当たりくじ4億円を買うための10億円
近所のみずほ銀行の宝くじ売り場で「この売り場から4億円の当せんくじが出ました」と宣伝しました。連れ合いは、「買おうかな」と言います。私は、即座に「4億円の当せん券が出るには、10億円分の宝くじを買っている人がいる。」少額の当せんをする人もいるでしょうから、おおざっぱに言って、総額5億円をもらう人達と、1円ももらえない人達に分かれます。連れ合いは20歳代、30歳代の頃、時々宝くじを買っていました。私は、会社の職場で買うグループがいて、付き合いで1~2回買ったことがある程度です。また、勤務先で、みずほ銀行との取引があった時代に、買ってほしいと営業に来ましたが、一回も買ったことはありませんでした。
宝くじは買ってもいいものでしょうか?
結論は、買ってはいけないものです。その理由は、次の二つです。
① 還元率が圧倒的に低い
② 当たっても幸福になれるかどうか不明
還元率とは、「投資した金額に対して、戻ってくる金額の割合」のことです。総務省の資料によると、主なものは以下の表の通りです。
注)1. 宝くじは受託銀行調べ、公営競技は各施行者協議会調べ、サッカーくじは(財)日本スポーツ振興センター調べによる。
2. いずれもH20年度数値
還元率 | |
宝くじ | 45.7% |
競艇 | 74.8% |
競輪 | 75.0% |
オートレース | 74.8% |
競馬 | 73.8%~82% |
サッカーくじ | 49.6% |
SPY | 112.2% |
宝くじとサッカーくじは50%を下回っています。つまり1万円買っても50%も戻ってこないのです。これは他のものに比べて、あまりにも非効率な賭けです。一方で、競艇、競輪などは75%弱のものが多いようです。
宝くじの売上は1兆419億円、当せん金は4758億円です。平成23年度宝くじ事業の見直しが図られることになりました。その概要は以下の通りです。
- 普及宣伝事業をゼロベースで見直し、「社会貢献広
報事業」として再構築
(1)事業費の大幅削減
(2)全国自治宝くじ事務協議会のコントロール強化 - 当せん金の拡充
○ 宝くじファンへの還元による売上げ向上 - 緊急政策課題対応のための新しい宝くじの仕組み
- その他
○ 発売諸経費(社会貢献広報費、手数料を除く)の削減
○ インターネット販売を含む売上増進策
その後の結果は分かりませんが、宝くじのTVコマーシャルは多いですから、その費用は巨額だろうと推測されます。
10万円なら問題ないが1億円は危険
買ってはいけない理由の②は、当選しても「幸福になれるかどうか不明」ということです。10万円ぐらい当たったのであれば、問題はないと思いますが、1億、2億当たると、人によっては結構な危険があります。
億のお金は本人と周りの人間関係を変える
しかし、5億円が当選すると、何かをやりたいひと、何かに使いたい人がいるようです。また、当選するとどうしても、家族、親戚、知人に話したくなってしまうものです。そうすると、たとえ家族であっても、見方、付き合い方、期待が変わって来ます。いくら自分がしっかりしていても、相手はそうでないかもしれません。
5億円当たった時の対応策
私は宝くじを買いませんが、もし今、5億円の臨時収入があっても、全額をETF購入に使います。5億円のETFの分配金は年率2%ですから、毎年1,000万円の収入になります。それで海外旅行をすれば十分満足できます。
SPYなら10年後に10億円に倍増
なお、トータルリターンはSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)の場合10%ですから、毎年8%増加します。そうすると、下の表の通り10年で10億7,946万円になります。
経過年数 | 宝くじ5億円当選 |
1 | 54,000 |
2 | 58,320 |
3 | 62,986 |
4 | 68,024 |
5 | 73,466 |
6 | 79,344 |
7 | 85,691 |
8 | 92,547 |
9 | 99,950 |
10 | 107,946 |
この計算は、過去23年間のSPYのリターンに基づいた計算で、今後実現するかどうかは分かりません。
毎年100万円買っても1000年かかる
それでは、どれくらいの期間、宝くじを買い続けると当たるのでしょうか。10億円買うと5億円当たるとすると、毎年100万円買っても1000年かかります。毎年宝くじを100万円買う人はいませんから、10万円ずつ買うと1万年かかります。1千年生きる人も、1万年生きる人もいませんから、当たりっこないと考えるのが妥当です。
SPYの還元率は 112.2%
ところで、一番上の還元率の表で、SPY 112.2%とありますが、このSPYが、先ほどのSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)です。還元率が100%を超えているということは、ただ、買って持っているだけで増えるということです。不確実性があるのでリターンは確定していませんし、元本も保証されているわけでは有りません。しかし、長期保有すれば、元本割れのリスクは少なくなります。
また、還元率の表の中にパチンコがありませんでした。パチンコの還元率は80%程度と言われています。しかし、パチンコには、還元率の問題以外に、依存症という大きな問題があります。私の周辺の例を挙げましょう。
① 50歳になる管理職は、取引先から営業目的に使うとして、商品券を融通してもらって、それを換金してパチンコ代として使っていました。総額は1千万円になりました。それが発覚したため、中途退職して、その退職金で全額を返金しました。60歳定年まで勤め上げていたら、1億円以上稼げたはずでした。
② 営業中にパチンコをして、退職金まで前借し、40歳代半ばで退職してしまいました。その後自営業を始めましたが、過労がたたって、40歳代で亡くなりました。
③ 営業車でパチンコ屋の駐車場に乗り付け、毎日のようにパチンコをし続けました。やがてそれが発覚し、30代で懲戒解雇になりました。
パチンコは、還元率以外の問題があるので気を付けましょう。
横浜市長はIR事業(カジノ事業)に立候補すると言っていましたが、さて、どうするのでしょうか。