アメリカの株式市場はこれからどうなるか

S&P500指数、史上最高値を更新

8月18日の米株市場で、機関投資家が重視するS&P500指数は前日比0.23%高の3389.78で終え、約6カ月ぶりに史上最高値を更新しました。日本人投資家にとっては、円高なので当時ほどの評価益は出ていませんが、すべてがうまくいくものではありません。

コロナ禍と株価

日本のコロナウイルス第二波は、現在ピークを越えたとの見方もありますが、アメリカはカリフォルニア、フロリダ等、南の方で猛威をふるっている最中です。それなのに、株だけは回復しているのは、素人にはなかなか理解しづらいところです。また、将来の株式市場の予想は、プロでも当てられないのに私が分かるわけはありません。それでも、そろそろ将来がどうなるのかを考えてみたくなる時期でもあります。USA TODAYでどのように扱っているかを見てみましょう。2020年8月19日の記事の節約です。

新型コロナウイルスが景気後退に拍車をかける中、どうして最高値を付けたか?

この回復について、エキスパートは語ります。

二人の子供の母親であるステファニー・シルは、春に新型コロナウイルス・パンデミックによって、世界経済が落ち込んだ時、自分の退職貯蓄に気をもみました。

シルは、イリノイ州ジョンズバーグにある、歯の関係の会社のマーケティング部長ですが、この会社は現金を保持しレイオフを減らすために、彼女の給料の4分の1を切り下げ、401(k)のマッチングを廃止したと、彼女は言います。

それでも、この前例のない出来事によって、彼女はお金に関して目覚めたと言います。シルは、二人の子供を家において、数百ドルの託児費用を節約した後、401(k)を限度額まで引き上げました。

「私はできるだけ早くリタイヤ―したいの。お金が自由になれば、その融通が利くようになるわ。」とシルは言います。彼女は38歳で、10週間給料を蓄えました。この時までに2割安い新たな子供託児所を見つけました。こうすることによって投資資金を蓄えたのですが、加えて、株式が割安価格で買えたと彼女は言います。

「退職のゴールに向けて努力を続けていくわ。」とシルは言います。「良いタイミングをとらえることはできないのよ。大きな変動を気にすることなく、感情に囚われないことね。」

春に株式が売られた後、シルのように、自分の退職貯蓄が株式市場と同様に再び回復したことを、喜んでいるアメリカ人もいます。

火曜日に、S&Pは0.2%上昇して3389.78になり、2月29日の終値の最高値を超えました。S&P Dow Jones Indicesによれば、2月の高値から3月23日の安値まで、20%以上下落した弱気相場は、歴史上最短であったということになります。

疫病の大流行に伴う不確実性のために、第2四半期に、退職口座は大きく変動したものの、投資家は個人退職年金掛金を増額しました。フィデリティ投信によると、401(k)プランの掛け金は変動しなかったものの、退職口座への資金流入は過去最高でした。

それでは、経済が大恐慌以来、最も経済悪化が著しいにもかかわらず、株式市場が過去最高なのはなぜでしょうか?エキスパートは次のように言っています。

不況時なのに株式最高値の理由は?

株式は高値に戻ってきましたが、5620万人という驚くような数のアメリカ人が、たった21週間で失業給付を申請した後も、多くの失業したアメリカ人たちがいまだに苦しんでいます。

しかし、最近になって労働市場には改善の兆しが見え始め、回復に向けて投資家が楽観するようになってきました。

「良いか悪いか、というよりはむしろ、株式市場が気にしているのは、良くなっているか悪くなっているか、ということだ」とLPL フィナンシャルの上級マーケット・ストラテジストのライアン・デトリックは言います。「経済は、まだ、パンデミック前の生産高には遠く及ばない。しかし、状況は良くなりつつある。」

失業給付申請者数は8月8日に終わる週に、963,000人まで下落し、春にシャット・ダウンが始まって以来初めて100万人未満まで落ちたと労働省は言います。この数字はリーマンショック後遺症の2009年3月に665,000人の最高値を、まだ上回っていて、1982年10月の不況の695,000人というかつての記録も上回っています。

個人消費が改善したこと、住宅市場が回復したこと、企業の利益は恐れていたほど悪くなかったことにより、楽観的見方が増しました。

アメリカ経済はエキスパートが当初予想していたより上手くやっているという兆候がある中で、ウォール・ストリートの予想と各種経済指標との食い違いである、エコノミック・サプライズ指数は、最近最高水準を推移しています。

株式市場はどれくらいまで上昇しうるか?

株式市場は、経済不況に直面しても回復力を保持してきました。歴史を見れば、不況であっても株価が上昇することはよくあります。LPLフィナンシャルによれば第2次世界大戦後、12回の不況のうち7回は株価が上昇し、その平均上昇率は5.7%でした。

株式市場と経済の間には違いも有ります。LPLフィナンシャルによれば、たとえばS&P500は製造業のウエイトが大きく、経済が生産する商品とサービスの最大の指標であるアメリカのGDPは、サービスセクターの影響を受けやすいのです。消費者支出は、アメリカ経済活動の3分の2以上を占めるので、ロックダウン以降、ソーシャル・ディスタンシング政策によってGDPはより大きな打撃を受けています。

ベンチマーク指標はグローバルで、S&P500社の40%は国際的な売上である一方で、アメリカの輸出はGDPの13%しか占めていません。S&P500も、パンデミックの間にテクノロジー分野の消費に支えられた設備等に後押しされていました。

もう一つの理由は、株式市場は将来を見据えていて、今後6か月、12か月間、アメリカの経済と企業利益の動きを、投資家が予想しているからです。ワクチンとさらなる刺激策に期待して、楽観的な見方が増えています。

「アメリカが部分的に段々と再開されるにつれ、経済データは改善している。ワクチンと治療法が開発されているが、それは今後6か月から9か月の経済の方向性に影響するため重要だ。」とバーデンス・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオ・ストラテジー担当取締役のミーガン・ホーンマンは言います。

株式市場の今後は?

株式は今後数か月上昇する構えだとアナリストは言います。その主な理由の一つ:パンデミックは最終的にワクチンによって終息すると見込んでいる。そして大きく回復した後には株価が上昇するとアナリストは言います。

1932年まで遡って分析したリサーチ会社CFRAによれば、強気相場が始まった後12か月間のS&P500平均リターンは46%です。

しかしワクチン開発スケジュールに支障が出れば、株式市場の回復の障害になり得ると、エキスパートたちは言います。アメリカ大統領選挙が3か月足らずまで近づき、経済政策が不確実になっているので、警戒を怠らない投資家もいます。1月に両国の関税戦争を休戦になった後、米中貿易の緊張が再び始まったことで、懸念が生じています。

アメリカ経済の回復が行き詰まれば、株式相場回復が遅れることになる、と懸念する市場専門家もいます。経済回復を支持するのに役立つ、コロナウイルス救済政策を投資家は望んでいますが、共和党、民主党の話し合いは今月行き詰っています。

それでも、これらのリスクを意に介さないの投資家もいます。

「多くのビジネスが上手くいっておらず、多くのダメージがいつまでも続いている」と、グローバルト投資の上級ポートフォリオ部長のトーマス・マーチンは言います。「しかし、一旦ワクチンが登場すれば、ダメージを抑え込み、経済は反発するでしょう。」

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