お金、資産形成を学校で教える時代 2

オハイオ州の学校教育

金融先進国のアメリカでは、お金や資産形成の教育をどのように行っているのでしょうか。CNBC11月4日の記事をもとにオハイオの学校教育を勉強してみましょう。以下は拙訳です。

オハイオは金融の学校教育を求める最大の州になりました

オハイオ州知事のマイク・デワインは、州内の高校が卒業までに0.5単位の独立した個人金融課程を取ることを義務付ける法案に署名しました。

この共和党知事が10月28日に法案署名したことで、高校レベルで個人金融教育を義務付ける10番目のアメリカの州になりました。栃の木を州木とするオハイオ州は600以上の学区にこの法律を適用することになります。

「私は41年間銀行員をしていたが、金融リテラシーを教えてこなかったことの結果を見てきた。」とオハイオ州上院議員で、オハイオ上院金融機関・技術委員会会長でもある、この法案の主要発起人のスティーブ・ウィルソンは言います。「このことについて何かをしたかった。」

オハイオの個人金融に関する指示

過去2年間、5州――オハイオ、ミシシッピ、ノースカロライナ、ネブラスカ、ロードアイランドーーが法案を可決したが、高校での生徒は丸1学期分の独立した金融教育課程を取ることが要求され、このような義務を課す州の数は全体で2倍になりました。

全国金融リテラシー組織である次世代個人金融は、このような教育課程を金字塔と考えている。オハイオ州の法律は2024-25学校年度に発効し、基礎的予算管理から銀行口座開設、学生ローン管理などの個人金融をカバーしている。

「このような教育が無ければ、人生経験を通してお金を管理することを学ぶ社会に子供達を突き出すことになる」と、次世代個人金融専務理事で、オハイオ州リーディングのリーディング高校の元教師のブライアン・ペイジは言います。

高校の生徒は今、個人のお金の教育が必要ですが、なぜなら、すでに多くの者が自分の将来に影響を与えるお金にまつわる決定をしているからです。

オハイオ州の法律は、現在授業で個人金融教育課程を教える資格がない教師は、認証を受けることを認めています。このお金は学区から支払われ、銀行や信用金庫といった地元企業が出す資金をもとに、法律を通じて設立された金融リテラシー基金によって保障されます。

ウィルソンによれば、法律の一部として金融リテラシーを含めることによって、この教育課程を追加しても教育者の予算の負担にはならないようになっています。

生徒は法案を審議するように立法議員を確信させる大きな役割を果たしたが、将来オハイオですべての子供が個人金融教育を受けられるようになることを喜んでいる。

「この教育課程の最も良いところは自信を付けさせてくれたところだ」と、高校でペイジの個人金融授業を取り、現在オハイオ州立大学2年生のクリステン・ケインは言う。とても若いうちから投資、貯蓄、その他のお金を管理できるようになったことは、教育課程で教えた実際の技術と同じように重要だと、クリステンは付け加えた。

高校でペイジの授業を取った、シンシナティ大学2年生のカイリー・シュミットは、将来のための貯蓄と投資を学んだ。「この法律が子供たちに与えたことはたくさんあり、大きなものは安心だと思う。」

個人金融教育を義務化する動きは、もっと多くの州にわたり全国で続いている。次世代個人金融のデータによれば、今年だけで26州とワシントンDCが高校における個人金融関連の法制を導入している。

同様の法制化に取り組んでいる支持者達のために、オハイオ州のグループはいくつかアドバイスしています。

第一に、オハイオ州のウィルソン上院議員のように、法案を支持する立法議員を見つけることです。

「法案が順調に立法化されたのは彼のリーダーシップによるものです」と共和党立法議員のペイジは言います。

法案を前進させようとするときには必ずやってくる反対があるので、どう乗り切るかの準備を法制化支持者達はしなければいけません。そのためには法案の一部を修正したり、全く別の考え方をする必要があります。

「振出しに戻って、創造的な問題解決を何度も何度もする用意があることが必要です」と、次世代個人金融の教育支援活動理事のヤンリー・エスピナルは言います。

最後に、関係者は最後まで諦めない心の準備が必要です。オハイオ州の法案は通過まで約5年かかりました。

「わたしはあきらめるつもりはありませんでした」とウィルソン上院議員は言いました。「オハイオ州には信じられないような効果が生まれるでしょう。」

以上が記事の拙訳でした。

昭和の時代は確定利回り

私自身は高校、大学でお金や財産形成の講義を受けた記憶はありません。会社に入った時に財形貯蓄を始め、30代で公社債投信、一時払い養老保険、転換社債に合計で数百万円投資した記憶があります。当時、これらの商品は確定利回りだったので、比較的安心して投資できました。

自分のお金の運用は怖い

その後、勤めていた会社や団体で、確定拠出年金、確定給付年金、厚生年金基金、従業員持ち株会の責任者を経験して、さらに、自分のお金を投資することによって、知識、経験、胆力が付いてきたようです。今では子供達にも自信をもってアドバイスできるほどになりましたが、普通の人ではなかなかこのレベルまで達するのは大変なことです。例えば省庁や日本銀行で数千億円、数兆円のお金を長年動かしてきた人でも、自分の退職金の数千万円を投資すると非常に怖くなるそうです。人の金と自分の金の違いです。

学校での教育は、貯蓄や株式投資に偏見を持たないための入り口に過ぎず、あとは自分のお金で知識、経験、胆力を養うしかないでしょう。