交付金とハイパーインフレ、金、不動産、株式

闇バイト、性風俗、自殺

新型コロナウイルスの感染拡大の結果、日本政府は全国民に1人あたり10万円を配ることとしました。日本の人口は1億2千万人ですから12兆円必要になります。しかし、これは1回では終わりそうにありません。今までは飲食店業などで働いていたけど、解雇され、家賃を払えず、食べ物も買えない人が増えています。そういった人の中には、闇バイト、つまり詐欺の受け子、出し子になった人が増えています。また性風俗に行く女の子も増えています。経済的苦境で自殺する人も増えるでしょう。

ハイパーインフレ

稼げない、給料がもらえない期間は5月6日で終わるわけではなく、数か月、それ以上続くでしょう。そうなれば、交付金を何回も出すことにならざるを得ません。数十兆円であればハイパーインフレにならないかもしれませんが、百兆を超えると極めて危険な状況になります。

人命救助か財政危機回避か

現在問題になっているのは、国民の命と日本の財政危機回避のどちらを優先させるかです。先週まで、日本政府は財政危機回避を優先させていました。しかし、それは無理で、国民の命を守ることを優先させることにして、1人あたり10万円を配るのですが、これが1回限りで終わるとは思えません。10万円では、1か月分の家賃と通信光熱費を払ったらなくなります。これから交付金は何度も配られるでしょう。

アリとキリギリス

世界の先進国は日本と同様に、交付金を繰り返して支払わざるを得なくなるでしょうが、日本の特徴は、各国と比べて、債務残高のGDP比が圧倒的に高いことです。日本は240%、イタリア130%、アメリカは100%強です。ドイツは今まで歯を食いしばってきたので60%弱に抑えています。日本政府は人気取りのために赤字国債を長い間発行しましたが、ドイツはいざという時のために普段から努力してきたのです。まるで、アリとキリギリスのようです。数年前、ドイツの財務大臣が日本の麻生財務大臣に「日本政府の負債膨張を止めないといけない。」と忠告しようとしました。しかし、その時麻生氏は会議を欠席しました。時間は取り戻せません。

預金をするからインフレにならない

今までも日本銀行は毎年30兆円分のお札を追加刷って来ました。この30兆円分は、資産の裏付けがあるわけでないので、その分だけお金の価値が減少してもおかしくはありません。しかし、インフレ率はせいぜい1%程度で推移してきている程度ですので、お金の価値が減少しているとは感じません。その理由は、個人がお金を使わずに、預金をしているので、物価が上がらないからです。

お金の価値が減っていくときに、日本人はどのような行動をするでしょうか。

  • 金を買う
  • 不動産で資産を保有する
  • 株を買う
  • お金を外国に避難させる

金を買う

金を買うことを勧めているのは豊島逸夫氏です。

(注) 豊島逸夫 マーケットアナリスト

1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱東京UFJ 銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。豊富な相場体験をもとに、金の第一人者として独立系の立場から金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。2011年9月末までワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)日本代表を務め、10月3日に自らの事務所を設立。

金の保有割合を30%に引き上げ提案

豊島氏は、三菱マテリアル株式会社のサイトに毎日コラムを掲載しています。今までは資産の10%を金で保有することをすいしょうしていましたが、その割合を30%に引き上げることを緊急提案しています。

2020年4月7日のコラムを引用します。

「金を総資産の10%から30%に引き上げよ

今日は豊島逸夫から読者の皆さんへ大事なアドバイスです。

今はとにかくコロナ危機から人命を守ることが何より大切。そのためには、とてつもないおカネを政府としても使わざるを得ない状況になりました。普通に「おカネのばら撒き」というと悪いニュアンスになりますが、今回ばかりは未曽有の有事に対応するため、止むなしということです。

とは言えコロナが終息すれば、これまた未曽有の財政赤字が残ることは必至です。日本の場合は既に財政危機が懸念されている時に更に上積みされるわけです。
英語でno free lunchという言い回しがありますが、ただのランチなどありません。一家庭に30万円現金でもらっても、財源は結局納税者が負担するカネですから、いずれその家庭が結局負担することになりかねません。
理屈では国がなんぼ借金しても、国民がせっせと働いて返済できれば良いわけです。
しかし低成長、少子高齢化の日本に昔の高度成長再来など望むべくもないでしょう。
では増税で財政赤字を減らす?これでは選挙に絶対勝てませんから政治的に不可能です。
結局歴史が示すことですが、最後には政府が国の経済をインフレ状況にして、国に借金の実質価値を減らすことになるでしょう。現在の価値で1兆円の借金も実質的には100億円くらいになれば国も返済できます。その場合には額面100万円紙幣を主婦が普通にスーパーで使うことになるでしょう。
これがコロナウイルスの合併症として最も怖い症状です。

そこで個人の資産運用にあたって、インフレに強い金を今の内から買い増しておくべきです。
更に米国国債格下げ、デフォルトリスクも無視できません。ばら撒いた巨額マネーを回収する段になって、経済が急性の強いショック症状を起こす可能性もあります。
従来、私は資産の10%程度を金でと説いてきましたが、今日からは30%とします。富裕層なら50%もアリです。
かくいう私も実行し始めました!
但し、まだ3~5年先のリスクですから、慌ててまとめ買いしないように気を付けましょう。」

以上が豊島氏の主張です。金を資産の30%、50%持つというのはどうかと思いますが、まったく持たなくて良いとも言い切れません。過去200年は、金を持っていると投資としては非効率でしたが、現在のように紙幣を輪転機でどんどん印刷する時代になると、金の価値も見直した方が良いかも知れません。

金と言っても金地金ではなく、金ETFを勉強する価値があるかもしれません

SPDRゴールド・シェアの概要は次の通りです。

  • 純資産総額 547億ドル
  • 上場日 2008年6月30日
  • 経費率 0.40%
  • 東証上場銘柄コード 1326

東証で2008年に9,870円だったのが、現在17,000円に上昇しています。

保険としての金

金は配当がないので株式に比べて、投資としては不利だと言われていますし、私もそう思ってきました。しかし、日本だけでなくアメリカを含めた全世界がインフレになる恐れのある時には、保険として金を見直す動きがあっても不思議ではありません。今は、急激に価格上昇した直後なので買いたくありませんが、数年後に買う可能性があるという前提の下に、しばらく勉強したいと思います。

不動産は買うよりも売らない

不動産もインフレ時には強い資産です。しかし、現物の不動産に投資できるほどのお金もノウハウも情報も度胸もありませんから、別の道を考えたいと思います。Jリートも新型コロナショックで急落したので、買い時かも知れませんが、私はそこまで積極的な投資家ではありません。とりあえず、現在保有している不動産を焦って売らないようにします。

株式ETFは相変わらずバイ・アンド・ホールド

株式については、現在十分に世界のETFに投資していますので、これをそのまま保有し続けます。