統計や調査はあまりあてになりません。
ある会社が、〈首都圏版/関東〉これまでに住んでよかった街ランキングを発表しました。その1位は横浜市、その後に吉祥寺、大宮が続き、東京23区は中野が4位、荻窪が7位で、2つだけでした。
1位 横浜(神奈川県) 506点
2位 吉祥寺(東京都) 384点
3位 大宮(埼玉県) 350点
4位 中野(東京都) 291点
5位 浦和(埼玉県) 289点
6位 川崎(神奈川県) 281点
7位 津田沼(千葉県) 264点
7位 荻窪(東京都) 264点
9位 三鷹(東京都) 259点
10位 川口(埼玉県) 246点
11位 柏(千葉県) 237点
12位 町田(東京都) 209点
13位 船橋(千葉県) 195点
14位 川越(埼玉県) 187点
15位 高円寺(東京都) 185点
16位 千葉(千葉県) 184点
16位 池袋(東京都) 184点
18位 立川(東京都) 182点
19位 調布(東京都) 179点
19位 茅ヶ崎(神奈川県) 179点
学生時代の居住経験?
1位の横浜が、横浜駅周辺を指すのか、あるいは、横浜市を指すのかは、回答した人の主観によりますから、正確には分かりません。しかし、横浜市の人口は377万人もいて、東京23区で一番人口の多い世田谷区94万人の4倍もいるのです。人口が多ければ、住んだ経験のある人も多いので、上位にランクされる可能性があります。東京で最高級の千代田区、子育て世代に人気の文京区などは住宅費が高いので、そもそも住んだ経験のある人があまりいません。東京23区内で20位以内にランクされているのは、中野、荻窪、高円寺、池袋ですから、学生時代に大学に通うために住んだ町かもしれません。
インターネット調査
さらにこの調査は、インターネット調査で、回答するとポイントが付くなどの特典があるので、回答者に偏りが発生します。年齢の偏りを調整できたとしても、進取の気性や興味関心を調整することはできません。その結果、実力的には上位に来るエリアが外れ、2番手どころか、3番手、4番手クラスの町が上位にランクされる可能性が高いのです。
住宅ランキングには、他にも以下のようなものがありますが、あまりあてにせず、娯楽の一つとして受け止めた方が良いかも知れません。
借りて住みたい街
買って住みたい街
建てて住みたい街・
これまでに住んで良かった街
資産価値から選ぶ街
お財布にやさしい街
恋人と同棲したら住みたい街
子育てするときに住みたい街
新社会人におすすめの街
昔は年収の5倍の住宅
それにしても、東京で家を持つことはなかなか大変です。昔は年収の5倍の住宅購入費が相場と言われ、1990年頃の不動産バブルの頃は、山梨県まで行かないと、その価格帯の住宅はありませんでした。現在は、夫婦共稼ぎ世帯が多いのですが、女性は出産後、正社員から非正規社員になる人が多く、男性も終身雇用が危うくなってきていますから、
現在の勤労者世帯年収
現在の関東大都市圏の勤労者世帯年収、貯蓄、負債、負債のうちの住宅・土地を確認しましょう。(単位:万円)
年収は800万円台後半から800万円前後に減少し、負債が二倍程度に増えました。負債のほとんどは住宅・土地です。
区分 | 世帯年収 | 貯蓄 | 負債 | うち住宅・土地 |
平成元 | 730 | 1,101 | 456 | 425 |
6 | 854 | 1,436 | 497 | 468 |
11 | 859 | 1,496 | 746 | 651 |
16 | 796 | 1,400 | 846 | 804 |
21 | 804 | 1,366 | 821 | 782 |
26 | 775 | 1,519 | 891 | 846 |
令和元 | 809 | 1,642 | 960 | 908 |
首都圏の住宅価格の年収倍率の推移
首都圏の住宅価格と年収倍率が下記のように公表されています。マンションなら7倍、建売住宅なら6~7倍というところです。
平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | ||
年収(万円) | 806 | 818 | 802 | |
マンション | 価格(万円) | 5,490 | 5,908 | 5,871 |
年収倍率 | 6.8倍 | 7.2倍 | 7.3倍 | |
床面積(㎡) | 69.2 | 68.8 | 67.6 | |
建売住宅 | 価格(万円) | 4,970 | 4,833 | 5,168 |
年収倍率 | 6.2倍 | 5.9倍 | 6.4倍 | |
敷地面積(㎡) | 124.3 | 126 | 124.1 | |
床面積(㎡) | 99.3 | 99.6 | 99.2 |
現在は年収の7倍
年収からみる住宅予算(いくらまでの家が買えるか)
頭金・ボーナス払い0円/35年ローン
年収 | 住宅予算 |
400万円 | 3,180万円 |
500万円 | 3,940万円 |
600万円 | 4,730万円 |
700万円 | 5,520万円 |
800万円 | 6,300万円 |
1,000万円 | 7,880万円 |
かつて住宅は「年収の5倍」と言う数字は、現在は7倍に増えていますが、その理由は、
- 当時は2割の頭金が必要でしたが、現在は頭金0円でも住宅ローンを借りられる
- 当時は住宅ローンの金利が5%以上という高金利でしたが、現在は固定でも1%程度
ということが挙げられそうです。
35歳で住宅を購入して70才まで住宅ローンを返済するとなると、70歳まで勤めている必要があります。
70歳、65歳、60歳定年、45歳定年、40歳定年
自分が70歳になるまで、勤めている会社が存在しているでしょうか。会社が存在していても自分が解雇されずに在籍できるでしょうか。最近、サントリーの新浪社長は、45歳定年制を提唱しました。それ以前に柳川範之東大教授が40歳定年制を提案したこともありました。その10年ほど前に、東大教授の定年は60才だったのを65歳に引き上げたのですから、「まず自分のところの定年を40歳にしてから提案してほしい。」と思いました。企業の経営者も、45歳以上で残ってほしい社員はほんのわずかですから、組織の新陳代謝を図る意味で45歳定年制を言いたい気持ちもわからないではありませんが、今のところ、ただの思い付きとしか受け取れず、具体的解決策とは思えません。
50歳以上はいらないパナソニック
2000年頃、松下電器産業(現パナソニック)が大リストラを行って、「50歳以上の社員は全員辞めてほしい」と言ったことがありました。その時は60か月分の割増退職金が出たそうです。60か月は5年と思いがちですが、ボーナスが出ませんので、実際には4年弱に相当します。
早期退職で成功した人
早期退職の道を選んで、つらい思いをした人も多いのですが、わずかではありますが成功した人もいます。中には50代半ばで4年分の早期退職割増金を受け取って、早々と引退しハッピーだった人もいます。
住宅ローンの組み方
おそらく、これからは70才や65才はもちろんのこと、50歳まで現在の会社に残れるかどうかわからない時代になるという覚悟の下に、住宅ローンを組むのはあながち保守的に過ぎるとは言い切れないかもしれません。