日本にハイパーインフレーションはやってくるのでしょうか。:自分の財産をインフレから守る。

ハイパーインフレーションとは?

最初に、ハイパーインフレーションとは何でしょうか。国際会計基準では3年間で累積100%のインフレと定義づけています。しかし、このような基準は私たち庶民にとってはあまり意味がありません。例えばインフレ率が3年で90%になった時に、ハイパーインフレでないといっても、無意味に聞こえるからです。生活に甚大な影響を与えるようなインフレというのが、実感に沿ったものでしょう。

インフレ率2%はどうでしょうか。

インフレ率2%は、日本銀行が目標としている率ですが、これをハイパーインフレという人はいないでしょう。しかし、2%が10年続いたら、複利で計算して物価上昇は22%になります。日本人はそのまま銀行に預金し続けるでしょうか。今は証券会社などで簡単に外貨MMFなどが購入できます。現在はインフレ率が、日本もアメリカもほぼゼロ近辺だから、日本の銀行預金を引き出して他の資産にしようとする人はあまりいませんが、インフレ率2%が何年も続くと、このまま銀行預金に預けておいてよいのかどうかを日本人は考え始めるのではないでしょうか。そして、インフレ率ゼロの現在でも、すでに考え始めた人たちがいます。それは、円のことを一番よく知っている、日本銀行や財務省を退職して、退職金を手にした人たちのようです。

インフレ率5%はどうでしょうか。

次にインフレ率5%が10年続いたらどうでしょうか。複利で計算して163%になります。物価が163%になれば、100万円の銀行預金の価値は、ゼロ金利が続けば61万円の価値しかなくなります。それでは嫌だから、ゼロ金利のままなら、個人の銀行預金は海外のMMF、米国債、ETFに逃げていくでしょう。そうすると円安になって、輸入品の価格が高騰してインフレは5%でとどまらずにどんどん上がることになります。

インフレ率5%の時に金利を上げられるでしょうか。

一方で国内の金利が上がれば、金融資産が外国に逃げずに日本にとどまりますが、副作用として景気が悪くなると同時に、1000兆円に上る国債の利払いも膨大になります。日本以外の国は、国債残高が少ないので、インフレになったら、金利を上げることができます。しかし、1000兆円にも上る国債を抱え込んだ日本は、はたして金利を上げることができるのでしょうか。

インフレ率10%はどうでしょうか。

あまりに激しすぎて、想像することができません。また、怖くて想像したくありません。

インフレ率が5%や10%になることはあり得るのでしょうか。

現在、財政赤字が毎年続いています。このため、国債残高がどんどん積み重なって来て、いつかは臨界点を超える恐れがあります。現在は、その臨界点に向かって着実に近づいてるだけで、きわめて穏やかな状況にあります。臨界点を超えるまでは、嵐は起らず、今までと同じように平穏な経済と生活が続くだろう思われます。コップに水を注ぎ続けた時に、臨界点に達しない限り、水はあふれることがないので、周りが水浸しになることがないのと似ています。そして、臨界点が近付いて来て、危険な状況に陥ったら、思い切った増税などを行えばいいと思っているのでしょうか。ひどいインフレにならない代わりに、大不況に陥るかもしれません。

首都圏直下型地震などが起こらない前提

ひどいインフレも起らず、増税不況にもならないという考えは、暗黙のうちに、あるいは無意識のうちに、ある前提を置いていると思えます。それは、首都圏直下型地震などが起こらないこと、第4次産業革命において日本が現在程度の競争力を維持できることです。さらに言えば、一般の市民や民間企業が円を売ってドルなどの外貨を買うことにより、自己資産をインフレから守るという行動をとろうとしないこと、などが考えられます。30年以内に首都圏直下型地震の起こる確率は70%とされています。もし大地震が起きれば、大型の財政出動が必要ですし、建設費の高騰が起こるでしょう。第4次産業革命は来るのでしょうか、その時、日本は今程度の競争力を世界の中で維持できるのでしょうか。それは現時点では全く分かりません。現在、一般の市民などが自分の資産を海外に避難させているかどうかは分かりませんが、投資ブロガーのブログを読んでいると、日本の円にある程度見切りをつけて、外貨を保有している人が多いようです。

自分の財産の守り方

さて、それでは、どのようにして自分の資産をインフレから守るか、という問題を考えましょう。激しいインフレになった場合には一般的に言って、不動産、国内の株式を買うことが考えられます。また、円があまり安くならないうちに、外貨建て株式、外貨MMFを買うなどの手段があると思います。一方で、そのような外貨の資産も、いざとなれば政府が資産課税をして、価値が低くなる恐れもあります。何が一番いいのかは、私の知識、経験ではわかりません。慌てて不動産などに手を出すよりは、日銀、財務省OBの資産防衛術を素早くキャッチして、少しずつ真似をすることが現実的かもしれません。とりあえずは、現在実際に行われているらしい手段、つまり、ドルや金を買うことを考えた方が良いかもしれません。当面、日本銀行、財務省OBの人達の退職金の行方にアンテナを張っておきたいものです。