ポートフォリオ B
日本株式ETF25%、全世界株式ETF75%
もう一つのパターンは、日本株式ETFの割合は25%のままで、外国株式をアメリカ株式でなく全世界株式にしたものです。
日本株式ETFは1306
選択した日本株式銘柄は、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))です。1306は、
- 日本最大のETFであること
- 信託報酬が0.05%であること
から、有望なETFだと考えます。
外国株式ETFはVT
外国株式はVTを選びました。外国株式が50%であれば、SPYやVOOを選択してアメリカ一国に投資しても良いのですが、75%まで増えると、さすがにアメリカ一国に集中しすぎてしまい、怖い気がします。そこで、世界に投資するVTを選択しました。
バンガード社のETFは低コスト
私がこのポートフォリオで選んだVTやVOOは、バンガード社の商品です。バンガード社は、ブラックロックに次ぐ、世界2位の投資信託および上場投資信託(ETF)の提供者で、投資信託とETF以外にも証券サービス、ファイナンシャル・アドバイス・サービス、教育資金サービス、など数々のサービスを提供しています。
ジョン・ボーグル
創業者のジョン・ボーグル(1929-2019)は、世界初の個人投資家向けのインデックス・ファンドを設定した人物であり、幅広く投資家に低コストで投資ができる機会を与えた人物としても知られています。「インデックス・ファンドの父」とも呼ばれている。バンガードは上場企業ではなく第三者株主が存在しないため、ファンドの保有者がバンガードのファンドであり、バンガードのファンドに投資をする投資家がバンガードの保有者になる仕組みで経営されています。この仕組みにより、ファンドの利益は第三者の株主等ではなく、バンガードのファンドに投資をする投資家に還元されることになっています。日本の生命保険会社も同様の趣旨の資本構造になっていますが、残念ながら、利益は社員の給与や、会社の不動産になってしまいました。
以上が、50歳以上の人が投資する場合のポートフォリオです。
次に、どのくらいの金額を投資したら良いでしょうか。
投資金額
投資可能な資金は人によって様々です。ファイナンシャルプランニングによる手法を使えば、
- ライフイベント
- キャッシュフロー
- バランスシート
等を作成するのでしょう。ところで、私はかつて勤めていた会社の研修でこのような作業をしたことがありましたが、役に立たなかったという感想を持っています。その理由は、自分の収入や、社会経済環境はどんどん変わってしまうので、何らかの計画を立てても、1年、2年経つと、役に立たなくなってしまうのです。それよりも、おおざっぱに投資ポートフォリオや投資イメージを常に頭に置いて、それを目標にして日々の生活を送り、必要に応じて修正したほうが実践的だと思います。
投資イメージ
そこでライフプランニングを私が説明するよりも、ざっくりと一つのモデルパターンをご紹介して、記憶できるイメージを持った方が良いと思います。
金融資産の振り分け
その金融資産を次の3分野に置くことが基本かも知れません。
- 現預金
- 個人向け10年変動国債
- 内外の株式ETF又はインデックスファンド
1.現金・預金
最近数年は、日本でも数%のインフレが定着しているので、ほとんどゼロ金利の状態では、現金・預金で保有すれば、どんどん目減りします。
インフレになって喜んでいるのは、借金をしている人です。日本最大の借金を抱えているのは日本政府であり、その負担を軽くしようとしてインフレを起こし、あるいは、インフレの状態を続けようとしているのです。
個人で借金をしているのは住宅ローンを抱えている個人です。変動金利では住宅ローンは目減りしませんが、固定ローンを設定している人は、給料が上がっても住宅ローン返済額は増えないので、生活が楽になります。
一方で、損をするのは誰でしょうか。
現金・預金をたくさん持っている個人です。2024年3月末で1100兆円を超えました。インフレ率を2%とすると、毎年20兆円、個人が損をしていることになります。
したがって、当面使う予定のない資金以外は、銀行預金・郵便貯金にすると損をすることになりますが、日本人は鷹揚として銀行預金に預け続けています。金融リテラシーがないのです。
私は普段の生活に必要な額と、クレジットカードや固定資産税等の引き落としに耐えられる額しか銀行には置きません。
残りの資金はほぼ全額を、
- NISA
- 日本株式ETF
- 外国株式ETF
に投資しています。
普段の生活は、
- 厚生年金
- 確定給付年金
- 日本株式ETFの分配金
でまかなえています。したがって、通常は内外のETFを売却する必要はありません。ただし、数年に一度は、住宅の修繕が必要になり、数百万円単位でETFを売却することがあります。
新聞記事や書物などには、50代、60代になると、5割、6割の資産を債券で持ちなさいとアドバイスする記事が載っていますが、私のように年金、株式分配金で生活できる人には当てはまらないと思います。このため、私は金融資産のほぼ全額を株式ETFに投資したままです。その結果、十数年で、資産が3.5倍に増えたのです。人の話を鵜呑みにせず、自分の頭で考えることが重要です。
50代、60代で現役のサラリーマンならば、上記年金の代わりに、給与が入ると思いますが、その場合でも、余裕資金を単純に国債などの債券で運用すべきかどうかを考えたほうが良いでしょう。
色々考えた末に、金融資産の一部を債券で運用したい場合には、社債ではなく10年変動国債が良さそうです。証券会社で勧める債権は、企業向けに売れ残った商品を営業するのですから、優良な商品でない場合が多いのです。
銀行預金または10年変動国債
銀行預金または個人向け10年変動国債に預けることにします。銀行預金については、銀行によって多少金利差がありますが、どこも大差ないと思います。なお、外貨預金は損ですから止めたほうが良いと思います。外貨で預けたいのであれば、優先順位は、外国株式ETF(証券会社)、USMMF(証券会社)です。現在USMMFのリターンは4%台です。
2.個人向け10年変動国債
個人向け10年変動国債については、財務省のホームページで確認します。
- 半年毎に適用利率(クーポン)が変わる「変動金利」を採用。
- 実勢金利の動きに応じて半年毎に適用利率が変わり、そのときどきの受取利子の金額が増減。
- 仮に3年後の実勢金利の水準が現在よりも上昇したとします。固定金利の場合は、受取利子は3年後も変わりませんが、「変動10年」の場合、受取利子は増えることになります。
- 「変動10年」のメリット
変動金利だから、実勢金利が上がれば受取利子が増える。
最低金利保証(0.05%)があるので安心。
金利変動のイメージは、下図のとおりです。
つまり銀行預金に置くと、インフレになった時に、インフレの分だけ損をしますが、この変動金利国債なら、全額とはいきませんが66%、約3分の2は国が面倒を見てくれるという商品です。
3.内外の株式ETF又はインデックスファンド
私は、現金・預金を100万円程度にして、残りは全額を内外の株式ETFで運用していますが、運用を始めて10年間、困ったことはありません。
日本円の信用力が落ち、その回復が見通せない状況にあっては、現金・預金をできるだけ減らし、アメリカを中心とする外国株式ETFを持つことが良いと思います。
厚生年金等で賄えるなら国債投資は不要
私は個人向け10年変動国債を買ったことがありません。その理由は、普段の生活費は厚生年金、確定給付年金、財形年金、ETFの分配金で賄っているので、銀行預金には最低限の生活資金を置き、それ以外の資金は全額ETFで運用しているので、その方が分配金や株価上昇のメリットを受けられるからです。もし、数百万円単位で臨時支出の必要があった場合には、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))を必要額だけ売却して、現金化することにしています。
国債のリターンは0.05%、ETFは10%
ETFの期待リターンは10%ですから、銀行預金や国債で運用するよりも圧倒的に効率が良いのです。しかも、インフレの場合には、株価もその上昇率に応じて上がるだろうと考えています。ただし、この方法は、厚生年金などで普段の生活費を賄える場合にとれるので、それだけでは不足して、金融資産を取り崩しながら生活する必要のある場合、通常は株式ETFのようなリスク資産は、半分程度にした方が、精神的に安心でしょう。
NISA
2024年4月からNISAが始まりましたので、私も毎年1306を取り崩して、360万円積み立てます。銘柄はeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)です。NISAは非課税ですから、特定口座の株式ETFよりNISAの方が優先されます。