いくら資産を持っていれば安心できるでしょうか。アメリカと日本について勉強します。
USA TODAY2023年4月12日の記事です。以下は拙訳です。
アメリカ人が「経済的に余裕がある」と感じるために必要な金額は、以下の通りです。
Momentive社と共同で実施したCNBC Your Money Financial Confidence Surveyによると、アメリカ人が「経済的に快適」と感じるには、5人に1人が100万ドル必要だと答えています。
「経済的に余裕がある」という表現は主観的なものであり、人によって意味が異なります。現在の請求書や返済したい借金のことを考える人もいれば、長期的な支出や退職後の目標に焦点を当てる人もいるかもしれません。
アンケート回答者が選択した金額から、その内訳を紹介します:
$10,000: 8%
$25,000: 14%
$100,000: 36%
$500,000: 18%
100万ドル: 20%
無回答: 4%
回答者の75%近くが、経済的な余裕を感じるためには10万ドル以上が必要だと答え、20%が100万ドルを選択しています。この回答はすべての所得水準で安定していますが、6桁の所得を持つ回答者は10万ドル以上が必要だと答える傾向があります。
アメリカ人は物価の上昇でピンチを感じている
経済的な余裕を感じるためには10万ドル以上が必要だと答えた人が過半数を占めたことは、信用調査会社エクスペリアンの最新データによると、住宅ローンや学生ローンを含む個人の平均債務残高が2022年には101,915ドルだったことを考えれば納得がいきます。
負債総額の増加は驚くべきことではありません: 金利の引き上げによって借入コストが上昇し、賃金上昇は過去2年間続いた高いインフレ率に遅れをとっています。
CNBCは、「全米金融リテラシー月間」の一環として、人々が本当に意欲的に生活できるよう、お金の管理、成長、保護を支援するためのストーリーを月間を通じて紹介する予定です。
- 米国人の70%が経済的ストレスを感じていることが、CNBCの新しい調査で明らかになりました。
- ほとんどのアメリカ人は、税金の還付を貯蓄の増加や借金の返済に充てている
- アメリカ人の58%が給料日前の生活をしている: CNBC調査
- あなたはお金についてどのくらい賢いですか?あなたの知識を今すぐテスト
- 市場のボラティリティに対するストレスの対処法はこれだ、とファイナンシャルアドバイザーは言う。
- これらのステップは、人種間の退職ギャップを解消するのに役立ちます。何を作るかではなく、何を残すか」。
ますます、アメリカ人が追加費用に追いつくのに苦労している兆候があります。
信用調査会社TransUnionの最近の報告によると、クレジットカードの借金は2022年に過去最高を記録し、前年比18.5%増となりました。
また、国勢調査局の最新のHousehold Pulse調査によると、直近7日間で普段の請求書の支払いが「やや」~「非常に困難」だと答えた人が増え、1年前と比べて25%増加しています。
経済的な脆弱性は、所得水準を超えても感じられるものです: CNBCとMomentiveの調査によると、10万ドル未満のアメリカ人の過半数が「給料日前の生活をしている」と答え、6桁以上の収入のある人の32%が同じことを答えています。
また、調査回答者の53%が緊急時の貯蓄がないと答えています。貯蓄がある人のうち、4人に1人は5,000ドル以下しか貯めていない。ファイナンシャルプランナーは、緊急時のために3ヶ月から6ヶ月分の費用を準備することを一般的に推奨しているため、ほとんどの人にとって十分な金額ではないと思われます。
4,336人の回答者を対象としたこの調査は、国勢調査局の「アメリカン・コミュニティ・サーベイ」を用いて、年齢、人種、性別、教育、地域について重み付けを行い、18歳以上の米国の人口構成を反映させた。
今度は日本について「マネー&ライフ Start!」を見ます。
お金に縁のある「教養人」は、徹底して資産額を重視する
経済評論家 加谷 珪一
お金には、実は2つの種類があります。もちろんお金はお金ですから、どれも同じに見えるわけですが、現実には大きな違いがあるのです。賢くお金と付き合うためには、私たちはお金のあり方について、もっと真剣に考える必要があるでしょう。
読者の皆さんの多くは、会社から毎月給料をもらい、その中から食事代や家賃などを支払っていると思います。自営業の人は、毎月の定額ではないかもしれませんが、やはり一定期間にお金を受け取り、必要な支払いを済ませていることでしょう。このように、ある一定期間に受け取ったり、支払ったりするお金のことを、フローと呼びます。フローというのは「流れる」という意味です。まさに水が流れるように、お金が入ってきて、そして出て行きます。
一方、必要な支払いを済ませても、まだ余裕がある場合には、多くの人は貯金していると思います。フローの中で消費に回らずに蓄積されたものを、ストックと呼びます。日々の生活の中で出入りしているお金がフロー。貯まったお金がストックです。フローは常に動いていますが、ストックは動きません。
「なあんだ。給料と貯金の違いか」と思ったかもしれません。確かにその通りなのですが、お金というものをフロー中心で見るのか、ストック中心で見るのかで、世界はまるで違ってきます。そして、お金に縁のある「教養人」は、徹底してストックを重視するのです。
皆さんは「お金持ち」と聞くと、どのくらいの金額を想像するでしょうか。年収1000万円でしょうか、それとも5000万円でしょうか。いずれにせよ、ほとんどの人が年収を想像したのではないかと思います。この時、資産額が5000万円とか、資産額が10億円とイメージした人は少数派ではないかと思います。
もし、お金持ちと聞いて、資産額をイメージした読者の方がいるなら、あなたはすでに結構なお金の教養人です。
多くの人は、お金を年収、つまりフローとして理解してしまうので、お金持ちと聞くと、やはりフローである年収を先に思い浮かべてしまうのです。しかし、お金持ちにとってもっとも大切なのは、年収(フロー)ではなく資産額(ストック)。資産額を大きくすることを心がけた人だけが、お金に縁のある生活を送ることができます。
その理由は、貯金が多いと、イザという時の備えになるといった意味にとどまりません。まとまったお金があると、それを株式や不動産で運用することによって、収益を得ることができるからです。働いて得られる収入だけでなく、運用で得られる収入がプラスされてくるのです。
貯金が1億円あれば、3%で運用したと仮定すると、そこからの年収は300万円になります。300万円では贅沢はできませんが、生活できない金額ではありません。言い換えれば、1億円のストックがあれば、働かなくても毎年300万円をゲットし、生活ができるのです。富裕層の人はよく、「お金に働いてもらう」という表現をします。まさに、このようなことを指しています。
富裕層向けのマーケティングでは、資産額1億円以上を富裕層と定義しており、年収はあまり考慮に入れていません。その理由は、働かずに遊んで暮らせる金額が1億円以上だからです。よく雑誌などで、「目指せ資産1億円」などとタイトルが付けられていますが、これにはちゃんとした意味があったのです。
世の中には年収が1000万円以上もありながら、貯金がほとんどなく、常に自転車操業という人が少なくありません。まさにフロー重視型の典型といえます。お金をいくら稼いでいても、その分だけ使ってしまっては、いつまでも働き続けなければいけない悪循環から逃れられません。
もし、この人にストックを増やすという感覚があれば、多くのお金を貯金して、それを運用に回していたでしょう。老後を迎える頃には、運用資金だけで余裕ある生活ができるようになっていたかもしれません。残念ながら、ストック中心に考えるというお金の教養がなかったがために、この人の生活はずっと「自転車操業」になってしまうわけです。
本当にお金に縁のある生活を送ろうと思うのであれば、年収を過度に気にしていても意味がありません。最終的にどのくらいの資産を持つことができるのかで、人生の豊かさは決まってしまいます。こうした感覚を持って人生設計を作ることができるのかどうかが、教養人か凡人かの分かれ目となるのです。