19年間の運用
企業型確定拠出年金(DC)の推移です。2001年に勤めていた会社が確定拠出年金制度を導入し、その後積み立てました。2018年に、運営会社をみずほ銀行から野村證券に変更したのちのグラフです。
税制適格年金からの移換
2001年にDCを始めた時点では、税制適格年金に有った退職金の一部をDCに移換したので、それまでの資金を短期間で移したのです。また、DCの積立金は頭打ち制度が導入されたので、その後はほとんど積立金が増えていません。
リーマンショックを乗り越え、2倍に増加
そして2008年にリーマンショックが来て、元金600万円が400万円に激減しました。しかし、その後世界経済の回復と株式市場が回復・成長したおかげで、現在は元金の2倍程度で推移しています。コロナショックも短期間で回復し、現在の評価額は、1200万円を超えています。(指数は203)
野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI
ファンドの主な特色
外国株式MSCI-KOKUSAIマザーファンド受益証券を通じて、外国の株式に投資し、MSCI-KOKUSAI指数(円ベース・為替ヘッジなし)の中長期的な動きを概ね捉える投資成果を目指します。
◎公的・私的年金の改正法
ところで、5月29日に公的・私的年金の改正法案が成立しました。公的年金では繰り下げ受給開始時期の選択肢拡大、私的年金では個人型確定拠出年金(イデコ)の拡充などが主要な項目です。その内容について確認しましょう。
① iDeCoが利用できるようになる
iDeCoは使い勝手が悪い
現在、企業型DCを導入している企業の社員は、特別な場合を除いてiDeCoを利用できないようになっています。このため、企業型DCを導入している場合には、iDeCoを利用している割合は4%しかいません。現に私の子供も利用できていません。
企業型と個人型の両方利用可能に
しかし、2022年の10月からは企業型DCと個人型DC(イデコ)の両方を利用できるようになります。ただし、掛け金が国は上限があり、企業型DCの枠のうちの未利用枠の更に一部になるそうです。(とても複雑そうです)
iDeCo加入者は今153万人
ところで、現在のiDeCo加入者は今年の2月時点で153万人まで増えました。確定拠出年金は企業型、個人型ともに税制上、とても有利なので是非とも利用したい制度です。
② iDeCo+ 「 イデコプラス 」
「iDeCo+」
「iDeCo+」とは、企業年金を実施していない中小企業(従業員数100人以下)において、iDeCoに加入している従業員の加入者掛金に対して、事業主が掛金を上乗せ(追加)して拠出することができる制度です。2018年5月からスタートした中小事業主掛金納付制度です。
事業主が従業員を手助け
従業員は加入者掛け金が原則給与天引きとなり事業主掛け金をプラスして、事業主がまとめて国民年金基金連合会に納付します。事業主が拠出した掛け金は、全額が損金にサンユウされるというメリットがあります。
従業員300人以下に拡大
中小企業では独自の企業年金をつくる余裕がないケースも多いのが実情です。一方で従業員の老後資金形成も重要な課題であるため、福利厚生のためにイデコプラスを導入するケースが増えていて、2020年3月現在で1462社が活用しています。法改正ではイデコプラスを使える企業が従業員300人以下に拡大することになりました。
③ 年金の繰下げと繰上げ
繰下げの年齢上限は75歳
繰下げて受給する年齢の上限を70歳から75歳に延長します。増額率は1か月ごとに0.7%ですので、現状維持です。繰り上げる場合の最低年齢は60歳で変わりませんが、減額率が現在の0.5%から0.4%に縮小します。
ところで、年金を繰上げ・繰下げする人はどれくらいいるのでしょうか。
男性の繰下げ受給は2%
男性の場合、繰上げ・繰下げ受給しないで65歳から受け取る人は90%です。繰上げ需給をした人は8%で、その理由は次の通りです。
- 年金を繰り上げないと生活できなかった
- 生活の足しにしたかった
- 減額されても早期需給が得だと思った
一方、繰下げ受給をした人は2%でした。
女性の繰下げ受給1%
女性の場合、繰上げ受給した人は15%と、男性より多くなっています。繰下げ受給は1%です。
男女とも、繰下げ受給する人は1~2%と極めて低いのに、今回法改正で70歳の上限を75歳にする必要性はどれほどあるのでしょうか?
なお、今後長生きする人は増えていくでしょうから、75歳まで現役で働いて年金受給開始年齢を遅らせたり、あるいは、75歳までは確定拠出年金、確定給付年金で生活をして、厚生年金を75歳まで受け取らないという方法も選択肢としてはあるでしょう。
半分の人は平均余命より3年長生き
60歳以降の平均余命は以下の通りです。
男 女 (単位:年)
- 60歳 23.67 28.91
- 65歳 19.55 24.38
- 70歳 15.72 19.98
60歳の男の平均余命は23.67年ですから、83.67歳まで生きそうですが、これは余命の平均値なので、中央値は更に3年長生きしています。中央値というのは、99人の中央である50番目の人の余命です。つまり、半分の人は86.67歳まで生きるということです。同様に65歳の平均余命の中央値は87.55歳です。