錬金術
「錬金術」を辞書で調べると、次のように説明してあります。
① 紀元1世紀ごろ以前にエジプトに始まり、アラビアを経てヨーロッパに広がった、卑金属を貴金属の金に変えようとする化学技術。さらに不老不死の仙薬を得ることができるとされ、呪術 (じゅじゅつ) 的性格をもった。科学としては誤りであったが、多くの化学的知識が蓄積され、近代化学成立の基礎資料となった。アルケミー。
② 転じて、ありふれたもの、値打ちのないものを貴重なものに作り変えるという術。
③ (「金」を「かね」と意識して)お金・財産を生み出す特別な方法。また、非常に貴重なものを作り出す方法。「必ず儲かるという錬金術はない」
この説明の中で、「碑金属」とは、水分・炭酸ガスなどにより、たやすくおかされる金属であり、鉄・アルミニウム・亜鉛等を言います。
錬金術は英語で alchemy アルケミー ですが、これは 化学chemistryケミストリー の語源になりました。
金を手に入れる方法は二つあります。
① 宇宙が金を作る方法
国立天文台・東京大学の研究チームは、金やプラチナ、レアアースといったR過程元素(中性子を素早く(rapid)捕獲する過程で合成された元素)が中性子星の合体の際に作り出された可能性が非常に高いことを明らかにしました。
宇宙の始まりから数分経ったとき、宇宙には水素とヘリウム、そして少量のリチウムしか元素は存在しませんでした。炭素など、より原子番号の大きい元素(以下、重い元素)は主に、その後に形成された恒星等の天体の中の高温高密度な環境での核融合反応によって合成されたのです。特に、宇宙に普遍的に存在する元素の中で鉄より重い元素では、種となるより軽い元素(鉄など)に中性子が次から次へと捕獲されることによって合成されます。その中でも中性子の密度が極端に高い状況で多く作られる元素はR過程元素と呼ばれ、金、プラチナ、レアアースと言った我々に馴染みのある多くの元素が含まれています。ただ、実際宇宙のどこで作られているのかは同定できていませんでした。
しかし残念ながら、この方法で金が作られても、それをすぐに手にすることはできません。
② 地球上で金を手に入れる方法
地球上では、下の図のように、全く何もないところから金を新たに生み出す方法は、ありません。
しかし、金(きん)、お金(おかね)、あるいは株式があれば、左半分の金、お金、株式はそのままで、右側の部分で、無から金を作ることは可能です。
金、知識、決断、時間、我慢があれば、無から金を作り出す方法を説明します。
① 金
金とは、金(きん)、お金(おかね)、あるいは株式があれば、新たに金を作ることは可能です。説明に際しては、金(きん)より株式の方がし易いので、株式で説明し、必要に応じて、それを証券会社などで金(きん)に交換することができると考えてください。
株式は、具体的にはアメリカの株式ETF(S&P500)であるSPYを買うことにします。
このETFの設定日は1993年1月22日で、平均年率リターンは9.63%です。何年で2倍になるかを計算するために72の法則を用いて、9.63で割ります。
72 ÷ 9.63 = 7.5年
7.5年で2倍になります。ここから、所得税・住民税、売買手数料を引かれ、更に金にすることを考えれば、2倍にするには10年程度が必要です。
② 知識
無から金を生み出すためには、上記①のようにSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)を買って10年保有することが必要だという、知識が必要です。この知識が無ければ、自分の持っている資産を、利子のつかない銀行預金にしたままにするかもしれません。あるいは、手数料の高いアクティブファンドに手を出してしまうかもしれません。ETFとしては、SPYよりも、コストの安いVOOの方がより良いのですが、大きな差はありません。
そしてこの知識は、アメリカ人であれば、かなり多くの人が既に知っていますが、日本人は知りません。
アメリカ人の資産は3倍、日本は変わらず
日米シニア層の総資産額を比較してみましょう。日本は1990年代も現在も約2060万円で変化がありません。アメリカは1990年代は日本よりやや低かったのですが、現在は5870万円で約3倍になっています。アメリカでは、リタイヤ後のための貯蓄制度が充実して、アメリカ人は、この20年間せっせと投資してきたのです。そして、株式市場に投資しているアメリカ人が多いことから、アメリカ政府もFRBも必死で株価維持に努めているのです。
③ 決断
知識は持っているだけでは役に立ちません。使わなければ意味がないのです。私と連れ合いは、この知識を生かして、SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)、VOO、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))を買う決断をしました。一方、私の知り合いに、このSPYの話をしましたが、彼らは知識のまま終わらせています。お金を増やす意思がないのかも知れません。決断して行動に移さなければ、知識はただの知識で終わります。
④ 時間
金、あるいは、株式を2倍に増やすには、1日ではできません。10年間という時間が必要です。株式市況が良くなければ、さらに10年必要かもしれません。慌てずに時間をかけましょう。
⑤ 我慢
株式市況が悪くなると売りたくなる人がいますが、売ってはいけません。個別銘柄であれば、倒産や低迷の恐れがありますが、SPYのようなETFには、そのような心配は要りません。私と連れ合いは、最近十数年間でリーマンショック、チャイナショック、コロナショックに遭遇しましたが、そこで売ったことはありません。売らないという我慢をすれば、株価は回復します。