黒柳徹子(くろやなぎてつこ 注①)が、TBSラジオの土曜ワイド・永六輔・その新世界のゲストで登場した時の話です。
黒柳徹子、渥美清、永六輔
「夢で逢いましょう」(注②)のみんな、渥美清(あつみきよし 注③)などはNHKに出ていたんで、有名になるのは早かったんですけど、お金がなくてみんな貧乏でした。でも「中華料理くらいは食べたい」というので、みんなで中華料理を食べに行ったんですけど、渥美さんが「どうしてもエビチリ食べたい。」って言うんで、エビチリは頼んだんですけど、そこにいた人の数からすると、エビの数が少ないと思ったんです。計算して「一人3個」「3個以上食べたら絶対だめだから」って言ったんです。そしたら渥美さんが、「いつか俺が働いて、数えなくてもいいように食わしてやるよ」って言ったんで、その時に永さんが「いやそんなことないよ。今が一番幸せなんだよ。年とって、ものが食べられなくなって、お腹がいっぱいになって、いっぱい余ってても食べられなくなる方が不幸せじゃないか。今のように、みんなで「3個」とか言っている今が一番幸せなんだよ。その頃みんな二十何歳ですかね。その時、永さんて「大往生」(注⑤)みたいなことを、そのときからおっしゃっていたんだな、と思います。
注① ザ・ベストテンで久米宏と司会をつとめました。黒柳徹子が書いた「窓際のトットちゃん」は800万部売れ、戦後最大のベストセラーと言われています。
注② NHKで1961年から66年まで放送されたバラエティー番組で、「上を向いた歩こう(注④)」「今日は赤ちゃん」が生まれた番組です。永六輔は放送作家であり、出演もしていました。
注③ 映画「寅さんシリーズ」の主役
注④ 「上を向いて歩こう」(うえをむいてあるこう、英題:スキヤキ、SUKIYAKI)は、坂本九の楽曲。作詞は永六輔、作曲は中村八大、プロデューサーは草野浩二。ビートルズのレコードで最もたくさん売れたのが「抱きしめたいI wanna hold your hands」で1200万枚ですが、「上を向いて歩こう」はそれを上回る1300万枚と言われています。ビルボード(Billboard)誌では、1963年6月15日付に、2019年まで日本人のみならずアジア圏歌手唯一となるシングル週間1位(3週連続第1位)を獲得しました。同誌の1963年度年間ランキングでは第10位にランクインしました。イギリスのジャズマンであるケニーボールが来日したとき、この曲のレコードを持ち帰り、イギリスでカバーしました。その時「上を向いて歩こう」という名前は長いので、ペトラクラークに相談し、日本の料理でイギリス人も知っている「スキヤキ」に決まりました。その後、この曲がアメリカで発売されることになり、坂本九が歌う原曲のまま発売したところ大ヒットしました。この曲の詞が良いと思ったベン・E・キング(スタンド・バイ・ミーのヒット曲で有名)は、日本語のまま歌ってカバーしました。
注⑤ 永六輔の書いたベストセラーで、200万部以上売れました。