日本株は全体の34%
2024年2月と2017年のポートフォリオを比較します。
最近の日本株式の上昇は目覚ましく、驚きです。連れ合いのポートフォリオの中で、1306(TOPIXの株式ETF)の占める割合は34%でした。2017年は50%でしたから、割合としては減っています。しかし、この間に売却した銘柄はありませんので、1306の割合が小さくなったのは売却したからではなく、S&P500の株価が上昇したから相対的に日本株式の割合が減ったのです。
連れ合いのポートフォリオ 2024年2月 | |
MRF | 1% |
預り金 | 0% |
1306TOPIX連動型投資信託(特定) | 34% |
eMAXIS Slimオール・カントリー | 2% |
eMAXIS SlimS&P500 | 0% |
はじめてのNISA・全世界株式インデックス | 0% |
野村つみたて外国株投信 | 3% |
SPY | 14% |
VOO | 45% |
USMMF | 0% |
合計 | 100% |
2017年の連れ合いのポートフォリオ
21%あったUSMMFは、VOOの購入資金となり、0%になりました。
S&P500の指数チャート
1984年は154.35ドル、2024年は5157.36ドルですから40年間で33.41倍になりました。100万円投資してしていたら3,341万円に増えたことになります。
1306(TOPIXの株式ETF)の株価チャート
発売された2001年は1,194円、2024年は2,835円ですから23年間で2.37倍になりました。100万円投資してしていたら237万円に増えたことになります。それ以外に分配金があります。
アメリカ株を中心に全世界の株式に分散投資するのが良いかもしれません。日本株の比率は、せいぜい1~2割にするのが良いような気がします。
そこで、今後5年間の新NISAの購入原資は、1306(TOPIXの株式ETF)を毎年400万円解約して、
- eMAXIS Slimオール・カントリー
- eMAXIS SlimS&P500
の購入資金に充てることとしています。
S&P500、オルカンについて、2024年3月6日のPRESIDENT Onlineを読んで見ましょう。
新NISAで「S&P500、オルカン」を買う人はこれを知らないと危ない…パックン&エミンが指摘する為替変動の大問題
新NISAで海外資産への投資を始めた人も多いが、運用成果には為替レートが大きく影響する。お笑い芸人のパックンことパトリック・ハーランさんとエコノミストのエミン・ユルマズさんに、今後のドル円相場をどう考えておけばいいか、何を買っておくのが有利かを語ってもらった――。
■円安は国策。円高に戻る可能性は低い
――新NISAで海外資産に投資した場合、将来、円高になったときは損しますか。
【エミン】僕は円高にはならないと思っています。瞬間的に円高になったとしても、日本は国策として円安を推しているから、円高になるのは難しいでしょう。 たとえば、地政学リスクが高まる中、サプライチェーンを日本に回帰させる動きが進んでいます。そうなると、日本の労働コストをドル建てで安くしておかなければいけません。だから、円安は日本とアメリカの間でコンセンサスが取れていると思う。 大統領選でトランプさんが再選されたらわからないけど、それがなければ、今後も円安は続くと思う。
【パックン】そうなんだ。
【エミン】そう。円安は日本の国策だと思う。
【パックン】輸出を応援するため?
■いまだ日本に残る昭和的な発想が円安を推す
【エミン】そう。加えてものすごく昭和的な考え方も残っている。日本は1990年代に景気が低迷したけど、それはプラザ合意(※1)のせいだと思っている政治家が多い。プラザ合意によって急速に円高になったため、輸出競争力が弱くなったと考えているわけ。僕はまったく違うと思うけど。
※1 プラザ合意 1985年9月22日、過度なドル高の是正のために米国の呼びかけで、米国ニューヨークのプラザホテルに先進国5カ国(日・米・英・独・仏)の財務大臣と中央銀行総裁が集まり会議が開催され、ドル高是正に向けたG5各国の協調行動への合意が発表された。これを「プラザ合意」と呼ぶ。
【パックン】僕もそれは違うと思う。
【エミン】日本の為替相場は1ドル=360円の固定相場制だったけど、1973年から変動相場制に移行したでしょ。その後は円高になったわけだけど、1970~80年代の輸出は伸びている。
■新NISAで年2兆~3兆円の円売り圧力が続く
【パックン】そう。日本は元気になったね。
【エミン】円高になる過程で輸出が伸びていったよね。だからその後の日本の低迷は、プラザ合意のせいじゃない。イノベーションが起きなかった問題もあるし、地政学的な変化で日本からグローバル資本が出ていったこともある。
それに1989年の日経平均株価のPER(株価収益率)(※2)は60倍だった。いまは18倍だから当時とは訳が違う。日本の経済ブレーンは高齢者が多く、昭和のおやじのような考え方が続いている。円安にすれば「日本が復活する」とか「輸出業が復活する」とかって思っている可能性があるんじゃないかな。それもあって、国策として円安を推していると思う。
もう1つ、アメリカにとっても円安は都合がいい。それは、日本がキャリートレード(※3)の流動性を提供しているでしょ。その流動性はアメリカに流れて、アメリカの相場も支えているからね。
今回の新NISAもアメリカにとっては好都合。これだけ円安になったら、日本人の頭の中は「円建てで資産を持っていてはダメだ」「ドル建ての資産を買おう」となる。それは当たり前だけど、アメリカ株を日本人が高値で買っているから、アメリカの市場にとって都合いいわけ。新たな買い手が入ってきた意味で大歓迎だね。
新NISAによって、おそらく年間2兆~3兆円の円売り・ドル買いの新しい需要が生まれるから、円安が続く要因になる。
※2 PER(株価収益率) 株価と企業の利益を比較して株価が割安か割高かを判断するための指標。「株価÷1株当たり純利益」で計算される。一般的にPERが低いほど株価は割安と判断されるが、水準は業種によっても大きく異なる。
※3 キャリートレード 金利の低い通貨で資金調達して、金利の高い通貨で運用して利益を得る手法。
■1ドル200円もありうる。そのとき後悔しないために
【パックン】いまは円安だから、むしろアメリカ株を高く感じて「日経平均でいいか」と思っている人も多いと思う。いつかは日本が元気になって、円がもう少し高くなることがあるだろうから、そのときにアメリカ株を買ってもいいんじゃないかな。1ドル=100円までは戻らなくても120円、130円はありうるでしょ。
【エミン】そうなる可能性もあるけど、反対に1ドル=200円になる可能性もある。
【パックン】200円はあり得ないと思うけどなあ。
【エミン】いや、普通にあり得るよ。何しろ政府が円安を推しているからね。もちろん一気に200円になるわけではく、少しずつ切り上げていく。考えてみれば、以前は1ドル=150円なんて幻だったけど、いまは慣れてしまって1ドル=140円でも円高と思うようになったよね。慣れは怖い。
【パックン】タイミングを計って株を売買するのはプロでも難しいと以前話しましたが、為替の先読みも全く一緒。本当に難しいですね。それができる人はすごく儲かるけれど、できるはずの人でも破産することがある。であれば、高いと思っても分散しながら外国のものをコツコツ買っていくのがいいと思う。そのときには、アメリカ株だけではなく日本株も買っておいたほうが最終的に分散になるんじゃないかな。
【エミン】パトリックさんはドル建ての収入はあるの?
■これからはドルで稼ぐことを考えたほうがいい
【パックン】あります。アメリカに保有している資産からの収入だから、給料ではないけれど。
【エミン】僕は最近、ドルで稼がないとダメじゃないかと思ってきた。政府がこれだけ円安を推していたら、どんなに稼いでも為替でものすごく目減りしていくから、アメリカ株を買える量が少なくなるでしょ。
【パックン】そうですね。海外のものは何も買えなくなるから僕は実感として1ドル200円はあり得ないと思うんですよ。実感としてね。
【エミン】(笑)
【パックン】日本はめっちゃ元気な国ですよ。その元気な国がアメリカの商品を買うときに、アメリカ人の3倍ぐらいの実質賃金を突っ込まなければいけないのは、ちょっと納得がいかない。PPP(購買力)でいうと、今でさえアメリカは日本の1.5倍以上の一人当たりGDPになっている。これが僕個人の許容範囲ぎりぎりです!
いままでで一番しっくり来る計算は1ドル100円計算ですね。アメリカに行って8ドルのハンバーガーが800円ならしっくり来るけど、いまは同じ8ドルでも1200円になっているから「これはおかしいぞ」と感じるわけ。
アメリカ人もいまのアメリカの物価に納得できない。マクドナルドはフランチャイズ制なので、それぞれの店舗の店長が地域の金銭感覚に合わせて価格を決めているけど、ビッグマックセットが地域によって30ドルする。ビッグマックとポテトと飲み物のセットが4500円ですよ、1ドル150円なら。200円までいったら6000円だ。日本よりは少しサイズは大きいけど6000円はおかしいでしょ。
■ドル円の相場の基点が100円から150円に変わった
【エミン】ラスベガスで食べたときも30ドルぐらいだったと思う。「アンティ・アンズ」でも25ドルぐらいだったから、他のファストフード店でも同じだったけど。
【パックン】あり得ない。「アンティ・アンズ」は世界最大級のソフトプレッツェルの専門店だけど、屋台のように手渡しするスタイルで席があるわけじゃない。庭付き別室でプレッツェルならわかるけど、そんなもんで25ドルはあり得ないよね。
【エミン】そうだね。僕は円相場の基点が変わったと思っている。昔はパトリックさんが言うように、1ドル100円が1つの基点だった。100円より低ければ円高、高ければ円安と考えていたわけ。その基点がいまは150円に変わった。150円より低ければ円高、高ければ円安と考えるようになっています。
【パックン】まあ、計算しやすいし。僕の感覚では1ドル135円くらいが基点になっていると思う。140円くらいになると円安と感じるし、135円に戻るとしっくりくる。そんな意識になっている気がするけど。
でも、長期投資を考えて言うなら、為替をそこまで気にする必要はない。アメリカ株はおよそ10年で2倍になります。そのときに円が30%円高になっていたとしても、それでも投資額が170%に増えて戻る。そう考えると、「いま買っておいたほうがいいい」ということになるよね。反対に短期投資を考えるならアメリカ株の上昇率よりも円高が進むと思う人はアメリカ株はやめて、円建てで我慢する方法もあると思う。
■FRBが利下げに失敗すれば日米の金利差が10%になる可能性も
【エミン】これからアメリカのインフレが落ち着いてきて、FRBが利下げしてアメリカと日本の金利差が小さくなると、確かに円が買われます。もしくはドルが売られる理由になる。
逆に1970年代後半から80年代のように利下げが早すぎて、インフレが再燃してしまった場合、当時のボルカーさん(※)のように金利を極端に上げなければならないでしょう。それによって日本とアメリカの金利差が10%になったとしたら、1ドル200円までは簡単に動くと思う。
【パックン】なるほど。
【エミン】パトリックさんがおっしゃるように現在の相場では、1ドル130円くらいが最も居心地はいい。日本の輸出企業も文句を言わないし、内需企業も耐えられる水準だよね。ただ、為替の先行きは読めない。たとえば、2023年の年末に少し円高が進んだけど、年明けにはものすごい勢いで円安に戻りました。これは新NISAの影響もあるけど、先行きはわからないから、為替の水準で投資判断をしないほうがいいと僕は思う。
いずれにしてもリスク資産に投資していたほうが資産の目減りが防げるのは確かだよね。たとえば、トルコ株は2016年以降の8年間でパフォーマンスが900%だったけど、同じ時期に通貨は9分の1になったから、プラスマイナスゼロ。でも、株式に投資せず現金で持っていたら、価値は9分の1になっていた。リスク資産に投資していれば、通貨が割安になってもお金を減らすことは避けられる。
※4 ポール・ボルカー 1979年8月6日にFRB議長に就任。当時のアメリカは第2次石油危機の影響によって深刻なインフレに直面していた。ボルカ―氏はそのインフレを抑え込むために、金融引き締めを実施した。その結果、アメリカの政策金利である実効FF金利は1981年1月に19.08%まで上昇、米国経済は景気後退を経験した。
■外貨預金やFXでは資産は増やせない
【パックン】僕はFX(外国為替証拠金取引)をやったことないけど、一時期、トルコリラ建ての定期預金をすごく薦められたことはあります。
【エミン】買わなくて良かったね。
【パックン】金利が19%だって言っていた。確かに19%はおいしいけど、円に戻したときに元本が3、4割減っていたら、何の意味もないでしょ。
【エミン】そうそう。
【パックン】だから僕もエミンさんも同じ考え方です。ギャンブルとしてFXをやりたいならどうぞ。余剰金で遊んでください。そうではなく、為替を読みつつ投資をするのであれば、何かのリスク商品を利用したほうがいい。定期預金ではなく。
【エミン】預金はダメだよ。
【パックン】金利が19%であっても外貨建ての預金は怖い。外貨を保有するなら、その外貨でリスク資産に投資するという形が必要。僕は中国株が上昇しているときに、中国圏で中国株を買ってみたことがあるんです。あまり成功していないけど、失敗もしていない。
株価上昇が元安で相殺されてトントンくらいだった。オポチュニティ・コスト(機会損失)はあったかもしれないけど、資金的なマイナスはなかった。元を持っているだけだったらアウトでしたね。
■米国債を買って満期まで持つのが賢い
――基本的な話になりますが、自分の保有資産のうち、どの程度をリスク資産に配分するかも考えなければいけないと思います。どう考えればいいですか。
【エミン】僕は現金を持っている意味はないと思っているから、リスク資産は多めでいいと考えています。
――半年分くらいの生活費があれば、あとは投資に回りしていいという考え方ですね。
【エミン】そうね。全額を株式に突っ込む必要はありませんが、多めに保有していいと思います。たとえば2009年以降の日本株と円建ての金のパフォーマンスを比較すると、パフォーマンスは大して変わりません。株式と合わせて保険の意味で金や銀を買っておくのもいいでしょう。
あるいは米国債を買うのもいいと思う。僕はアメリカ株は勧めていませんが、「米国債は買え」といつも言っています。いまなら4~5%の利回りが得られますし、これから金利が下がれば米国債の価格自体も上がると考えられます。にもかかわらず、米国債を買う人が少ないのは信じられない。リスクを冒してなぜアメリカ株を買うのかわかりません。アメリカ人も含めて(笑)。
【パックン】米国債は満期まで持っていれば、値下がりするリスクはないですからね。
【エミン】そう。持っていればいいです。
■すぐに現金化できるなら緊急資金は少なくていい
【パックン】リスク資産の保有割合は、人の立場によって変わるから難しいですね。たとえば実家がお金持ちだったり、超一流企業に勤めていて終身雇用が期待できる人なら、リスクを負えるでしょ。反対に子どもをつくる予定があるとか、体調に不安がある人は、生活費に必要な資産が減る可能性がある商品に投資してはいけないですよね。それぞれの負えるリスク、待てる期間を考えることが前提ですね。
僕の場合は十分な資産を確保しているから、仕事がなくなったり、病気をして収入が途絶えたとしても問題ない。だから、けっこうリスクは負えるんです。僕は書籍『無理なく貯めて賢く増やす パックン式 お金の育て方』には「3~6カ月のエマージェンシー資金を持て」と書いたけど、個人的に現金で持っているのは1カ月分程度です。
――すぐ現金化できる資産があるからですね。
【パックン】そう。金融商品を売ればすぐに現金が用意できるから問題ないです。ただ、不動産はすぐに売却できないから、全財産を不動産に投資するのは怖いですよね。
金や銀に関してはその物自体は何も生み出さないから、僕は勧めていません。それよりも事業を拡大したり、新しい商品を開発したりする企業に投資したほうがいいと思う。もしくはリスク分散で債券を買って、キャピタルゲインではなく、インカムゲインを得るのもいいですね。
【エミン】それはアメリカ人の発想だよね。トルコは通貨がずっと目減りしている国だから、僕らにとってのリアルマネーは金だよ。
■資産防衛の意味で預貯金の代わりに金を持つ
【パックン】ドルで株を持ったほうがいいんじゃない?
【エミン】もちろん、ドルもいいと思う。
【パックン】金は成長しないですよ。1オンスが2オンスにはならないし。
【エミン】成長はしないけど、資産防衛の意味で持っています。どの程度のリスク資産を持つかを考えるときに、金はリスク資産ではないということです。
【パックン】ヘッジ資産と考えるんですね。
――どのくらいの比率で分散すればいいですか。
【エミン】資産規模によりますけど、1000万円以上を持っている人であれば、株式3~4割、米国債3割、残りの3~4割は金のように価格変動の少ないものを選ぶのも一つの方法かな。
【パックン】意外に堅いんだね。
【エミン】資産規模が1000万円ぐらいの場合だからね。
【パックン】僕は最初の1000万円でピラミッドの土台を作ることを勧めています。
【エミン】そう。無謀な投資をして資産が半分になってしまったら、ショックを受けるから、土台は堅いほうがいいね。
【パックン】1000万円程度の堅い資産の土台があれば、その上はもう少しリスキーなものを買ってもいいと思う。
【エミン】そう。
■日本は投資資金をタダ同然で貸してくれる
【パックン】あとは不動産をどう考えるか。日本の住宅ローン金利はめっちゃ低いから、投資物件と考えて自分で住むのがいいと思います。地価が上がりそうな土地を見つけて、低金利のローン買って住む。いずれ値上がりしたら売ってキャピタルゲインを受け取ることもできるでしょ。最近頭金のいらないローンもあるし、そうなれば、ほぼゼロ金利で投資資金を借りたことになりますよ。
【エミン】日本のいまの金利はほぼタダだから、確かにメイク・センス(納得できる)。ただ、都内の不動産価格は新築マンションの平均で1億円を超えているから、一般の人は買えなくなっているよね。
【パックン】都心は難しいけど、たとえば15万円の家賃を払っているなら、それをローンの返済に回して地価が安定するエリアで物件を買ったほうがいいと思う。それぞれの立場で考えるべきだけど、自分が住む不動産も資産の一部にできたら、それに越したことはない。
【エミン】そうだね。