人生の3大出費は、3大支出とは「住宅資金・教育資金・老後資金」と言われています。
土地バブル
この3つの項目とも、大きな変動があり、なかなか予定通りにはいきません。私が、1970年代にサラリーマンになるとすぐに第2次オイルショックがやって来て、その数年後には、土地バブルが来ました。
自宅購入をあきらめた土地バブル時代
下のグラフは、1975年から2019年までの地価変動率の推移です。1985年までは、上昇率が10%でしたが、1986年から数年間10%を超えました。この頃、私は社宅に住んでいましたが、東京23区内に一戸建ての住宅を買うことは無理だとあきらめていました。しかし、それから10数年たつと、地価も落ち着いて何とか土地を購入し住宅を手に入れることができました。
22歳で終わらない教育費
次に子供は大学まで順調に入りましたが、その後に進学をして余計に出費が重なりました。一般的なライフプランニングの表は、22歳で大学を卒業して教育費が終了するように書かれていますが、私の周りを見ても海外留学、大学院進学、留年など、社会人になるまでに何年もかかる人がかなりいます。特に音楽にはお金がかかるようで、作曲家の三枝重明は、「子供を音楽家にしようと思うなら、収入は期待できないので、一生養うだけのお金を親が用意しなければならない」と言っていました。一生涯生活するには2億円は必要でしょうから、親が2億円をあらかじめ用意する必要があるということです。
定職に就かない子供、契約社員のままで親と同居
音楽家にならずとも、25歳になっても定職がなく、これから専門学校に入りなおそうかと迷っている人、30歳過ぎても契約社員のままで、親と同居している人など、なかなか親の手を離れない人もいます。
夫婦共稼ぎが当たり前の時代
今は老後になっても、なかなか出費のめどが立ちにくくなっています。昔は、夫が外で働いて、妻は主婦として家庭を守っていましたが、夫の年収が増えず、優秀な女性も増えてきたので、夫婦共稼ぎが当たり前の時代になってきました。子供が生まれると、保育園などに預ける選択肢もありますが、老夫婦世帯の家の近くに住んで幼児の世話を見てもらうという人もいます。そのためには郊外ではなく都区内に住宅を購入する必要があり、その資金の一部を親が贈与するという場合もあります。政府としても、親の資産を子供世代に早く移転させるために、住宅取得等資金を直系尊属から贈与する場合に、非課税にする制度もあります。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与
令和3年12月31日までの間に父母や祖父母など、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合、以下の要件を満たしていると、この非課税制度の適用を受けることができます。
非課税制度を受けられる主な要件
- 贈与者が直系尊属(父母・祖父母など)
- 受贈者が贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の直系卑属(子・孫など)で、贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下
- 取得した住宅の床面積が50㎡(合計所得金額が1000万円以下である場合に限り40㎡)以上240㎡以下
人生には、思わぬ出費があって、なかなか予定通りにはいかないものです。
老後の4%ルール
アメリカには、老後の4%ルールというものが知られています。4%ルールとは、年間支出の25倍の資産を築けば、年利4%の運用益で生活費をまかなえるという考え方です。年間支出が仮に300万円なら、7,500万円の資産を築いて年利4%で運用すれば、理論上は資産を維持したまま生活できるということです。
厚生年金があれば2700万円が必要
しかし、日本では厚生年金などがありますから、それほど多額の資産を築く必要はないでしょう。厚生年金が月20万円とすると、年で240万円、20年で4800万円ですから、それを7500万円から差し引いて、2700万円が必要ということになります。相続資産が費用なら、さらに減らすことができます。
2021年6月30日のブルームバーグに、この件についての記事がありましたので、勉強してみましょう。以下は拙訳です。
退職者は4%の引き出しルールを忘れなさい
株式や債券のリターンが不確実で、インフレが不気味に迫っている中、毎年いくら引き出すかという古い経験則は捨て去る必要があります。
長年働いて運用く100万ドルを401(k)退職勘定に蓄えたとしましょう。しかし、多くの場合と同様にパンデミックが襲ってきたために、職場にいることを考え直し、経営者も高齢の従業員を追い出し始めた、そこで退職を決意することにしました。
どうしたら100万ドルを安全に引き出し、死ぬまでに使い果たさずにできるでしょうか。たぶん二つの方法を考えるでしょう。後先を考えずに生き、必要なだけお金を引き出すか、夫婦の残りの人生のために節約して浪費しないで長持ちさせることです。両方の決断も間違っています。
私がどうすべきかを言う前に、このお金の問題はアメリカ人に特有であることを思い出してください。他の裕福な国では、高齢者がいちかばちかの複雑なお金の決断をする必要がありません。ちゃんと決断するためには、夫婦がいつ死ぬか、金融市場がどうなっていくかについて想定する必要があります。1万ドルを待っているよりも、それ以下の価値しか受け取れないとしても、あまりがっかりしないという調査結果であっても不思議ではありません。
経験則は、一般的に全資産の4%を毎年引き出すことでした。長年にわたって、ファイナンシャル・プランナーは、低コストの保守的ポートフォリオを持っていて、最悪シナリオのためにバッファーを持っておきたいと考えるなら、4%が安全な引出し割合だという1994年の研究結果を使います。
ある特定の数字があることは素晴らしいことで、何もわからずに途方に暮れているなら、これで少しは自信がつくでしょう。
しかし今の唯一の現実的ルールとして、盲目的に4%に固執することが危険であるということです。ほとんどの専門家は、株式と債券のリターンが過去と同じであると想定していては、もはや安全ではないという考えで一致しているため、3%か3.5%の引き出し率が安全かもしれません。将来のインフレ率、特に医療費の自己負担については、4%の引き出し比率はあまりに高すぎる。それでも3%は低すぎると考える人もいるかもしれず、誰も25,000ドルを持ったまま貧しく死ぬのは嫌です。
年金を好むアドバイザーもいますが、私的年金は用心しなければいけません。年金に関して最良の方法は、例え老後資産に手をつけざるを得なくなったとしても、社会保障給付金の申請を遅らせることです。社会保障給付金は(将来の物価上昇に対して)物価スライド方式で、夫婦が生きている限り支払いは続きます。
老後資産を使い、社会保障給付金を遅らせることで、物価スライドの社会保障給付金を年率8%増加させることができます。もし、例えば70歳まで社会保障収入を得られ、資産引き出し年数が少なくなるので引き出し率が5% 近くになり、ぜいたくに暮らすことができます。