借金大国ニッポン3:膨れ上がる国債 崖まで560メートル 戦争直後に日本は200倍のハイパーインフレ 崖が近付く要因

膨れ上がる国債の現在の状況

国債が毎年増えていても、まだ、個人の金融資産があるから大丈夫だという説明を聞くことがあります。
それではどのような状況になると問題なのでしょうか。2016年の終わりごろ、個人の金融資産が1800兆円あるけど、そのうち400兆円が住宅ローンなどの負債だとすると、実質的な資産は1800-400=1400兆円しかないので、その時点での国債を840兆円とすると、残りの1400-840=560兆円が今後の国債増発分を吸収できることになります。毎年増える国債が40兆円だとすると、あと14年経つと国債増発の引き受け資産が無くなることになります。

崖まで560メートル

これを崖にたとえてみましょう。1兆円を1メートルとします。日本は毎年、40メートルずつ、財政の崖に向かって進んでいます。崖までは残り560メートルです。崖まではまだ560メートルあるから、差し迫った恐怖を感じている人はまだ少ない用です。しかし、毎年確実に崖に向かっています。日本は草むらの中にいるようなもので、目の前しか見えません。もしドローンがあれば崖が近付いていることが分かるのですが、草丈が高いので崖は見えません。

戦争直後、日本は200倍のハイパーインフレを経験

他の国も国債を増発することは有りますが、金額の絶対額ではこれほど早いスピードで崖に向かっているわけでは有りません。過去において、ハイパーインフレに苦しんだドイツは、崖に近づくことに対しての警戒心が強いのです。しかし、日本は過去のことをすぐに忘れてしまいがちです。第2次大戦後にハイパーインフレで、物価が200倍になったり、預金封鎖したことを語り継いでいる人はいないのでしょうか。崖まではまだまだ遠い道のりなのだし、消費税増税などの手段を講じれば崖から遠ざかることもできると思っているようです。

ドイツは国債残高を減らし、米国は増やさない中、日本だけ着実に増加

他の国も国債残高が一定程度ありますが、日本ほどひどくは有りません。例えて言えば、崖までの距離が1000メートルもあれば崖に落ちる心配はまず有りませんし、崖に向かって進む速さが遅ければ崖に落ちる心配は有りません。ドイツは崖から遠ざかっていますし、アメリカもリーマンショックの後の2012年以降は止まっています。もし仮に、崖の高さが高くない国であれば、つまり、GDPの小さい国であれば、IMFなどに助けてもらえるかもしれませんが、日本ほどの経済大国が、これだけの借金を抱えていては、はたして救済できるのでしょうか。

これから14年で崖に到達?

崖までの距離が560メートルだから、1年、2年で崖に到達してしまうことはないかもしれないが、毎年確実に崖は近づいているのであり、今のままでは14年ほどで、崖が目の前に現れます。財政の面から見ると、歳入拡大も歳出削減もリフレも難しいというのが最近の実態です。

日銀OBは、円を持ちたがらず、外貨を買いたがる。

ところで、14年かからずに崖までたどり着くことは有りうるのでしょうか。あり得ます。逆にもっと先になることもありえます。
経済評論家のブログを読むと「私の周辺でも日銀OBたちが、退官して退職金の運用を始めるや『円』を持ちたがらず金とかドルを買いたがることは、これまでもお話ししてきました。」とあります。また、この種の話は私自身も友人から聞いています。今は、このような日銀OBの日本円離れの動きがわずかだから、あまり問題になりませんが、多くの国民が同じ動きをするようになると、ドル円は高くなり、その結果インフレになります。諸外国の例を見ると、それは突然やってくるようです。その場合には、崖が急速に近づくことになるかもしれません。

ところで「崖」とは何でしょうか。

「崖」とは今までの平穏な生活が続けられなくなることです。自分の財産が大地のようにしっかりしたものと思っていたのに、その財産が突然崩れ落ちることです。第2次大戦直後には、ハイパーインフレが起きてインフレ率20000%になりました。つまり、1000万円の貯金がると思っていたのが5万円の価値しかなくなってしまったのです。あるいは、金利が高くなって、不況倒産になり、収入が無くなってしまうかもしれません。他には、円や国債の暴落も考えられます。円が暴落すれば輸入品が高騰して、生活が苦しくなります。国債が暴落すると、倒産する銀行も出てくるでしょう。そうなれば、その銀行から借り入れを続けられるのかという心配もあります。どちらにしても、安全だと思っていた前提が崩れてしまうことです。

崖が近付く要因は何でしょうか。

このことを考える要素の主なものは以下の項目ではないかと思います。
+①国債残高増加
+②ヘッジファンドによる仕掛け
+③家計の資産が海外に逃避
+④大地震
-⑤緩やかなインフレ
-⑥経済成長
-⑦本格的財政再建
±⑧日米金利差拡大

丸付き数字の前の+と-の記号は、崖に進む場合が+、崖から離れる場合が-です。そして、それぞれ、進む速さと影響度等が異なりますので、それを表にしました。

崖が近付く要因

進む速さ(最大5個) 影響度(最大5個) 起る確率(最大5個) 備考
①国債残高増加 〇〇〇〇〇 〇〇〇〇〇 根雪がどんどん積み重なっている
②ヘッジファンドによる仕掛け +++ 〇〇〇 〇〇〇 崖に近づいてから仕掛けられる
③家計の資産が海外に逃避 ++++ 〇〇〇〇 〇〇〇〇 日銀OBを初めとしてすでに開始
④首都圏直下型大地震 +++++ 〇〇〇〇〇 〇〇〇 30年で70%の確率
⑤緩やかなインフレ 〇〇 〇〇〇〇〇 インフレ税。インフレ率5%、10になる恐れ
⑥十分な経済成長 他国並が精いっぱい
⑦本格的財政再建 --- 〇〇〇〇〇 十分な増税はほぼ不可能
⑧日米金利差拡大 ± 〇〇〇 国債暴落なら日本の金利上昇

今の日銀の政策には出口がない?

①は毎年確実に進んでいます。
⑤はまだ起こっていません。
⑥は世界経済が好調なので、少し進んでいますが国債残高を解決するには程遠い水準です。
⑦先延ばしの状態が進んでいます。
⑧日米金利差はアメリカのFRB資産縮小の進行度合いが当面大きな要因になると思います。拡大すれば、円安になりインフレが進んで2%が達成されます。そこで金融緩和を止めて、国債価格が下落し日本の金利が上昇すれば円高要因になるでしょう。しかし日本の金利が上がった時に日本の財政はどうなるのでしょうか。財政赤字の急速な増大になると思いますが、これは実現可能でしょうか。これがいわゆる出口論です。

崖はどこか?

今後10年ぐらいたつと②か③が起こる可能性もあります。
今は崖からとても遠くにいて、ほとんどの人は崖の存在に気が付いていないようです。というのも、日本がいる場所と崖の間に背の高い草があって、しかも途中にはところどころ森や霧が立ち込めるので、すぐそばまで近づかないと崖の存在に気が付かないのかもしれません。しかし世界及び日本の歴史から見れば、どこかには崖があると思われます。問題はどこにその崖があるかです。
②のヘッジファンドは崖が近付かないと、何らかの仕掛けを実施してこないでしょう。でも、いつ仕掛けてくるかもしれません。
③は、きわめてわずかではありますが、始まっていると思われます。例えば、日銀OBが退職金を外貨に移していること、あるいは実際に移していなくとも、移そうか真剣に考え始めたことです。そして、一般の人達も、iDecoやNISA、つみたてNISAを使って外貨のファンドを利用し始めたことです。
そこで④が発生すると、②と③が一気に加速する恐れがあります。その時には、その動きを止めることができるのでしょうか。世界的な自由経済が定着している中で、それを実施することは容易いことだとは思えません。