娘のポートフォリオと運用実績2022年10月

若い人はネット証券で低コストインデックスファンド

娘のポートフォリオのうち、左上の二つがNISAで運用し、それ以外の課税投信は普通に課税される投信です。娘は、投資開始時にある程度の銀行預金があったので、つみたてNISAではなく、NISAを利用しました。

私と連れ合いは野村證券で株式ETFを中心に運用していますが、娘はSBI証券でインデックスファンドを運用しています。私と連れ合いが投資を始めた10年以上前には、現在のような低コストインデックスファンドが誕生していなかったので、選択肢はアメリカの株式ETFだけだったのです。株式ETFは、どの証券会社でも信託報酬が同じですし、野村證券でも主要な外国株式ETFは扱っていましたから、最初の売買手数料が多少かかっても、長期保有ならそれほど高コストにはなりません。したがって、比較的高齢で既に野村証券などの対面証券会社に口座を持っていて、ネット証券を利用したくない人は、株式ETFに投資すればよいと思います。注意すべきことは、証券会社の勧める商品を買わないことです。証券会社の勧める商品は、アクティブファンド、ファンドラップなど、高コストの商品ばかりです。証券会社は、良いカモが来たと思って熱心に勧めますから、それを無視してS&P500などの株式ETFを買うことです。

一方で、若い人で、今後積立投資をする人は、ネット証券に口座を開設してインデックスファンドを利用することが必須でしょう。投資は、次の3銘柄から選ぶことを勧めています。どれも、純資産総額が大きく、信託報酬が0.1%以下です。

ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
SBI-SBI・V・S&P500インデックス・ファンド

この3銘柄の投資割合は、本人が自由に、あるいは適当に決めて投資しています。

この3銘柄の中で、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドだけは、イデコで利用できないので、もし、S&P500のインデックス・ファンドを利用したければ、三菱UFJ国際-eMAXIS SlimのS&P500を選べばよいでしょう。

娘の運用実績に関しては、6月と8月に追加投資しています。6月に評価額が減少したものの、9月までの評価額は上昇しています。アメリカの株価が大きく下落していますが、ドルに対して円が急激に安くなっているので、株価下落分をカバーしているようです。しかし、来年になって、日銀総裁が交代すると、現在の1ドル150円が130円位になるかも知れませんから、アメリカ株価の下落分をカバーできないかもしれません。

イギリスでは、通貨、債券、株式のトリプル安が発生し、経済が混乱したため、首相が短期間で交代するという異常な事態に陥っていますが、遥かにひどい財政状態の日本が、このまま平穏でいられると考えるのは、あまりにのん気でしょう。

ニューズウィーク日本版とブルームバーグの記事を見てみましょう。


トリプル安の英経済より危険...「危機的状況」すら反映できない日本市場のマヒ状態

10/5(水)  ニューズウィーク日本版

<通貨、債券、株式のトリプル安に見舞われ、看板政策の取り下げを余儀なくされた英トラス政権だが、市場が正常に機能しているのは救いだ>【加谷珪一(経済評論家)】

新政権の経済政策をめぐってイギリスの市場が大混乱となっている。リズ・トラス首相が積極財政策と国債大増発を打ち出したことで、通貨、債券、株式のトリプル安が発生。新政権の経済政策に市場が明確なノーを突きつけたことから、トラス政権は早々に減税策の撤回に追い込まれた。

市場には、その国の経済政策が合理的なのかを示すリトマス試験紙としての役割がある。イギリスの市場は良くも悪くもその役割を果たした格好だが、翻って今の日本市場は機能が半分停止した状態にあり、経済状況について正しく認識することができない。

イギリスの債券市場では英国債の売りが急増しており、10年債の利回りは4%を突破した。これに伴って英ポンドは対ドルで1985年以来の安値を付け、ロンドン株も大きく値を下げた

トラス政権は所得税の最高税率引き下げや法人増税の凍結などを表明し、財源として国債の大増発を行う経済政策を打ち出した。イギリスは8月の消費者物価指数が前年同月比9.9%という深刻なインフレに見舞われている。インフレが進んでいるときに需要を喚起する積極財政を行えば、インフレがさらに加速するのは自明の理であり、市場はそのとおりに反応し、債券安、通貨安、株安となった。

経済学の理論上、インフレの進行時には需要を喚起するのではなく、需要を抑制し、供給を強化しなければ事態を改善できない(インフレの種類は問わない)。実際、アメリカは利上げによる需要抑制策を実施しており、トラス政権が打ち出した政策はこれとは正反対の中身である。もし失敗すれば、さらなる通貨安や株安を招くのは確実だった。

■EU離脱で追い込まれているイギリスの現状

先日、行われた英保守党の党首選では、積極財政を掲げるトラス氏と、インフレ抑制を主張するリシ・スナク氏の争いとなり、トラス氏が勝利した。トラス氏がリスクの高い政策を掲げた背景には、EUから離脱し、今後の成長シナリオを描けなくなっているイギリスの厳しい現実がある。

同じタイミングで、圧倒的な存在感を放っていたエリザベス女王が死去し、英連邦各国が共和制移行への動きを見せるなど、大英帝国の衰退を印象付ける形となった。イギリスはEUに加盟したものの自国通貨を維持するなど、伝統に従った孤立主義を貫いており、こうしたイギリスの国家戦略は王室を抜きに語ることはできない。

ちなみにトラス氏は若い頃、扇動的な共和主義者であり、王室廃止を訴えていたと報じられている。エリザベス女王は、EU離脱によってイギリスの行く末が危ぶまれるなか、死去したわけだが、亡くなる2日前、最後の力を振り絞って任命した宰相が元共和主義者というのは皮肉な結果である。

英市場と違って機能不全に陥った日本市場

最終的にどのような政策を実施するのかは、市場ではなく英国民が決めることだが、健全な市場というのは政策の合理性を判断する大きな役割を担っている。

イギリスでは市場がしっかりと機能する一方、日本においては、国債市場で2日連続で取引が不成立になるなど、市場が持つ価格形成機能が失われつつある。最大の原因は、日銀が一定以上に金利が上がらないよう無制限に国債を買い取る「指し値オペ」を実施していることであり、この状態では本当の金利が何%なのか誰にも分からない。

株式についても、上場企業の多くが日銀や公的年金が筆頭株主という異常事態が続いており、これらは全て異次元緩和の副作用である。

日本では3大市場のうち2つが機能不全となっており、国民は自国経済がどのような状態にあるのか判断できない。例えるなら、壊れた計器でのフライトを余儀なくされた飛行機のようなものだ。


サマーズ氏、「破滅ループ」のリスク警告 -英危機は財政巡る教訓

アンスティー・クリストファー 2022年10月22日

英国からの教訓を学び、米国の財政予測を注意深く見守る必要ある
石油価格がインフレの新たな押し上げ要因になるリスク

サマーズ元米財務長官は英国で最近起きた危機について、米国など各国・地域の政策当局者は財政に関する教訓として心に留めるべきだと述べた。英国の問題が特殊なものだと片付けるべきではないとしている。

ブルームバーグテレビジョンの番組でサマーズ氏は、他国が同様の問題に直面しないと結論づけるのは「本当の間違いだ」と言明。英国から学ぶべき最初の教訓は「状況は異常な速さで変わり得るということだ」と語った。

ハーバード大学の教授でブルームバーグテレビジョンの寄稿者でもある同氏は、借り入れコスト急騰に伴う財政赤字拡大は信用を揺るがす恐れがあるため、各国・地域の政府は予算にますます注意を払う必要があると指摘。「財政赤字予測がコントロールを失い始め、実質金利が急速に上昇し始めれば、一種の破滅ループに陥りかねない」と警鐘を鳴らした。

その上で「米国の財政予測を注意深く見守る必要があるだろう」と続けた。

米財政赤字、22年度は過去最大の縮小-賃金や雇用増で歳入が急増

米国のインフレを巡っては、石油価格高騰が新たな押し上げ要因になるリスクがあると指摘。「ロシア・サウジの枢軸」と米国との間の「対立」が懸念材料だと述べた。バイデン政権はサウジによる最近の減産への取り組みを非難し、ロシア産石油価格の上限設定を追求している。

バイデン氏がサウジへの厳しい対応誓う、産油国減産で-複雑な計算も

サマーズ氏は「非常に難しい時期となるだろう。石油価格の急騰を避けながら乗り切ることを望んでいる」とコメント。「しかし、それは起きてしまうというのが私の推測だ」と付け加えた。

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