金融機関の分け前と個人投資家の手取り

このブログでは、銀行の外貨預金、ラップファンド、外貨建て保険、証券会社のアクティブファンドはコストが高いので、近づかない方が良いと書いています。今回は、それをイメージとして理解できるように図を作りました。

金融機関の基本的な運用方法は、内外の株式市場と債券市場に投資して運用する方法です。

一番左側のマーケットのリターンの列には代表的な市場のリターンを書きました。

  • アメリカの株式市場 10%
  • 日本の株式市場 6%
  • アメリカの債券市場 3%
  • 日本の債券市場 1%

SPYのリターンは9.74%

この中で、アメリカの株式市場の10%は高すぎるのではないか、と考える人もいるでしょう。しかし、世界最大のETFであるSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)の10年間の平均リターンは 13.40% 、設定(1993年)来の平均リターンは 9.74% ですから、10%という数字は誤りとは言えないでしょう。

4資産の平均5%を取り合い

この4つの資産のリターンの単純平均は5%です。この5%をめぐって、証券会社、保険会社、銀行が手数料を取った後に、個人投資家の手元にリターンがくるのです。

アクティブファンドは2%

証券会社(実際には、その証券会社グループの別会社など)のアクティブファンドは、おおざっぱにみて2%の手数料が毎年かかるというイメージです。この2%という数字は、全銘柄を平均したような正確なものではなく、あくまでもイメージとしてとらえています。なお、銀行や証券会社(販売会社)を経由しない、直販型投資信託と呼ばれる独立系の投資信託があります。具体的には、セゾン バンガード・グローバルバランスF、 ひふみ投信、さわかみファンドなどです。これらの投資信託はアクティブファンドで信託報酬が1%前後なので、比較的低コストの商品ですが、アクティブファンドがパッシブファンド(インデックスファンド)よりもパフォーマンスが良いわけではないので、あえて1%でも高コストのアクティブファンドを買うメリットはないと思います。独立系投資信託は、低コストの<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンドなどが誕生するまでは、脚光を浴びていましたが、今は魅力があまりないと思います。

個人投資家の手取りは3%

例えば、現在資金流入額の多いピクテ-ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)を見てみましょう。買付手数料は 、インターネットで購入する場合は無料ですが、窓口で購入する場合には3.3%かかります。信託報酬 (税込)/年は1.81%程度です。買付手数料は毎年かかりませんが、保有期間で割れば、一年あたりのコストが計算できます。それを仮に0.2%程度とすると、信託報酬の1.8%と合計で2%になります。もともとの平均リターンが5%あっても、証券会社に2%取られれば、個人投資家の手取りは3%しかありません。

保険会社の商品は3%

保険会社の商品の経費については3%としましたが、商品が多岐にわたるので、この数字の根拠はありません。そのぐらいのイメージではないかという数字です。

ところで、下の表の会社別月払い保険料をご覧ください。

30歳男性死亡保険金額1千万円 月払い保険料(円)
1 大手生保A 2,660
2 大手生保B 2,470
3 中堅生保C(ネット経由) 1,068
4 振興生保D(ネット経由) 990
5 東京医師歯科医師協同組合 860
6 王子グループ 1,160
7 日本生命 2,540

ネット経由や団体の定期保険が毎月1000円の保険料しか払わなくて済むのに、大手の保険会社では2500円も払わなくてはなりません。この差額の1500円が、保険会社とその代理店の人件費・経費に使われているのです。

保険は運、投資信託は時期が重要

保険は人によって、死亡したり、病気になって恩恵を得る場合も有ります。例えば、外資系保険会社のがん保険は、顧客への還元率が悪いので、加入するのは一般的には損だと思いますが、加入した直後にがんが見つかって保険金を受け取る人もいるのです。私の友人は、その保険金で治療を受けたと言っていました。一方で、投資信託は、個人間の運・不運は発生せず、購入時期・売却時期によるリターン率の変動だけです。

しかし、生命保険会社は利益を稼いで、それを不動産に投資しているので、巨大な不動産を所有しています。その利益は、個人が支払った保険料から生まれているのです。保険は大きくグループ分けすると次の3種類だと思います。

  1. 子どもが生まれた時に入る、会社の福利厚生の団体定期保険
  2. 医療保険
  3. 投資目的がメインの保険

1.子どもが生まれた時に入る、会社の福利厚生の団体定期保険

子どもが小さい時は、親もまだ十分な蓄えがない場合が多いので、死亡、高度障害といった万が一に備えて加入することは通常の行為だと思います。その際、会社の福利厚生の団体定期保険やネット保険が安いのでお勧めでしょう。

2.医療保険

日本には高額療養費制度という素晴らしい制度がありますので、それ以外の民間の医療保険には入る必要がないと思います。通常では一か月8万円を超える医療費を払うことはありません。そのような一定額で済むのは、国民全員が毎月高い健康保険料を払っているからです。そして、それ以上に無駄な保険料を払う必要はありません。そのような、ほとんど起こらない万が一のために保険料を払うよりは、そのお金で投資信託に投資した方が、リターンが多く、いざという時に自由に使うことができます。

3.投資目的がメインの保険

生命保険、医療保険等の需要が頭打ちなので、生命保険会社は、あの手この手で、一般人からお金を集めようとしています。しかし、集めたお金のリターンは、かなりの部分が保険会社社員の給料と経費で消えていきます。保険会社が行っている投資行為は、20世紀の時代と違って、今、個人でできる時代です。個人が直接マーケットに投資すれば、彼らに人件費・経費を払う必要がなく、自分のものにできるのです。

銀行

証券会社や保険会社の商品に、銀行員の高い給料と経費がさらに上積みされているのですから、個人投資家の手取りはさらに少なくなります。そこで、手取りを1%としました。銀行は、証券会社よりも良い立地に店舗を構え、たくさんの行員を配置しているのですから、証券・保険よりもコストの高い商品を売るであろうことは容易に想像できます。しかも、銀行員は教育熱心ですから、早朝に出勤して、セールストークに磨きをかけ、あらゆる質問に対して想定問答を暗記するのです。なかなか素人が理屈で勝てる相手ではありませんから、彼らに近づかないことが何よりです。

個人の直接投資

現代は、低コストのETFやインデックスファンドに直接投資できる、素晴らしい時代です。直接マーケットに投資すれば、5%のリターンを期待できるのです。銀行の外貨建て保険や、証券会社のラップファンド、アクティブファンドのような高コストでブラックボックスに入った商品でなく、透明ガラス張りの箱に入った低コストのETFやインデックスファンドなら、気持ちよく投資できると思います。

対面証券でもETFの長期保有なら問題なし

ETFの投資に関しては、手数料の高い対面証券よりネット証券の方がコスト的に有利だとされています。販売手数料で1%、為替手数料で0.25%の差がありますので、なるほどコスト低減を追求するなら、ネット証券で投資した方が有利です。しかし、もともと野村證券等に口座があってそれを利用したいのであれば、わざわざネット証券に口座を開設する必要性は、あまりないと思います。上記のコスト合計は1.25%ですが、これは買う時にかかるだけで、信託報酬のように毎年かかるわけでは有りません。10年に均せば1年あたり0.125%です。また、売却するときの手数料を引き下げたいのであれば、対面証券からネット証券に移管すれば、コストはあまりかかりません。ぐずぐずして、銀行預金でお金を遊ばせておくよりは、早く行動に移す方がよいのではないでしょうか。ただしインデックスファンドに関しては、対面証券に信託報酬の安いものがないので、ネット証券がよいでしょう。

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