毎年「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 」を参考にして、インデックスファンドなどを選ぶのも有効な方法かもしれません。
しかしながら、この表彰上位商品の中で、気にかかるものもあるように思います。それが以下の3商品です。
- セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
- ひふみ投信
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グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)
今日はそのうちの3番目、グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)を考えます。
以下の文章の中で「 」は日興アセットマネジメント株式会社 の商品説明などで、⇒が私のコメントです。
ファンドの特色
「 1.実質的に、世界の株式、REITおよび債券などに分散投資を行ない、収益の獲得をめざします。
主要投資信託證券(グローバル3倍3分法ファンド(適格機関投資家向け))を通じて、主として、世界(日本を含む)の資産(株式REIT,債券)に投資を行います。
世界(日本を含む)の資産(株式、REIT、債券)に分散投資を行う。世界の株式やREITなどの現物の組入総額と株価指数先物取引や国債先物取引の買建総額の組入合計額が、信託財産の純資産総額の3倍相当額となるように投資を行う。原則として、為替ヘッジを行わない。ファンドオブファンズ方式で運用。
2.世界の株式やREITに加えて、株価指数先物取引や国債先物取引などを活用することで、信託財産の純資産総額の3倍相当額の投資を行ないます。 」
⇒バランスファンドであることが分かります。現在は超低金利の時代ですから、債券に投資することが適切なのかどうかが疑問です。そして、その割合がどの程度かも重要です。
この商品は、複雑な仕組みになっていますが、複雑な商品の問題点は、コストが高いこと、長続きしないことです。コストについては後ほど確認しますが、長続きしないことについては、アメリカの投資信託事情を見るとよく分かります。アメリカで生き残っている商品は、結局低コストのETFです。複雑な商品は、高コストで、何が起こる変わりません。現時点では、何が問題なのかを場合分けして詳細に説明することは難しいですが、世の中に、安全でうまい話は落ちていないのです。結局次の基準で選ぶことがよいと思います。
- 低コストである:信託報酬は概ね0.2%以下である
- 純資産総額が大きい:ETFは1兆円以上、インデックスファンドは1,000億円以上、アクティブファンドは選ばない
- 歴史がある:設定から概ね5年以上経過している
気になるコストは以下の通りです。
「
購入時手数料 購入時の基準価額に対し3.3%(税抜3%)以内
換金手数料 ありません。
信託財産留保額 ありません。
運用管理費用(信託報酬)
純資産総額に対し年率0.484%(税抜0.44%)程度が実質的な信託報酬となります。
信託報酬率の内訳は、当ファンドの信託報酬率が年率0.396%(税抜0.36%)、投資対象とする投資信託証券の組入れに係る信託報酬率が年率0.088%(税抜0.08%)程度となります。
受益者が実質的に負担する信託報酬率(年率)は、投資対象とする投資信託証券の組入比率や当該投資信託証券の変更などにより変動します。
その他の費用・手数料 目論見書などの作成・交付および計理等の業務に係る費用(業務委託する場合の委託費用を含みます。)、監査費用などについては、ファンドの日々の純資産総額に対して年率0.1%を乗じた額の信託期間を通じた合計を上限とする額が信託財産から支払われます。」
⇒詳しく書いてあって、非常に分かりにくいですね。商品の仕組みも分かりにくく、コストも分かりにくいのでは、買う気が失せて今います。世界的にも人気のあるバンガード社の商品の分かり易さを見習ってほしいものです。
それはともかくも、結論的には次のコストがかかるようです。
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購入時手数料 購入時の基準価額に対し3.3%(税抜3%)
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運用管理費用 (信託報酬)年率0.484%(税抜0.44%)
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監査費用など 年率0.1%
購入時の手数料が3.3%はあまりに高い。アクティブファンドの中でも高い方です。毎年かかる費用は、信託報酬と監査費用を合計して0.6%程度になります。これもインデックスファンドに比べるとかなり高いと言えます。
なぜ、これほどコストの高い商品が、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 」で上位に選ばれているのでしょうか。私が考える理由は以下の通りです。
- 日本人はレバレッジが好き:日本人投資家は長期保有によってじっくり資産形成する人よりも、短期の値上がりを期待する人が多いように見受けられます。そのため、3倍の投資ができる商品が好まれるのではないかと思います。
- 信託報酬がアクティブファンドの中では安い:アクティブファンドの信託報酬は2~3%が多いので、それと比較すると、この商品のコストは割安に見えるかも知れません。
基準価額のチャートを見てみましょう。
2018年の10月から順調に成長して純資産額も増えています。2020年3月のコロナショックで急落した後、基準価額は回復してきましたが、純資産額は横ばいから、やや減少に転じているように見えます。一時のブームが去ったのかも知れません。