野村證券から「つみたてNISAに関する信託報酬等の概算額のお知らせ」(作成日:2019年12月31日9が届きました。これは租税特別措置法施行令の規程に基づいて、信託報酬の概算額を知らせるものです。
信託報酬の内訳(率) | 信託報酬の内訳(金額:円) | |
委託会社 | 0.090% | 580 |
販売会社 | 0.090% | 580 |
受託会社 | 0.022% | 140 |
投資対象ファンドの信託報酬その他の費用 | 0.039% | 250 |
信託報酬合計 | 0.249% | 1,600 |
具体的会社名は以下の通りです。
- 委託会社:野村アセットマネジメント株式会社
- 受託会社:野村信託銀行株式会社
- 販売会社:
株式会社みずほ銀行
株式会社七十七銀行
株式会社山陰合同銀行
株式会社筑邦銀行
株式会社新生銀行
auカブコム証券株式会社
株式会社SBI証券
木村証券株式会社
ごうぎん証券株式会社
みずほ証券株式会社
楽天証券株式会社
マネックス証券株式会社
野村證券株式会社
丸近證券株式会社
この表には、不明な点が2つあります。
四捨五入
1点目は、内訳の金額を足し合わせると1,550円なのですが、表は1,600円になっていることです。金融庁の指示で、総額は100円未満、内訳は10円未満を四捨五入したのだそうですが、単純に円未満を四捨五入すればよいのではないでしょうか。率についても内訳を足し合わせると0.241%ですが、表では0.249%となっています。
投資対象ファンドの信託報酬その他の費用
2点目は、この表の信託報酬合計は0.249%ですが、野村アセットマネジメントが公表しているデータでは、年0.209%(税込)となっていることです。なぜこれほど差が生じているのでしょうか。「投資対象ファンドの信託報酬その他の費用 」の0.039%の差のようです。これは信託報酬に入らないようです。
ところで、この「野村つみたて外国株投信」の信託報酬を他の銘柄と比較するとどうなのでしょうか。
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
最近まで、eMAXIS Slim 先進国株式インデックスと<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド の信託報酬は、0.10989%で並んでいたのですが、業界最低水準の運用コストをめざす『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』が2019年12月に信託報酬率の引き下げを実施 して、 0.10615%になりました。この2銘柄に大きく水を空けられたのが、野村つみたて外国株投信で信託報酬は 0.20900%ですから、約2倍になってしまいました。これだけ差がつくと、野村の商品には魅力が無くなってしまいます。私としても、乗り換えを考えた方が良いかも知れません。
なお、『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』の信託報酬率の内訳は次の表の通りです。
内訳 | 信託報酬率(税込み) |
委託会社 | 0.042075% |
販売会社 | 0.042075% |
受託会社 | 0.022000% |
信託報酬率合計 | 0.106150% |
委託会社 :三菱UFJ国際投信株式会社
受託会社 :三菱UFJ信託銀行株式会社
販売会社 :
岩井コスモ証券株式会社(インターネット専用)
SMBC日興証券株式会社(ダイレクトコース)
株式会社SBI証券
「auカブコ ム証券株式会社
GMOクリック証券株式会社
株式会社ジャパンネット銀行
株式会社東京スター銀行
フィデリティ証券株式会社
ほくほくTT証券株式会社
松井証券株式会社
マネックス証券株式会社
株式会社三菱UFJ銀行
LINE証券株式会社
楽天証券株式会社
三菱UFJ国際投信株式会社
SPYの信託報酬内訳
SPDR社のSPY(S&P500のETF)の信託報酬の内訳はどうなっているのでしょうか。
SPYのProspectus(目論見書)にデータがありますので確認してみます。
SPY経費の内訳
Current Estimated Annual Trust Ordinary Operating Expenses
Trustee’s Fee | 0.0539% |
S&P License Fee | 0.0302% |
Marketing Other Operating Expense | 0.0085% |
Other Operating Expenses | 0.0019% |
Total | 0.0945% |
Trustee’s Fee:受託会社の報酬です。0.539%になっており、全体の57%を占めます。
S&P License Fee:S&P社に払うライセンス・フィーです。0.0302%で、全体の32%を占めています。0.0302%は小さな率に思えますが、SPYは現在3152億ドル(34.5兆円)ですから104億円になります。
ブランド使用料
S&P 500は、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが算出している株価指数です。ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を基に算出される、時価総額加重平均型株価指数です。
ファイナンシャルアドバイザー?
Marketing Other Operating Expense:販売会社への支払経費ではないかも知れません。日本で個人投資家がETFを購入する場合、野村證券、大和証券等の対面証券やSBI証券、楽天証券などのネット証券に出向きますが、アメリカではファイナンシャル・アドバイザー経由で購入することが多いそうです。そうすると、販売会社への支払経費でなく、ファイナンシャル・アドバイザーへの支払経費かも知れません。ただ、このようなマージンは、いろいろな形で支払われますので、なかなか全容がつかめ無さそうです。
Other Operating Expenses:その他経費。今までSPDR社の取り分が無かったので、これはSPDR社が受け取る費用かも知れません。
SPY、VOO
SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)の経費が0.0945%なのに対して、VOO(バンガード社のS&P500のETF)は、わずか0.03%ですから、今後SPYの信託報酬がどうなるかに注目したいものです。