◎今日のグラフ:2017年6月の連れ合いのポートフォリオ:10年かけて1割の評価益
1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)をNISA枠で追加購入しました。国内のETFの割合が「特定」45%、「NISA」8%と、国内ETFが多いので、外貨ETFを買いたいのですが、外貨ETFはNISAを使えません。NISA枠を使うために、止むを得ず国内ETFである1306を購入しました。
VOO(バンガード社のS&P500のETF)を購入しました。私の金融資産の中でSPY(アメリカSPDRのS&P 500の ETF)の占める割合が多いので、同じS&P500のETFで、ウォーレンバフェットがご推奨のVOOを追加購入しました。その分USMMFが減少しています。
S&P500のETFは、SPY、IVV、VOOの3種類がありますが、信託報酬はIVVとVOOの2商品が0.04%でSPYより低いのです。今回は信託報酬の安い商品を買おうと思いましたが、野村証券にはIVVの取り扱いがないので、VOOを買いました。
2017年6月までの連れ合いの運用実績は過去最高となりました。
1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)の評価益が上昇しました。
10年かけて評価益が1割
全体としては、評価益が40(2008年3月の合計額を100とする指数)となりました。約1割の利回りということになります。そこにかかった時間は、約10年ですから、決して良い成績だったとは言えません。それでも、リーマンショック、チャイナショックを乗り越え、最悪の時期にスタートした資産運用としては、途中で止めてしまったり、損切りをせずにここまでやってきました。あと半年でちょうど10年になりますから、それまでにどこまで伸ばせるかが楽しみです。
押し目買いの資金を用意
一方で、外貨ETFの押し目買いに必要なUSMMFを準備して待っているので、S&P500が調整時期に入れば、そのチャンスを生かしたいと思います。
◎今日のテーマ:財政の崖②「アベノミクス」から「アトノミックス」へ
今は、日銀がお金を大量に印刷して国債を大量に買っています。
国債及び国庫短期証券(1085兆円)の保有者(平成29年6月末)は次の通りです。
日本銀行 40%
銀行等 20
生損保等 19
公的年金 4
年金基金 3
海外 10
家計 1
その他 1
債務不履行なら社会不安
三菱東京UFJ銀行が国債入札の特別資格を2016年10月に返上しました。その他の銀行、生命保険会社、損害保険会社はどう考えているのか、わかりません。日銀が国債を40%保有しています。日銀は金融緩和策を講じて、毎年80兆円の国債を買うとしました。しかし、2017年は年間40兆円に減っています。もし、国債が一部でも債務不履行になれば、銀行、保険、年金等すべての組織、家計が国債を投げ売りする可能性があります。もし、投げ売りできなければ、それぞれの会社が損失を負担することになりますが、その会社に落ち度がないのに負担することは考えられません。もし負担すれば、株主損害訴訟の恐れもありますし、倒産でもすれば、社会不安は計り知れません。
預金封鎖や債務不履行は現代では不可能
その時は、銀行や保険会社の救済をするために、国は資金援助しなければなりません。これでは、債務不履行をしても、そのツケが国に戻ってきてしまいます。従って債務不履行をしてもいいことはないでしょう。第二次世界大戦直後に預金封鎖のような暴力的な措置を日本政府が実施できたのは、その直前に、戦争で全国民が生きるか死ぬかの悲惨な目にあっているからでしょう。
預金封鎖とデノミは終戦直後でも焼き討ちを恐れるような大問題
当時の大蔵大臣渋沢敬三氏は「国民に対してこんな申し訳ないことはないと思いました。私は焼き討ちを受けると思った。そのくらい覚悟をしたですわね。」と語っている。
海外に開かれた現代の金融マーケットでは、なおさら不可能
現代において、預金封鎖やデノミのような当時と同じことができるとは到底思えません。従って、政府は国債を満額償還するはずです。特に、海外が10%を保有していますので、この点からも債務不履行をすることはないでしょう。
債務不履行以外の道
債務不履行以外の道は三つでしょう。
国債の売買をマーケットに任せる
一つ目は、日銀が国債買い入れを止めてマーケットに任せることです。しかしながら、これを突然始めれば、国債が暴落し、金利が暴騰するでしょう。社会に与える損害は甚大です。
全額をインフレ税で負担する
二つ目は、現在日銀が実質的に行っている財政ファイナンス(国債の日銀引き受け)を続けて、物価が現在の2倍になったところで、日銀が国債の買い入れを止めて、その後は国債の売買をマーケットに任せることです。従って、国民がインフレ税を全額払います。分かりやすく言えば、現預金で資産を保有している人は、実質の価値が半分になることです。しかし、このやり方だと、現預金を持っている人だけが借金のツけを負担することになります。
インフレ税、増税、緊縮財政の3つの施策をミックス
三つめは、ある程度のインフレになったところでインフレを抑制し、増税とともに財政緊縮策を取ることです。つまり、すべてをインフレ税に押し付けるのではなく、インフレ税、増税、財政削減の3つの施策をミックスして行うのです。この方法であれば、現預金を持っている人だけでなく、より幅広く国民が国の借金を負担することになります。
「アベノミクス」から「アトノミックス」へ
上記の方法のどれをとっても、国の借金を全額なくすということではなく、せめて、先進国並みの借金体質、例えばGDPと同じ規模の国債残高、にしようという考え方です。ある程度の借金は、現代の国家には認められると思いますが、その借金があまりに多額になれば、ハイパーインフレなどが起きやすい極めて危険な状態に陥りますから、日本がその危険地帯から脱出するには、インフレ税、増税、財政削減のデメリットを負担しなければならないと思います。この三つの施策の組み合わせは「アトノミックス」ということになるでしょう。そして、残念ながら、この時、ひどい不況を覚悟する必要があると思います。
「アトノミックス」を前提にした資産防衛
今までは「アベノミクス」でしたが、これからは、インフレ税、増税、緊縮財政という、ミックスした施策で、その後処理をする「アトノミックス」を真剣に検討すべき時期に入っているのではないでしょうか。そして、そのような時代が間近に迫っているという想定の下で、個人投資家は自分の財産をどう守っていくのかを考える必要があると思います。