<昨日からの続き>
NHKラジオ第1のラジオ深夜便という番組で精神科医の保坂隆が、「わたし終い(しまい)の極意」を放送しました。その内容を記述しました。今日はその3日目です。
保坂隆は、精神科医、クリニック院長で、慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。米国カリフォルニア大学へ留学後、東海大学医学部教授、聖路加国際病院リエゾンセンター長、同精神腫瘍科部長などを歴任しています。
1952年、山梨県生まれで、今年で69歳、ガン患者とその家族の心のケアに当たるサイコオンコロジーが専門です。
医師として実際に看取った話
ご主人がなくなるとき、奥様が看取って「自分と結婚してくれてありがとう。」という場面ですよね。これ、自分で言えるかと思っちゃうんですけどね。それに対して奥様が、「私を選んでくれてありがとう。」という場面を実際に見たんです。その時、ぞくっとしたけど、こういう風にお互いが、「ありがとう」って、感謝し合いながら亡くなることが理想的なんだな、って思ったんです。子供さんたちも、「自分を生んでくれてありがとう」って言ったり、親御さんからは子供さんに「自分のところに生まれてきてくれてありがとう」、とか友人もそうですけど、亡くなるときは、「ありがとう」っていう言葉が自然に言えることが理想的だと思うんですけど、それを目指したいですね。
感謝をして人生を終えるということです。
終活について
ちょっと気が早いけど、50歳になるかならないかのうちに自分のお墓を作った。自分の家の近くにたまたまそういうものが出たので、すぐに買ってしまったら、なぜか落ち着くんです。というのは、自分が死んだらここに行くのかっていうことです。ここから見える風景も分かる。死んだあとはこうなるんだというのが分かると、買ってよかったと今では思いますね。
遺品の整理
あと、なとなった後、遺族の方が「これ、捨てちゃいけないよな、と迷うものがたくさんある。僕の場合には、燃やしたり処分ができないものは、人にあげたりするんです。
論文、雑誌、火葬、墓
僕のように半分学者で、半分臨床医をやっていた人間にとっては、論文書いて、それが雑誌に載って、論文の別刷りだとか雑誌がたくさんあって、今では段ボールで3箱ぐらいに減らしたんですけど、これは、僕にとってはものすごく価値のあるものなんです。40年間の足跡ですよね。これは自分の寝室には、ちゃんと置いてあるんです。それに囲まれながら、生活してあるんですけど、でもね、これはほかの人にとっては何の意味もないものなんです。ですから、妻に対しては、これは火葬場で一緒に燃やしてくれと、そういったことは頼んであるんで、安心して自分の業績と一緒に旅立って、あそこのお墓に入って、そこから西の方向を見て、西には山梨県があって、自分の生まれた土地を見ながら死んでからも暮らせるんだなと思っちゃうんです。
私じまいの極意は「孤独力」です
孤独力は一人でも楽しめて、みんなでも楽しめて、「一人」でと「みんな」での間を自由に行き来できる能力のことです。周囲の人とも仲良くして、そしてお互いが「ありがとう」って言える最終章を送って、最後の最後は亡くなっていきたい。
ラジオの放送内容は以上ですが、著書を何冊かご紹介します。
私は、毎日寝る前に数ページずつ読んでから寝ます。心が落ち着いてよく眠れます。
図解 50歳からの人生が楽しくなる生き方 ディスカヴァー・トゥエンティワン
精神科医が教える 60歳からの人生を楽しむ孤独力 (だいわ文庫)
がんになったらまず読む本 これだけ知っておけば、治療も生活も迷わない 朝日新聞出版
精神科医が教える ちょこっとずぼら老後のすすめ 海竜社
精神科医が教える還暦からの上機嫌な人生 (だいわ文庫)
がんでも、なぜか長生きする人の「心」の共通点 朝日新聞出版
精神科医が教える心の疲れがたまったときに読む本 (だいわ文庫)
精神科医が教える 心が安らぐ「老後のシンプル生活術」 PHP文庫
「ひとり老後」の楽しみ方 (PHP文庫)
精神科医がすすめる脳が若返るおとなの学び術 海竜社
精神科医が教える 人生をもっと楽しむ「老後の学び術」 PHP文庫
精神科医が教える 定年から元気になる「老後の暮らし方」 PHP文庫
人間、60歳からが一番おもしろい! : この「ぜいたく時間」の過ごし方 (知的生きかた文庫)
精神科医が教える 心が軽くなる「老後の整理術」 (PHP文庫)
50代から「楽しい老後」の準備をはじめなさい (中経の文庫)
精神科医が教える50歳からのお金がなくても平気な老後術 (だいわ文庫)
精神科医がたどりついた「孤独力」からのすすめ さくら舎
精神科医が教える イライラが消える「老後の快適生活術」 PHP文庫
精神科医が教える 老後のお金との賢いつき合い方: 知らないと損する! 後悔する! (知的生きかた文庫)
つらい時に力をくれる「心の名医」100の言葉(PHP文庫)
女性のための「老後の楽しみ方」(PHP文庫)
空海に出会った精神科医: その生き方・死に方に現代を問う 大法輪閣