会社の福利厚生3:確定給付年金

◎今日のテーマ:会社の福利厚生3:確定給付年金

私は長年にわたって企業に勤めていました。その間利用していた福利厚生もありますし、私が責任者を務めていた福利厚生もあります。それらについて意見を述べたいと思います。

DB

確定給付年金(DB:Defined Benefit Plan)は、会社が、加入者である社員の、勤務期間や給与などの要素に基づいて計算した金額を年金として給付する制度です。運用資産の利回りによって支給年金額が決定される、確定拠出年金とは対象的です。つまり、確定拠出年金は、リスクのない定額の年金ということです。

年金の制度変更

かつて、企業年金の重要な位置を占めていた税制適格年金が、適正に運用されなかったという問題がありました。それは、年金の拠出金を会社が積み立てたという税務処理をしていたにもかかわらず、実際には積立が行われなかったという問題です。

5.5%の運用利回りは実現不可能

また、適正に積立が行われていた企業でも、運用利回りを5.5%という高い数値を前提に運用していたのですが、1980年代までの高度成長の時代が過ぎて、それを実現できなくなり、会社は追加の積立を余儀なくされたのです。

代行部分の返上

日本の企業は、本業の業績が悪い上に、あまりに高額の年金まで積み立てなければならないこととなりました。その結果、高度成長時代には有利とされていた代行部分を国に返上するとともに、新たな企業年金制度が待望されました。

DCとDB

そこで登場したのが、確定拠出年金であり、確定給付年金でした。そして、この二つの制度を併用したキャッシュバランスプランを導入する企業が増えていきました。

DCの9割は銀行預金

確定拠出年金は、運用者である社員が、自分の責任で運用するので、リスクとリターンを社員自身が持つことになります。しかし、今まで全く運用経験のない普通のサラリーマンが、全額を自己責任で運用するのは酷な話でもあります。現実に、彼らの90%が選んだ金融商品は銀行預金でした。銀行預金は、元本保証ですが、金利はほぼゼロです。さらに言うと、現在のように1%程度のインフレの元では、実質金利がマイナス1%になっています。

DBも併せて導入

そこで、制度として確定拠出年金だけでなく、確定給付年金も導入されたのです。確定給付年金は、運用を会社側が行ってくれますので、社員の選択するのは、年金の受給期間だけです。選択肢の中には一時金として受け取る方法もありますが、20年間にわたって受給する方法もあります。その保証利回りは、かつてのように5.5%には及びませんが、例えば2.5%という水準です。確定利回りということを考えれば、満足のいく水準だと思います。

DCは株式インデックスファンド、DBは20年間の受取

私は確定拠出年金は全額を株式のインデックス投信で運用し、確定給付年金の受給は20年間を選択しました。確定拠出年金については今でも正しいと思っています。また、確定給付年金については、リーマンショック直後に一時金で受け取って、全額を株式のETFを購入すれば最高でしたが、私にはそれほどの勇気も知恵もありません。20年間の分割受給で正しいだろうと思っています。

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