私の運用実績2020年8月:運用益は渋谷区恵比寿西の52㎡新築マンション相当です

チャイナ3,000万円、コロナ4,000万円

運用益は、今年の3月と比べ、4,000万円増えて過去最高になりました。今までの最高は2019年12月で、コロナショックにより3月には4,000万円減少しましたが、その分を回復したことになります。2015年のチャイナショックの時には3000万円下落しましたが、減少率では今回と同程度です。

アメリカの株式なら、まだ信頼できる

このような下落は、人によっては耐えられないかもしれませんが、私はあわてて売りたいという気持ちには全くなりません。株式は過去200年以上、上下変動を伴いながらも成長しているので、高々40年ほどしか投資経歴の無い私の判断よりは、株式相場の方がよほど信頼できると考えています。ただし、その株式市場は、アメリカであって、日本ではありません。日本市場も少しずつアメリカに近づきつつありますが、問題は、通貨の円です。

日本はハイパーインフレを2回経験

日本は明治以来2回ハイパーインフレを経験しています。明治時代にはインフレで円の価値が半分になり、第2次世界大戦後は200分の1になりました。アメリカもインフレに翻弄された時期がありましたが、日本よりは遥かにまともです。

日本政府は国民の財産を守らない

日本政府は、国民の生命・財産を守ると言っていますが、少なくとも、財産を守れるかどうか疑問です。ごそっと、預金封鎖のような露骨なやり方で、まるごと召し上げることはしないでしょうが、いつの間にか少しずつ、あまり気づかれないように国民の財産を取り上げています。その具体的な方法は二通りです。

インフレ税

一つ目は、インフレ税です。クリストファー・シムズ 米プリンストン大学教授(ノーベル賞経済学者)は以下のように語ります。

物価上昇率2%

日本は、長期にわたるデフレと低成長、政府債務の拡大を経て、アベノミクス始動以来、主に金融緩和によって事態打開を図ってきましたが、利下げ余地のないゼロ金利下限では金融政策は効果を失っているため、財政拡大で物価上昇率2%を目指すことに重きを置くべきだとうったえています。

増税でなくインフレで相殺

具体的には、政府債務の一部を増税ではなくインフレで相殺すると宣言し、金融緩和に加えて財政拡大で人々のインフレ期待に働き掛けることが重要だと説いています。

日本への政策提案は以下の通りです。

「端的に言えば、ゼロ金利下限(Zero lower bound)と低インフレから脱するために、金融緩和と財政拡大を協調して実施することだ。財政拡大と言っても、無計画に歳出を増やしたり、財政赤字を膨らませと言っているわけではない。ここで主張したいのは、政府債務の一部が将来のインフレで相殺されるとの期待を人々に抱かせることの重要性である。

問題は、20年以上も物価の下落や低迷が続く日本のような国において、どのようにして、そうした期待を醸成できるかだが、1つの方法は、政府が財政拡大を2%のインフレ目標に明示的にリンクさせることだと考える。

非常に単純化して言えば、「物価水準の財政理論(FTPL:Fiscal Theory of the Price Level)」では、政府が財政支出を増やして増税で返そうとしなければ、物価水準の調整が起こる(インフレが起きて帳尻が合う)。この理論をもとに、2%インフレ目標の持続的な達成が視野に入るまでは、増税は行わず、財政拡大政策を続けると宣言することだ。

別の観点から言えば、ゼロ金利下限に直面している間は、「インフレ目標達成を担うのは中銀であるべきだ」という規範からは距離を置いた方が良いということである。なぜなら、今の日本のように政策金利が下がって利下げ余地がない状況に陥ると、物価水準は金融政策によってコントロールできないからだ。

具体的な財政拡大策のアイデアについては、以下の2点は検討の余地があるのではないか。まず、2%インフレ達成までは次の消費増税を延期すると宣言することだ。そして、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の改善目標についても、同様にインフレ目標の達成を条件とすることを提案したい。そうすることで、物価低迷が継続している間は、人々はPBの改善ペースが緩やかなものになると期待する。」

新型コロナウイルスで方向が決まった?

この提言は2017年に行われましたが、2020年の新型コロナウイルス騒動で、やむを得ずその道をとるような状況になっています。残るは、そのスピードがどれほど速いかではないでしょうか。8月30日に立憲民主党の枝野幸男代表はこのように語っています。「消費税については「税率を下げることや、一時的にゼロにするのは一つの考え方だ。」他に、年収1千万円以下の人の所得税を1~2年間ゼロにする案と、国民1人当たり毎月現金1万円を給付する案を示しています。

自分の財産は自分で守る

今年か来年の衆議院議員選挙に向けて、各党が提示する公約によって、インフレの可能性が大きくなりそうです。それに対処するために、国民は自分の財産を守る準備をしなくてはなりません。日本政府は、国民の財産を守ってくれません。

二つ目は、年金のマクロ経済スライドです。厚労省の説明を引用します。

マクロ経済スライド

マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。

マクロ経済スライド導入の経緯

平成16年に改正する前の制度では、将来の保険料の見通しを示した上で、給付水準と当面の保険料負担を見直し、それを法律で決めていました。しかし、少子高齢化が急速に進む中で、財政再計算を行う度に、最終的な保険料水準の見通しは上がり続け、将来の保険料負担がどこまで上昇するのかという懸念もありました。

そこで、平成16年の制度改正では、将来の現役世代の保険料負担が重くなりすぎないように、保険料水準がどこまで上昇するのか、また、そこに到達するまでの毎年度の保険料水準を法律で決めました。また、国が負担する割合も引き上げるとともに、積立金を活用していくことになり、公的年金財政の収入を決めました。

そして、この収入の範囲内で給付を行うため、「社会全体の公的年金制度を支える力(現役世代の人数)の変化」と「平均余命の伸びに伴う給付費の増加」というマクロでみた給付と負担の変動に応じて、給付水準を自動的に調整する仕組みを導入したのです。この仕組みを「マクロ経済スライド」と呼んでいます。

年金給付費と保険料収入のバランスの変化のイメージ

具体的な仕組み

(1)基本的な考え方

年金額は、賃金や物価が上昇すると増えていきますが、一定期間、年金額の伸びを調整する(賃金や物価が上昇するほどは増やさない)ことで、保険料収入などの財源の範囲内で給付を行いつつ、長期的に公的年金の財政を運営していきます。

5年に一度行う財政検証のときに、おおむね100年後に年金給付費1年分の積立金を持つことができるように、年金額の伸びの調整を行う期間(調整期間)を見通しています。

その後の財政検証で、年金財政の均衡を図ることができると見込まれる(マクロ経済スライドによる調整がなくても収支のバランスが取れる)場合には、こうした年金額の調整を終了します。

(2)調整期間における年金額の調整の具体的な仕組み

マクロ経済スライドによる調整期間の間は、賃金や物価による年金額の伸びから、「スライド調整率」を差し引いて、年金額を改定します。「スライド調整率」は、現役世代が減少していくことと平均余命が伸びていくことを考えて、「公的年金全体の被保険者の減少率の実績」と「平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)」で計算されます。

調整期間における年金額の調整の具体的な仕組み

(3)名目下限の設定

現在の制度では、マクロ経済スライドによる調整は「名目額」を下回らない範囲で行うことになっています。詳しい仕組みは、下の図を見てください。
※平成30年度以降は、「名目額」が前年度を下回らない措置を維持しつつ、賃金・物価の範囲内で前年度までの未調整分の調整を行う仕組みとなります。

名目下限の設定

(4)調整期間中の所得代替率

マクロ経済スライドによる調整期間の間は、所得代替率は低下していきます(所得代替率について詳しくは、「所得代替率の見通し」をご覧ください)。調整期間が終わると、原則、所得代替率は一定となります。

調整期間中の所得代替率

スライドの自動調整と所得代替率