米国におけるファンド運用実績:つみたてNISAとリバランス

◎今日のグラフ:米国におけるファンド運用実績

(単位:%) 大型株式 小型株式 債券
アクティブファンドの収益率 7.18 5.5 5.69
対応するインデックスァンドの収益率 7.81 6.98 6.5
アクティヴ運用の超過収益率 -0.64 -1.48 -0.81

インデックスファンドがアクティブファンドの運用実績を上回る。

「大学4年間の金融額が10時間でざっと学べる」(東京大学名誉教授 植田和男)という本にアクティブ運用と、パッシブ運用実績の比較表がありました。もともとはバートン・マルキールの著作より植田氏が作成したものです。青がアクティブファンド、赤がインデックスファンドです。左の大型株式では、アクティブ運用が0.64%下回っています。中小型株では1.48%、債券は0.81%下回っています。つまり、株式、債券では、アクティブ運用がインデックス運用にかなわなかったということです。なお、このアクティヴ運用の収益率は手数料(信託報酬)を差し引いてあります。これは平均の数値ですから、もちろん良好な成績を達成したアクティヴファンドは、インデックスファンドを上回っているでしょう。しかし、過去の成績が将来も続くという証拠も、確信もありません。また、どのアクティヴファンドが将来の長い期間にわたって良好な成績をおさめるのかを考えるのは、大変な労力です。方法もわかりません。

運用成績は7%前後

ところで、このグラフを見ると、株式の運用成績は7%前後です。トータルリターンが7%なら、私はそれ以上の成績を期待しません。SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)は、過去25年間8%以上の成績をおさめています。私は、それで十分です。

◎今日のテーマ:つみたてNISAとリバランス

つみたてNISAはリバランスを必要としない

2018年1月から始まった、つみたてNISAは、基本的に毎月一定額を積み立てて、売り買いをしないことになるのだろうと思います。そうすると、リバランス(あらかじめ決定したポートフォリオの割合に戻すために売り買いをすること)は必要ないとの考え方に基づいて積み立て、資産運用することになります。

iDeCoもリバランスを必要としない

またiDecoについても20年、30年間積み立て続けて、将来年金として受け取ることになるわけですが、そうすると、リバランスはしないことになると思います。
もしリバランスが、資産運用や長期投資において必要であれば、つみたてNISAやiDecoの制度にリバランスが組み込まれていなければいけませんが、そうはなっていません。

リバランスは他人の資金を運用するときに必要

私は、もともとリバランスと言うのは、運用者(厚生年金基金やGPIF)と資産の持ち主(厚生年金基金の業界の給与取得者や厚生年金の社会保険料支払い者)が別の人格である場合に、あらかじめ公表された資産割合で、資産運用をするために行う必要があるものだと思います。ところが、個人の資産運用の場合は、そのような方針に基づいて運用する必要がないと思います。

自分の資産をリバランスすればコスト高

つまり自分が納得していれば、リバランスの必要はないばかりか、リバランスをすれば売買手数料がかかってしまって、余計なコストがかかると思います。なお、ノーロードのインデックスファンドの場合にはコストがかかりません。ただし、株式のETF、インデックスファンドを減らせば、機会損失が発生します。

資金が余ったら買い、足りなければ売る

それでもリバランスが必要だと考えるなら、iDecoやつみたてNISAは利用できないことになります。生活資金のように、どうしても現金が必要になったら、必要額だけ資産を売却すればいいし、銀行預金やMRFなどの資産がたまってきて、それを投資したくなれば、ETFを買えばいいだけのことではないでしょうか。

ETF、インデックスファンドのまま10年持ち続ければ2倍

株式のETFの値下がりが怖いから、それを売って、国債にして10年間持ち続けるよりは、株式のETFのまま10年間持ち続けて、利回り7%で資産価額を2倍にするかの選択です。2倍になれば、50%株価が下がっても国債のまま保有するのと同じ結果になります。ただし、それはリーマンショック級の最悪の場合の話です。株式のETFのまま持ち続けて、2倍になるのを期待したいものです。

初期のポートフォリオ維持は趣味の範疇

当初のポートフォリオの割合でなければいやだというのは、私からすると、趣味の範疇に入ると思います。