◎今日のテーマ:老後資金2000万円報告書3
昨日に続いて資産形成に関する金融庁の報告書を検討します。
◎ 資産寿命を延ばす対策
「老後の資金の不安に対して、どのように対処すればよいと考えているか。資産寿命を延ばすために必要なことを尋ねた調査によれば、『現役で働く期間を延ばす』、『生活費の節約』を挙げる回答が多いが、このほかに約3割の者は『若いうちから少しずつ資産形成に取り組む』を挙げている。」
「現役で働く期間を延ばす」「健康に気を配り医療費を節減する」は、厚生労働省の管轄、逆に「生活費の節約を心がける」を国民が実施すると総理大臣が困るのです。金融庁の結論は、突然第4位の「若いうちから少しずつ資産形成に取り組む」になっています。私は、この立場に賛成です。ただし、アメリカは投資しているから経済が成長していて、日本は投資しないから経済成長しない、という人がいますが、これは主客が転倒しています。アメリカは経済が成長しているので投資家は十分なリターンを獲得しましたが、日本は経済が成長しないので、投資するメリットがないのです。かといって、平均的日本人がアメリカのS&P500等に投資するのは少しハードルが高いかも知れません。
資産寿命を延ばすために必要だと思うこと | 複数回答可 |
現役で働く期間を延ばす | 41.3% |
生活費の節約を心がける | 40.9% |
健康に気を配り医療費を節減する | 31.5% |
若いうちから少しずつ資産形成に取り組む | 29.2% |
共働きや副業で収入を増やす | 25.6% |
手持ちの金融資産を運用する | 22.4% |
金融や資産形成の知識を身につける | 14.2% |
ファイナンシャル・プランナーなど専門家にアドバイスをもらう | 7.3% |
教育費など大きな出費を削減する | 3.8% |
子供に金融教育を行う | 3.1% |
「「老後に向け準備したい(した)公的年金以外の資産」として「証券投資(株式や債券、投資信託など)」を挙げた者は2割以下に留まり、実際に投資を行っている者の割合はこれよりもさらに低い水準となっていることが予想され、意識と行動に乖離があることが窺える。」
顧客に寄り添わない金融機関
「投資による資産形成の必要性を感じつつも、投資を行わない理由として上位を占めているのが、「まとまった資金がない」、「投資に関する知識がない」、「どのように有価証券を購入したらよいのかわからない」という回答であり、顧客側の問題に加え、金融機関側が顧客のニーズや悩みに寄り添いきれていない状況が窺える。」
ここでいう金融機関は、主に銀行と対面証券会社のことだと思います。低コストのインデックスファンドを扱い、対面窓口では、自分たちのためではなく、顧客のために商品を勧めなければいけない、ということを「顧客のニーズや悩みに寄り添い切れていない」と言っていると思います。