毎年、12月になると、お金に関する雑誌、テレビなどで来年の景気や株価、為替相場の予想が取り上げられます。例えば、来年のキーパーソンは、尾河眞樹氏によると次の通り。
第3位 クリスティーヌ・ラガルド 第4代ECB総裁(2019年11月~)
63歳。2019年11月から、欧州中銀(ECB)で女性初の総裁となる。弁護士、政治家。ドミニク・ド・ヴィルパン内閣の農業・漁業相などを経て2007年6月からフランソワ・フィヨン内閣の経済・財政・産業省(財務大臣に相当)に就任。G8最初の財相でもある。反トラスト法、労働法専門の弁護士としても著名。2011年6月28日、IMFの理事会にて専務理事に全会一致で選出された。女性として初。
第2位 習近平 第7代中国国家主席 (2013年3月~)
66歳。胡錦涛引退後の中国の第5代最高指導者。2013年3月14日、第12期全人代第1回会議において国家主席・国家中央軍事委員会主席に選出され、党・国家・軍の三権を正式に掌握した。この際かつては2期10年までとする任期制限があったが、習近平氏が再選された2018年3月に撤廃された。党規約には「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」(習近平思想)を明記。また、企業に共産党組織を設置する「党建」を推し進めて企業への統制を強め、2017年時点で党組織は国営企業に9割で民営企業でも5割超に達した。2014年、「一帯一路」の経済構想を掲げた。
第1位 ドナルド・トランプ 第45代アメリカ合衆国大統領
73歳。大統領であるとともに実業家。みずから設立したカジノ・ホテル運営会社トランプ・エンターテイメント・リゾーツを経営。政治家として2000年の大統領選挙に出馬したが一時撤退した。2017年1月20日、第45代アメリカ合衆国大統領に就任。不動産会社トランプ・オーガナイゼーションのの会長兼社長も務めている。
尾河眞樹氏の選出は妥当な所でしょう。他には、パウエルFRB議長も考えられますが、来年は大きな金融面の変動が無さそうです。また、英国のジョンソン首相は、世界に及ぼす影響度合いが小さいでしょう。
アメリカの新聞USA TODAY紙の2019年12月13日付の記事を参考にして、来年の景気を考えてみましょう。
2020年は景気後退?避けられるか?
2020年の景気後退は、今年1年暗雲のごとくつきまとってきました。雲はまだぐずついているものの、不吉さは徐々に消えつつあるかもしれません。
米中貿易戦争のように、経済をひっくり返す恐れのある問題は、過去2~3か月で威力が無くなってきました。その間FRBは金利引き下げを3度実施し、長期化する経済成長に対してステロイド薬を投与しているようなものです。
その結果、記録的な長期経済成長は、まあ何とか続いています。しかしその歩みは遅く、貿易戦争と弱い経済のせいで精神的に落ち着かないため、アメリカ人はイライラして、あまり消費したくない気持ちでいます。
「アメリカ経済は、小幅な伸びといったところで落ち着いている――パッとしないが、しっかりしている。」とバークレイズ(イギリス・ロンドンに本拠を置く国際金融グループ)のジョナサン・ミラーは言います。
中国との貿易休戦の見通しに加えて、他のことが進展したため、景気後退のリスクが低下しました。英国がEUと取引協定を締結せずに離脱する可能性は薄らぎました。そして10月には、10年国債の利回りが3か月レートを上回る状態に戻りました。「逆」イールドカーブは、過去において暗い見通しの到来を告げましたが、この関係が3月の状態に戻ったのです。
全米企業エコノミスト協会による11月の予想では、来年の景気後退が、春に発表した60%から47%に引き下げました。ウォルターズ・クルワー・ブルー・チップ経済指数が、2020年の景気後退についてエコノミストに今月聞き取り調査したところ、6月には38.4%でしたが、今回は33.1%でした。
今月初めに発表された11月雇用統計は、雇用者数増加が予想を大幅に上回り266,000人になったことから、経済の信頼感を支えました。雇用者数増加は、多くのアナリストが予想した15万人から16万人を大幅に上回り、平均18万人です。
「リスクは安定していると見ている」とミラーは言います。「雇用者数を見ると、家計支出は来年、一層勢いづく可能性があるかもしれない。」
アメリカが2020年に景気後退を避けられるかどうかは、ドナルド・トランプ大統領が11月の再選に勝てるかどうかにかかっています。経済が不振だと、ジミー・カーター、ジョージH.W.ブッシュ、のように大統領の2期目を賭けた選挙で悲運に見舞われると、グラント・ソーントンのチーフ・エコノミストであるダイアン・スウォンクは言います。
しかし、2007-2009年の大不況からのゆっくりした回復は、どう見てもロールシャッハテストで、強気派と弱気派の双方に素材を与えました。
ほとんどのアナリストは来年、控えめな成長を予想していますが、元気を回復すると予想する人もいます。景気後退リスクが増大するような、劇的な景気減速を予測する者もいます。
考えられる来年の3つのシナリオを見ることにしましょう。
<明日に続きます>