金融広報中央委員会の2016年金融リテラシー調査 4

<昨日の続き>

金融広報中央委員会の金融リテラシー調査(2016年)の質問項目を題材に、個人のお金のことを考えてみたいと思います。

なお、私の意見は、⇒の後に示してあります。

Q8 今後必要になると意識している費用について、ご自分の場合の必要額を認識していますか。(1 つずつ)

Q9 今後必要になると意識している費用について、資金計画をたてていますか。(1 つずつ)

Q10 今後必要になると意識している費用について、資金を確保できていますか。(1 つずつ)

1. 定年退職後の生活費
2. 子どもの教育にかかる費用
3. 住宅の購入費用
4. 自分の医療・介護費用
5. 家族の医療・介護費用
6. 車の購入費用
7. 自分の結婚費用
8. 子どもの結婚費用

⇒ アンケートの回答で最も高い認識率・資金計画を示したのは、6.車の購入費用でした。その理由は、近い将来のことですし、価格が表示されているからだろうと思われます。

しかし他の項目は漠然と考えることはあっても、将来の不確定要素が多すぎて、具体的な金額を想定することが難しいし、仮に想定しても、その通りになる可能性は低いでしょう。

例えば3.住宅の購入費用については、将来自分は転勤してどこに住むのか、土地の価格はどれほど上昇するのか、地震による価格変動の影響はあるのかなど分からないことだらけで、考えることが嫌になってしまいます。一度は概算を想定することは有意義でしょうが、その後はあまり神経質にならない方が良いのではないかと思います。

それよりも、節約するための指針を決め、実行する方が有効なような気がします。

  • 電車・バスを利用できる人は自動車を持たない
  • コンビニは利用せず、スーパーマーケットで買い物をする
  • 外食をできるだけしない
  • 生命保険は勤めている会社の団体定期本にしか入らない
  • 医療保険・がん保険には入らない
  • イデコ、つみたてNISAを満額利用する
  • イデコ、つみたてNISAは外国株式インデックスファンドにする
  • 給与天引きの積み立てを実行する
  • 投資は、内外株式のETF、インデックスファンドにする
  • ETF、インデックスファンドは価格が下がっても基本的に売らない

等を実行すれば、65歳までに1億円以上の老後資金が獲得できるのではないかと思います。

Q11 病気、失業、不景気等の万が一の事態に備えて、3か月間分の生活費を確保してありますか。(1つだけ)
1. 確保している
2. 確保していない
3. わからない

⇒ この調査が行われたのは2016年で、経済が順調だった時期です。このため、予備の生活費は3か月で良かったのかもしれませんが、2020年のコロナ禍においては、3か月分では足りない可能性があります。アメリカの記事を見ていると、以前は3か月分の予備費が標準的でしたが、現在は6か月という記事もあります。日本においては、仕事の安定性にもよるでしょうが、1年分は必要かもしれません。

Q12 太郎と花子は同い年です。花子は 25 歳の時に年 10 万円の預金を始め、その後も毎年 10 万円の預金を続けました。一方、太郎は 25 歳の時には預金をせず、50 歳の時に年 20 万円の預金を始めました。二人が 75 歳になったとき、どちらの預金残高が多いでしょうか。(1つだけ)

1. 預け入れた金額は全く同じのため、二人の預金残高は同じである
2. 各年の預け入れ額が多いため、太郎の預金残高の方が多い
3. 預け入れ額が多いため、花子の預金残高の方が多い
4. 複利で利子がつく期間が長いため、花子の預金残高の方が多い

⇒ 金利が0%なら、二人とも5百万円で差はありません。しかし、現在超低金利時代であるとはいえ、わずかに金利は付きます。ところで、花子と太郎は、銀行に預けずにインデックスファンドに投資するとします。インデックスファンドで現在人気のあるのが、外国株式インデックスファンドです。その利回りを5%として計算しますが、5%という数字は控えめに見たものです。花子は2千万円超、太郎は9百万円超に増え、花子の方が残高は大きくなりました。

複利の効果は長期間にわたるほど大きくなります。

年齢 花子:金利0% 花子:金利5%
25 100,000 100,000
26 200,000 205,000
27 300,000 315,250
28 400,000 431,013
29 500,000 552,563
30 600,000 680,191
31 700,000 814,201
32 800,000 954,911
33 900,000 1,102,656
34 1,000,000 1,257,789
35 1,100,000 1,420,679
36 1,200,000 1,591,713
37 1,300,000 1,771,298
38 1,400,000 1,959,863
39 1,500,000 2,157,856
40 1,600,000 2,365,749
41 1,700,000 2,584,037
42 1,800,000 2,813,238
43 1,900,000 3,053,900
44 2,000,000 3,306,595
45 2,100,000 3,571,925
46 2,200,000 3,850,521
47 2,300,000 4,143,048
48 2,400,000 4,450,200
49 2,500,000 太郎:金利0% 4,772,710 太郎:金利5%
50 2,600,000 200,000 5,111,345 200,000
51 2,700,000 400,000 5,466,913 410,000
52 2,800,000 600,000 5,840,258 630,500
53 2,900,000 800,000 6,232,271 862,025
54 3,000,000 1,000,000 6,643,885 1,105,126
55 3,100,000 1,200,000 7,076,079 1,360,383
56 3,200,000 1,400,000 7,529,883 1,628,402
57 3,300,000 1,600,000 8,006,377 1,909,822
58 3,400,000 1,800,000 8,506,696 2,205,313
59 3,500,000 2,000,000 9,032,031 2,515,579
60 3,600,000 2,200,000 9,583,632 2,841,357
61 3,700,000 2,400,000 10,162,814 3,183,425
62 3,800,000 2,600,000 10,770,955 3,542,597
63 3,900,000 2,800,000 11,409,502 3,919,726
64 4,000,000 3,000,000 12,079,977 4,315,713
65 4,100,000 3,200,000 12,783,976 4,731,498
66 4,200,000 3,400,000 13,523,175 5,168,073
67 4,300,000 3,600,000 14,299,334 5,626,477
68 4,400,000 3,800,000 15,114,301 6,107,801
69 4,500,000 4,000,000 15,970,016 6,613,191
70 4,600,000 4,200,000 16,868,516 7,143,850
71 4,700,000 4,400,000 17,811,942 7,701,043
72 4,800,000 4,600,000 18,802,539 8,286,095
73 4,900,000 4,800,000 19,842,666 8,900,400
74 5,000,000 5,000,000 20,934,800 9,545,420

<明日に続く>

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