短期で終わらない
新型コロナショックによって、職を失う人、収入が大幅に減る人、結婚を延期する人、住宅購入を手控える人が増えてきました。司法試験、国家公務員総合職の試験が延期になりました。中学3年生、高校3年生に進級はしたものの学校が始まらずに、受験勉強に邁進できない学生、スポーツ・クラブに情熱を注いでいる生徒など多くの人に影響が及んでいます。
休業補償はいつまでも続けられない
休業補償を始めた欧米も、長期間続けられないので外出禁止を一部解除することを検討し始めたという話も聞こえてきます。最も知りたいことは、自粛要請がいつまで続くのかということです。それが分かれば、我慢の仕様も有りますし、計画も立てやすいのです。ところが、テレビなどを見ていても、このことを解説する番組はありません。
短くて2年
私の見方は、ほぼ完全に終息するには、1年では終わらずに、短くて2年はかかるだろうということです。その理由は、集団免疫が7割、8割にならないと、このウイルス騒動は終息しないからです。その状態になるには、ワクチン生産までに最低18か月かかるので、それまで罹患が続くということにならざるを得ないでしょう。しかも、ノーベル賞受賞者の本庶 佑氏によると、このウイルスの画期的ワクチンは作るのが難しいそうです。
自分の生活は自分で考える
私はそのようの状態になることを望んでいるわけではもちろん有りませんが、そのことを前提に自分の生活や投資を考えなければいけないと思います。
再び感染爆発の恐れ
政府が1か月の緊急事態宣言を発出しましたが、もし、1か月後にその宣言を取り下げれば、集団免疫が実現していない以上、再び感染爆発の瀬戸際に立たされるわけですから、宣言を取り下げるわけにはいかないでしょう。
武漢市は投資封鎖解除後も自粛
中国の武漢市が都市封鎖を4月8日に解除しましたが、その実態は現在の東京の自粛よりもはるかに厳しい規制や自粛の状態にあるようです。
WHO報告書
WHOの報告書においても、「もし武漢市が投資封鎖を解除して市民が自由に移動できるように成れば、再び感染爆発が起きる。」としています。ワクチンがないのですから、医療崩壊が怒らない程度に、少しずつ感染させて集団免疫を作り上げるしか方法は無いでしょう。
だらだらと感染させる
テレビでコメントを出している医師も「だらだらと感染させるしかない。」と言っていたのを覚えています。このことは、論理的に考えても当然の帰結ですし、日本政府も、他国の政府も、当然分かっているはずです。しかし、このような状態が数か月で終わるのではなく2年もかかるとは公表できないのが実情でしょう。なぜなら、人間はウイルスの前には無力で、集団免疫ができるまでは、一定の死者が発生せざるを得ないし、職を失う人・給料が大幅に減る人が出ざるを得ないからです。そのようなことを今の時点で国が発表できないわけですが、徐々にメディアや国民がその結論にたどり着くのを待つしかないでしょう。
経済対策の真水は18.6兆円
新型コロナウイルス問題が終息するには1年ではなく、2年~3年かかるとすれば、日本政府は休業補償はどうしても避けるでしょう。欧米各国は休業補償を気前よく出していますが、日本では総額108兆円の事業規模の経済対策を決定しました。しかし、真水と言われる本当の追加支出は18.6兆円しかありません。しかもそのうちの6.2兆円は、新型コロナウイルス収束後に、観光・運輸業、飲食業、イベントなどに関する支援「GoTo」キャンペーンです。従って、残る12.4兆円のうちの事業継続等に使われる分は、本当にわずかです。
債務残高のGDP比
しかし欧米各国と違って、日本は赤字国債に頼れない事情があります。債務残高の国際比較(対GDP比)でみると日本の圧倒的に最悪な状況が良く分かります。
2019年実績
- 日本 237.5%
- 米国 106.7
- 英国 85.7
- ドイツ 56.9
- フランス 99.2
- イタリア 133.4
- カナダ 88.0
日本程度までなら許される?
ここから言えることは、各国とも日本と同水準まで債務残高が増加しても、何とか財政破綻せずにやって行けるかもしれない、ということかもしれません。しかし、それは日本には当てはまりません。それは日本が断トツに最先端を走っているからです。
日本の壮大な実験
テレビなどの論調は、社会の弱者の立場に立った意見・要望を強く出す傾向がありますが、それが最終的にどういう結果をもたらすかは不明です。日本は過去30年間、他国が頑張って財政赤字を増やさない努力をしてきた間に、どんどん債務を増やしてしまったのです。もしかすると、今後さらに100兆円の債務を追加できるかもしれませんが、できないかもしれません。日本は壮大なる実験をしているのです。
インフルエンザと新型コロナウイルスの死者数
新型コロナウイルスによる死者は日本で100人を越しました。厚生労働省のホームページによると、国内の2000年以降の死因別死亡者数では、年間でインフルエンザによる死亡数は214(2001年)~1818(2005年)人です。また、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によりインフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25~50万人、日本で約1万人と推計されています。
日本のインフルエンザ
日本では毎年10000人がインフルエンザで死亡していると言われています。インフルエンザに比べて、新型コロナウイルスの死者は流行初期ですから、まだ多くありません。それは、医療従事者の懸命な努力もあるでしょうし、全国民が罹患しないように努力しているからかもしれません。
アメリカのインフルエンザ
新型コロナウイルスによるアメリカでの死者数は約2万人になりましたが、今年インフルエンザで死亡した人はCDCの推計で24,000 – 63,000人となっています。
BCGワクチン、気温、湿度
新型コロナウイルスは、感染率、致死率ともインフルエンザよりかなり高いようですが、これらの数字をよく見ると、日本はどこまでを許容するかを政府は考えているのかも知れません。そして、BCGによる免疫力が日本人に幸いするかも知れないという期待があるのかもしません。さらに、もう少し気温が上がり、梅雨が来て湿度が高くなれば、幸運の風が吹くようになると考えているのかも知れません。