過去20年間の家計資産の増加倍率

◎今日のグラフ:過去20年間の家計資産の増加倍率

日本経済新聞3月1日の記事によると、アメリカが3.3倍、イギリス2.5倍に対して、日本は1.5倍だそうです。

過去20年間の家計資産の増加倍率
アメリカ 3.3
イギリス 2.5
日本 1.5

日本人は現金・預金を好み株式を敬遠

これほど差がついた最大の原因は運用収益の差だそうです。日本銀行の調査によれば、家計の金融資産のうち、現金・預金の割合は、日本51.5%、アメリカ13.4%、ユーロエリア33.2%です。一方、株式等は日本が10.0%、アメリカ35.8%、ユーロエリア18.2%です。イギリスはユーロエリアよりも株式等の割合が多い状況です。つまり、日本人が現金・預金を持ちたがり、株式、投資信託を敬遠しています。極めて安全志向です。

株式、ETFに投資しない理由は、主に次の4つではないかと思われます。

① 1989年のバブルとその崩壊

この時のバブルは、土地と株式で発生しましたが、それから30年経った現在でも、当時の最高値39000円の半分程度の株価でもたもたしている状況です。その時の後遺症はまだ残っていると思われます。しかも、その後、山一證券、日本航空などの倒産があり、個別株式については、あまりいいことがありませんでした。株式市場は、一般の庶民にとって、魅力的とは言えない時代が続きました。

② 投資信託のうさん臭さ

私は、1980年代に、偶然飛行機の隣座席になった山一證券の社員に「勉強のために株を始めたいけど何がいいでしょうか。」と尋ねた時、その社員は「投資信託だけはやめた方がいい。あれは、証券会社だけ儲ける商品だから。」と教えてくれました。現在の優良なインデックスファンドは、信託報酬が0.2%前後で、ノーロードですが、当時は信託報酬が2%程度、販売手数料もしっかりとられました。しかも、証券会社の社員が、投信の買い替えを盛んに勧めていたのでした。最近数年間はiDeCo、つみたてNISAの運用商品をはじめとして優良なインデックスファンドが登場してきましたが、一般の人からすれば、まだうさん臭さが残っているのではないでしょうか。

③ 日本におけるDC(確定拠出年金)の運用商品はほとんどが銀行預金

私は以前勤めていた会社で、DC制度の責任者をしていました。その会社が十数年前にDC制度を導入したときに、9割の社員が銀行預金を選択したのでした。当時の幹事会社の担当者が言うには、この9割という数字は、この会社だけでなく、どこの会社でも同じだそうです。私は、全額を外国株式で運用したので、当時としては異端児だったかもしれません。米英では初期設定をバランス型投信にすることによって株式や投信の比率が高まったそうです。

④ 保険のおばさんの出入り禁止

30年前、40年前には、どの会社でも職場に保険のおばさんが出入りして、財形の契約を勧めていました。難しいことはすべてやってくれましたし、私たちにとっては安心感がありました。ところが、今は職場に入ることが難しくなってきました。

これらのついてはどう考えていけばいいでしょうか。

① アメリカのETFの運用実績の紹介

株式については、日経平均が4万円を超えることが望まれますが、それまでは、外国、特にアメリカS&P500の株価の推移のグラフを知ることが効果的と思います。加えて、日本株も、株式分割や配当金を加味すれば1989年のピークを越えていることの紹介。

② 最近の商品の改善点の紹介

DC、つみたてNISAのインデックスファンドの信託報酬、ノーロードを知ることが大事だと思います。

③ アメリカのETFの運用実績の紹介

銀行預金に比べて、インデックスファンド、ETFのリターンが高いことを知ることがとても重要です。私自身、SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)のリターンが25年間にわたって平均年率9%という高い数字であることを知ってびっくり仰天しました。そして、こんなすごいことを日本人のほとんどが知らないことについても驚きです。

④シニア世代がETFとインデックスファンドを利用し、子供世代に推奨

財形における保険のおばさんの代わりになるのは、職場の先輩、ミドルやシニア層、そして親の世代です。株式等の金融資産を最もたくさん持っているのは、60歳代、70歳代ですから、この年代の人たちが、若い世代にインデックスファンドやETFの良い点を伝えた方がいいのではないでしょうか。そのためには、このシニア世代の人たちが、自らETFやインデックスファンドで資産運用をすることが大事です。金融庁も証券業界もシニア層へのETF、インデックスファンドの購入に力を入れるべきでしょう。そして、この親世代が自信を深めれば、20歳代、30歳代の子供世代に、安心してこれらの商品を勧められるのではないでしょうか。