方で政府はプライマリーバランスの目標達成が困難との発表をしました。緊縮財政を実施する見込みは立っていません。
日銀の財政ファイナンス
日銀の財政ファイナンスはマネタイゼーションとも呼びます。国が発行した国債を日銀が直接引き受けることです。そして、ここでは、「日銀が直接引き受ける」と言っていますので、現在のように「日銀が間接的に引き受ける」ことと、完全に同じではありませんが、市中銀行が瞬間的に引き受けているだけなので、「日銀が直接引き受ける」ことと実質的に変わりは有りません。日銀が国債を引き受ければ、国民の金融資産を頼りにする必要はありません。
ハイパーインフレへの道
それでは、日銀が国債をいつまでも引き受けたらどうなるでしょうか。これがいわゆる、「お札をどんどん刷る」ことになるのです。どんどん刷られたお札の価値は少しずつなくなっていきます。第二次大戦直後に、日本の紙幣の価値は200分の1になりました。つまり、インフレ率は20000%になったわけです。そしてその時に行われた最初の措置が預金封鎖でした。預金封鎖によって、国民に課税するとともに、資産価値を暴落させて国の借金を減らしたわけです。
預金封鎖やハイパーインフレは起こるのでしょうか。
起らないとは言えませんが、起こる確率はとても低いと思います。もし、預金封鎖になれば、お札の価値が極端に低くなります。金(カネでなく延べ棒のきんです)、不動産などに重税が課され、実質的に国家に没収されます。証券会社に預けてある株式にも重課税されます。海外の株式、ETFなどにも課税されると言う人もいます。ただし、これは最もひどい場合の話で、実現する可能性は低いと思います。それでは、このまま何も起こらないで済むのでしょうか。
国の借金を減らす方法
現在、国の借金はGDPの約2.5倍と言われています。先進国の中でGDPの2.5倍もの借金をしている国は日本だけです。しかし、その半分の1.25倍ならどうでしょうか。実はフランスが1.21倍です。米国は1.11倍、英国が1.15倍です。世界大戦でハイパーインフレに苦しんだ経験のあるドイツは0.75倍に押さえ込んでいます。そうすると、日本も現在の半分の1.25倍にすれば、先進国の仲間入りということになります。その具体的手法としては、次の2通りがあります。
① 増税して国の借金を2分の1に減らす。
② インフレ税によって国の借金を2分の1に減らす。
増税は困難
先ず①について考えます。もし5%のインフレが8年半続くと、複利で計算して約14年で200%に達します。目標達成です。しかし、5%のインフレ率は、1年や2年なら許せても、14年連続ではさすがに、国民は黙っていないでしょう。従って、意図的に実行するには無理があると思います。それでは①は採用できないのでしょうか。2分の1は無理にしても4分の1、5分の1に減らすのは現実的な対応だと思います。今が非常に危険な状態で、このままだと預金封鎖まで行く可能性があるとすると、その状態から少しだけ改善させるわけです。消費税増税などによって少しだけ状況を改善させて延命措置を測るのです。もしこのような延命措置でなく、抜本的な手段として大幅に増税するとなると、それに対する国民の拒絶反応は激しいでしょうから、政権与党が選択する方法としてはかなり可能性が低いと思います。
インフレ税に頼っても、財政赤字は続けられない。
次に②はどうでしょうか。インフレ税とは、政府が意図的にインフレを起こすことによって、政府の借金の実質的価値を減らすことです。例えば、GDPが500兆円、国債残高が1000兆円だとします。インフレを起こすことによってGDPが1000兆円になれば、政府の借金は実質的に半分になるわけです。しかも、この方法は、増税ほどの抵抗が国民の側にありません。従って、この方法がとられることになるでしょう。というより、数年前から、日銀の幹部がはっきりと、インフレ率2%のことを、「インフレ税、インフレタックス」という言葉を使っているそうです。しかし、政府の借金が実質的に減った分、貨幣を持っている国民は資産の価値が減ることになります。その減った分が税金とみなせるので、インフレ税と言うわけです。そして、政府の借金を半減させなくても、2割でも3割でも減らせば、預金封鎖やハイパーインフレになる危険から少し離れることになると思います。その状態を、うまく続けられれば、政権与党は安泰でいられると期待できます。しかし、現在のように財政赤字の状態が続けば、いずれ激しいインフレになる恐れがあります。