金融庁のリスク性金融商品に関するアンケート1

◎今日のテーマ:リスク性金融商品販売にかかる顧客意識調査について

金融庁では、2019年初めに、リスク性金融商品販売に関し、顧客ロイヤルティ(顧客の企業に対する信頼や愛着のこと)顧客アンケート調査を実施しました。金融機関の取組みによって、「顧客本位の業務運営」がどのように金融機関の営業現場での顧客への対応に活かされ等について、顧客の視点から見ました。

最初に金融知識(金融リテラシー)について紹介します。

Q5. 金利が上昇すると、(固定金利の)債権の価格はどうなると思いますか。(〇はひとつ)

  1. 上がる
  2. 下がる
  3. 変化しない
  4. 債券価格と金利の間には何の関係もない
  5. わからない

Q6. 預金の金利が年に1%で、インフレ率が年に2%だとします。1年後、あなたがその口座のお金で、今日よりもどれくらいものを買うことができると思いますか。(〇はひとつ)

  1. 今日買うよりも多く物が買える
  2. 今日買うのと同じだけ物が買える
  3. 今日買うよりも少ないものしか買えない
  4. わからない

Q7. 一つの企業の株式を購入する場合と、複数の企業の株式に投資する投資信託を購入する場合では、一般的にどちらが損益の振れ幅が小さいと思いますか。(〇はひとつ)

  1. 一つの企業の株式を購入する場合
  2. 複数の企業の株式に投資する投資信託を購入する場合
  3. どちらともいえない
  4. わからない

 

この3つの問題についての正答率は以下の通りです。

全問正解者は2割程度でした。インフレ(Q6)や分散投資の有効性(Q7)に関する質問よりも、金利と債券価格の関係(Q5)に関する質問の方が、正答率が低い結果となりました。

リテラシーと投資経験、資産規模の関係は次の通りです。

投資経験者の方がリテラシーが高く、資産規模が大きい人ほどリテラシーが高い。例えば、資産規模300万円の人より1億円以上の人の方が、水色の3問正解が多くなっています。

このアンケートから導き出される結論は、

① 資産を増やしたければ、金融に関する知識を増やした方が一般的には良さそう。

ということでしょう。しかし、それだけではありません。1億円以上の資産を持っている人でもピンクの9%います。この人たちは、金融知識が無いので、損をしているのでしょうか。損をしている人もいるかもしれませんが、得をしている人もいるのではないでしょうか。

次の二つの例を考えてみましょう。

【例1】フィデリティ証券の調査によると、自分のポートフォリオを忘れてしまった人の資産運用成績が最も良かった。

つまり、下手に売り買いするよりも、買った金融商品をそのまま持ち続けることが良い結果を生むのです。

【例2】バイ・アンド・フォールド Buy and Hold が最も良い運用方法。

代表的なETFやインデックスファンドを買って、そのまま何もせずに持ち続ければ資産が増えるのです。この方法なら金融知識はいりません。私の連れ合いは、リーマンショック直前に資産運用を始めたにもかかわらず、現在、高級車1台分の利益が出ています。連れ合いには3問正解になるような金融知識があるとは思えません。

具体的な運用方法は、「野村證券で1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)とSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)を100万円ずつ買って、何もせずに10年間持ち続ける。」だけです。あるいは、「SBI証券でVTを100万円買って、何もせずに10年間持ち続ける。」というのも良さそうです。この作業に金融知識は必要ありません。

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