投資信託の販売手数料と信託報酬

◎今日のグラフ:投資信託の販売手数料と信託報酬

投資信託に関する平成29年4月の金融庁資料から作成しました。

販売手数料(2016年3月末基準)
日本 3.20%
米国 0.59%

信託報酬(2016年3月末基準)
日本 1.53%
米国 0.28%

アクティブファンドのコストは1桁高い

2018年1月~3月の日本の投資信託への資金流入のトップ3の購入時手数料率と信託報酬率は以下の通りです。金融庁のデータと比べて、同程度か上回っている水準です。ETFやインデックスファンドの低コストを見慣れている私にとっては、1桁違うので驚きの高さです。

モビリティ・イノベーション・ファンド グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2) グローバルEV関連株ファンド(H無)
購入時手数料率(税込) 3.24% 3.78% 3.24%
信託報酬率(税込) 1.77% 1.90% 1.76%

アクティブファンドは、証券会社にとってとても儲かる。

投資信託の販売手数料は、日本がアメリカに比べて断然高いことが分かります。これだけ高いと、どういう現象が起こるでしょうか。

山一証券の社員の言葉

金融機関は新しい投資信託をどんどん開発して、それを売り込めば販売手数料が稼げるので、営業力を駆使して販売に務めることになるでしょう。昔、飛行機で隣の座席に座った山一証券の社員が、「投信だけは手を出さない方が良い。あれは証券会社だけ儲かって、顧客は損をするから。」といった言葉が思い出されます。

日本にはウォーレンバフェットのような投資家がいない

アメリカでは、投資信託としてはSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)、QQQ(アメリカ・パワーシェアーズのナスダックのETF)などのETFのリターンとコストの優秀さが認められて、売り上げを伸ばしています。しかし日本では、販売会社も、新聞も、雑誌も、あまり儲からないETFに力を入れないので、一般の人になかなか普及しません。また、アメリカでは、資産9兆円の大富豪であり、著名な投資家であるウォーレンバフェットが、VOOなどのS&P500のETFを推奨していますが、日本には彼のような著名な投資家がいないのも残念なことです。

iDeCo、つみたてNISAの次の一手

2017年にはiDeCo、2018年にはつみたてNISAのような優れた制度、そしてそれに対応した素晴らしい商品が誕生しましたが、現在主流のアクティブ投資信託に比べると、圧倒的に力不足です。証券会社にとって、主戦場は、iDeCoや積立NISAではなく、高い販売手数料と高い信託報酬のアクティブファンドなのでしょう。一方顧客からすれば、iDeCo、つみたてNISAの次の一手が待たれるところです。

財形のように、iDeCo、つみたてNISA専用商品を課税される通常の投信積立にも使いたい

私は、野村証券に口座を持って、つみたてNISAを開始しましたが、全体の投資額の1%になるには、今後1年間積み立てなければなりません。毎月33,000円の投資額は、20代の人にとっては大きな額かもしれませんが、30代、40代以上になると、その額では住宅資金や老後の蓄えとしては十分でなくなってきます。その時には、積み立てる金額を増やしていきたいのですが、残念ながら野村証券のiDeCo用や、つみたてNISA用の商品は、課税される通常の投信積立をすることができません。つまり、つみたてNISAの良さを広げていくことができません。現在つみたてNISA専用としている商品を課税される通常の積立にも使えるようにしていただきたいものです。財形貯蓄も、住宅財形、年金財形の枠がいっぱいになった場合に、課税される一般財形で上限なしに蓄えることができます。このようにすれば、一般の人に投資が広がっていくのではないでしょうか。