<昨日の続き>
2013年4月に金融庁金融研究センターは、金融経済教育研究会の研究会報告書として、「最低限身に付けるべき金融リテラシー」をまとめました。それについて、昨日に引き続き考えたいと思います。
(c)金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択
項目7:取引の実質的なコスト(価格)について把握することの重要性の理解
金融商品を利用選択するにあたり、取引の実質的なコスト(価格)を十分に把握することが重要です。例えば、住宅ローンの場合、金利だけではなく、契約に付随する団体信用保険の保険料等も含めて全体のコスト(価格)として理解する必要があります。
また、資産形成商品に投資する場合には、通常の家計が取れるリスクを勘案すれば、長期にわたり安定的に期待できるリターンは数%程度と見込まれ、手数料の水準が家計の得るリターンに及ぼす影響は極めて大きいと考えられることから、商品選択にあたり、手数料の水準を十分に意識することが重要であります。
報告書の脚注にあるリスクの説明は以下の通りです。
【資産運用の分野では、一般に、「リスク」という用語は、「リターン(金融商品を一定期間保有した結果生じる収益のトータルを元本で割った収益率(マイナスの場合は損失率))の不確実性の度合い」という意味で用いられている。
例えば、100 万円をある金融商品に投資した場合に、
・1年後に 20 万円分の価値の増大をもたらし、合計 120 万円になる可能性もあれば、80 万円になる可能性もある状況、
・1年後に最大でも1万円分しか価値の増大をもたらさない(合計 101 万円)一方、どんなに悪くても 99 万円は保証されている状況、
がある場合には、前者は後者よりも「リスクが高い」といったように用いられる。
他方、保険の分野では、「リスク」は、死亡、疾病、及び火災等による損失や危険の発生の可能性という意味で用いられている。
さらに、日常においても、「リスク」は、保険の分野と同様、損失や危険の発生の可能性というネガティブな意味で用いられていることから、資産運用の分野での「リスク」という用語の正しい理解を難しくしている。】
商品の品ぞろえが充実
この報告書は2013年に報告されましが、その時点ではすでに、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))のような低コストのETFは販売されていました。一方で、まだ、<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」等、低コストのインデックスファンドは登場していませんでした。その後低コストの商品が続々と発売され、低コスト化の競争が激しくなりました。そういう意味では、現在は商品の品ぞろえが充実してきたと言えます。しかし、実際に売買されているファンドは、アクティブファンドが圧倒的に多く、また、新聞、雑誌で取り上げられるファンドもアクティブファンド中心なのは残念です。マスメディアは、広告主である証券会社に忖度するだけでなく、利用者の役に立つ報道をしてほしいものです。
【保険商品】
項目8:自分にとって保険でカバーすべき事象(死亡・疾病・火災等)が何かの理解
保険商品を利用選択する前に、自分が何のリスク(死亡、疾病、火災、地震、介護等による損失や危険の発生の可能性)に備えるべきかよく整理した上で判断することが重要です。
無駄な保険が多すぎる
保険商品に関しては、報告書に書かれなくても、自分で選ばなければならない商品です。しかも金額が非常に大きく、私は今まで、生命保険・医療保険だけで1,000万円ほど支払いました。しかし、保険のことを勉強するにつれ、必要のない保険に入っていたことが分かり、55歳の時に一つを除いてすべてやめました。保険料の負担が大きく減りました。
がん保険は、連れ合いの趣味代金
そして、残った保険とは、がん保険です。実はがん保険は、すべての保険の中で最も不要な保険なのです。がん保険に加入した経緯は、連れ合いの知り合いの夫が、30代で胃がんになり、慌てた連れ合いが、私にがん保険をかけたのでした。しかしがん保険は最もコストが高いので、私は真っ先にやめようと思い、連れ合いに話したところ、連れ合いは頑として譲らずに、喧嘩になってしまいました。その後も2度、3度と連れ合いに掛け合いましたが、そのたびに喧嘩になってしまいました。年間の保険料は8万円です。そのうち、約4分の1が経費で保険会社の経費になり、残り、6万円が、がんになった人の保険金になります。そうすると2万円が無駄になるわけですが、年間2万円の無駄は、連れ合いの趣味だと割り切ることにしました。がん保険は、合理的な計算で加入すべきものなのですが、連れ合いにとっては宗教信仰のように、絶対に必要なものだと信じています。2万円は家庭内不和が起こらないためのコストだと割り切って、現在もがん保険だけは続けています。
項目9:カバーすべき事象発現時の経済的保障の必要額の理解
カバーすべき事象に備えて、保険商品を利用選択する場合には、保険以外の社会保障や企業福祉、本人の貯蓄等で賄える金額も勘案の上で、保険商品でどの程度の金額の備えが必要かをよく整理した上で判断することが重要です。
高額療養費製でほぼカバー
日本には、高額療養費制度があるので、ほとんどの場合、医療保険は不要です。そして高額療養費制度を維持するために、国民は高い健康保険料を支払っているのです。基本的に民間の保険会社の医療保険に入るのは無駄です。保険会社の部長さんたちは、自社の福利厚生としての掛け捨て団体生命保険には入りますが、それ以外は無駄なので入らないそうです。