総代改選
私の受けと取っている財形年金は富国生命です。その富国から、契約者に総代会改選の案内が届きました。
「相互会社」と「株式会社」
生命保険会社の会社形態には「相互会社」と「株式会社」があります。富国生命、日本生命は相互会社、第一生命は2010年に相互会社から、株式会社に移行しました。
違いが分からない
相互会社は相互扶助の仕組みによって成り立つ、公共性の高い保険事業を営む保険会社だけに認められている会社形態とされています。しかし、契約者から見ると、そのような違いは感じられません。
バンガード社と相互会社
同じ形態の会社がアメリカにも有りますが、それがバンガード社です。バンガード社の所有者は契約者なので、契約者と所有者の利益が相反することがありません。つまり、利益が出れば、それが所有者である契約者に還元されるのです。バンガード社のついては、後ほど説明することとして、以下は富国生命の総代改選について説明します。
相互会社の社員
相互会社には「株主」は存在せず、契約者が会社を構成する「社員」となります。ただし、剰余金の分配の無い保険契約のみの契約者は、定款の定めによって社員とはなりません。
総代会
総代会は、社員の中から選出された総代により構成されていて、事業活動の報告や剰余金の処分、定款の変更、取締役や監査役の選任などの重要事項を審議・決議しています。
総代の選出
総代の定数は120名、任期を4年(重任限度は2期8年)と定めています。総代の選出にあたって、総代会において総代候補者選考委員が選任されます。総代候補者選考委員会は、社員の意思が反映されるように、総代候補者選考基準に基づき幅広い社員層から総代候補者を先行します。次に、候補者の推薦に関する広告を行い、ここの候補者に対して全社員による社員投票(信任投票)を行います。その結果、総代として同意しないとする投票数が社員投票の権利を有する社員の10分の1に達しない場合、総代として確定します。
総代候補者選考委員会
2020年5月1日現在の総代公社選考委員の役職は以下の通りです。
- 株式会社 代表取締役社長 2名
- 株式会社取締役 1名
- 元株式会社常勤監査役 1名
- 株式会社監査役 1名
- 信用金庫副理事長 1名
- 大学教授 1名
- 弁護士 2名
- 税理士 2名
総代候補者の選考基準は以下の通りです。
総代候補者の資格基準
- 2018年10月末日時点において、当社の社員(有配当保険に加入の契約者)であること。
- 他の生命保険会社の総代に就任していないこと。
- 総代としての住人機関が2期を超えないこと。
- 当社の現職役員および従業員でないこと。
総代候補者の地域別定数の割当基準
社員の地域別分布状況等に応じ、原則として次の通りとする。
- 北海道 7名
- 東北 11名
- 関東 44名
- 中部 20名
- 近畿 15名
- 中国 9名
- 四国 4名
- 九州 10名
20世紀の生命保険会社は使えた。
私は、現役サラリーマンの時代には、資産のほとんどが富国生命で利用しました。
- 生命保険
- 医療保険
- 財形住宅
- 財形年金
- 一般財形
- 一時払い養老保険
生命保険会社からETF・インデックスファンドの時代へ
総額で、一億円近く利用したと思います。しかし、今は財形年金以外、全く利用していませんし、財形年金も残りは1年程度です。現在、数千万円利用しているのが、バンガード社の投資信託です。バンガード社は、低コストのETFを中心に業績を伸ばしています。
そのバンガード社について見てみましょう。
低コストのインデックス連動型投資信託
米バンガード社は、1976年に個人向けに初めてインデックス(指数)連動型投資信託を販売しました。インデックス型なので、低コストで投資できるのですが、最初はあまり人気がありませんでした。しかし、その後、コスト、リターンの面で優位性が証明され、アメリカでは特に人気は加速し、アクティブファンドを超えています。
理念は同じだが
バンガード社と、日本の生命保険会社では、両方とも、利用者がお金を出し合って保険事業を運用し、収入が経費を上回れば利用者に還元することとしています。
日本の生命保険は内部留保へ
しかし、現実にはバンガード社がそれを実現できて、日本の生命保険会社ができない理由は何でしょうか。かつては剰余金の最低8割を配当で還元するルールもありましたが、金融危機時などに緩和され、今では最低2割に引き下げられています。そういう意味では、私は昭和から平成の初めまで、生命保険会社を利用して、財形貯蓄の高利回りや一時払い養老保険などで、得をした気がします。しかし、今や、契約者よりも内部留保が優先される時代ですから、日本の生命保険会社を利用しても、契約者はあまり得をしないことが多いと思われます。
個人でも法人と対等に資産運用できる時代
しかも、生命保険会社の運用方法の中心は、世界の株式ですが、20世紀とは違って、現在はバンガード社など、個人でも法人と対等に資産運用できる時代です。ということは、生命保険会社、あるいは銀行、証券会社などのを通さずに運用ができる時代です。つまり、高額の人件費を中抜きして運用できるのです。
生命保険とバンガード社は大違い
日本の生命保険会社とバンガード社は、もともとの理念は一緒でも、現実には、高い給料と内部留保のためにコスト高になっている会社と、徹底したコスト低減と、利用者への利益還元を行っているバンガード社の差は大きく開いたように思います。