加入しない方が良いかも知れない制度 1

私は財形、DCを利用

私は今まで、財形(勤労者財産形成促進制度)、企業型確定拠出年金制度(DC)を利用してきましたが、良い面もあり、悪い面もありました。財形は現在も細々と残っていますが、実質的には衰退に向かっています。なお、私は最近まで財形年金を受け取っていましたが、それも終了したので、財形との縁は切れました。

NISA、イデコ、課税される投信積立

財形を利用するよりは、まずはつみたてNISA、一般NISA、イデコを利用し、加えて課税される投信積立を推奨します。

課税される投信積立

「課税される」と書くと、損をしたように思うかもしれませんが、私の資産の9割以上は課税される商品で、それでも10年経つと2倍に増えるので心配いりません。逆に課税されない商品が、何千万円も、何億円もあれば、税制上、その方が問題です。

株式ETFや低コストのインデックスファンド

今から30年前、40年前には財形ぐらいしかまともな制度がなかったのです。しかし、現在は株式ETFや低コストのインデックスファンドが、品揃え、コスト、利用しやすさの面で進化していますので、有名な制度を利用することはありません。利用すべきかどうかを慎重に巻気た方が良い具体例が、財形、小規模企業共済、国民年金基金でしょう。これらの制度に関して現状を確認したいと思います。

1.財形(勤労者財産形成促進制度)

財形の利率は現在1%以下ですが、1980年代には5%を超える時期もありました。私は1980年代から2000年代まで、住宅財形、一般財形、年金財形を利用しました。給与天引きなので、無駄遣いをせずに貯蓄し、節税効果もありました。30年間にわたり平均利回りは2~3%程度だったと思います。現在は、外国株式のETFやインデックスを中心に運用すれば6~7%の利回りがありますが、ETFや低コストインデックスファンドが誕生したのは21世紀に入ってからなので、私の若いころには利用できませんでした。

財形制度を利用すべきか

結論から言えば、現在の財形は利回りが低いので利用すべきではありません。また、新規加入を中止している生命保険会社も多くなっています。財形は過去の遺物のように思えます。

財形の現状について確認をします。

勤労者財産形成貯蓄制度の概要

勤労者財産形成貯蓄制度
(財形貯蓄取扱機関:銀行、証券、生保、損保等)

一般財形貯蓄(S46.6~) ※年齢要件なし

  • 目的自由
  • 利子等は課税
  • 契約数508万件、貯蓄残高11兆1,573億円(R2.3末)

財形年金貯蓄(S57.10~) ※貯蓄開始は55歳未満

  • 年金として受取(満60歳以上)
  • 定額型・逓増型・前厚型から受取方法を選択
  • 財形住宅と合わせて550万円(生命保険等の場合は385万円)まで利子非課税
  • 契約数161万件、貯蓄残高2兆9,079億円(R2.3末)

財形住宅貯蓄(S63.4~) ※貯蓄開始は55歳未満

  • 住宅の取得・増改築等の費用に充当
  • 財形年金と合わせて550万円まで利子非課税
  • 契約数64万件、貯蓄残高1兆6,261億円(R2.3末)

財形持家融資制度の概要

  • 財形持家融資制度は、財形貯蓄を利用している勤労者に対し、保有する財形貯蓄残高の10倍(上限4,000万円)の範囲内で、事業主を通じて(転貸融資)又は直接に(直接融資)、住宅を建設・購入又は改良するために必要な資金を融資する制度。

財形の利用状況推移

棒グラフは貯蓄残高、折れ線グラフは契約件数です。契約件数は平成の初めをピークとして、また、貯蓄残高は平成10年ごろをピークとして、その後の減少の一途をたどっています。この現象の理由は、利率の低さ、新規加入受付の禁止、財形以外の優良な金融商品、財産形成度の充実の進展だと思います。財形貯蓄の利用件数・貯蓄残高は引き続き減少の傾向にあります。

最近の状況について平成元年のデータを載せます。

  • 制度      契約件数(千件)  貯蓄残高(百万円)
  • 一般財形貯蓄  5,075      11,157,306
  • 財形年金貯蓄  1,609        2,907,892
  • 財形住宅貯蓄     637        1,626,107
  • 合計      7,321      15,691,306

財形貯蓄制度をめぐる状況

  • 財形貯蓄制度の導入割合は年々減少している。社内預金制度も同様に減少しており、企業の貯蓄制度は減少傾向にある。
  • 雇用者世帯の持家率は60%で、自営業主世帯が80%台よりはるかに低くなっている。
  • 勤労者の持ち家率は、最近20歳代、30歳代の持家世帯割合の増加が顕著で、55%程度になってきた。
  • 住宅ローンの新規貸出額は、平成7年度をピークに漸減傾向となっていたところ、近年は20兆円前後で推移している。
  • 令和元年度の財形持家融資の実績は、貸付決定件数が939件、貸付決定額は154億円となり、平成15年の数十分の一に減少している。

フラット35の充実

住宅ローンについては、フラット35が充実してきたり、あるいは、貸出先として安全なことから銀行が力を入れているために、財形の制度を利用するメリットが大幅に減少したようです。

財形を利用するメリットが見当たらない

このように財形制度は、利率が低いことに加えて、住宅ローンの制度としても魅力がないので、もはや、その役目を終えつつあるようです。最近、財形制度の利用を紹介するファイナンシャルプランナーの新聞記事を目にしましたが、何のために紹介しているのか、私には全く理解できませんでした。

中抜きしたETFやインデックスファンド

ETFやインデックスファンドなど、中抜きをした商品がどんどん充実している中で、人件費の高い金融機関や(独)勤労者退職金共済機構を通すメリットが全く感じられません。

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