VWOの税金:毎月分配型ファンドの問題点は何か

◎今日のグラフ:VWOの税金

外貨ETF分配金の所得税は10%二重課税

6月末に野村證券から、「バンガード FTSE エマージングETF の外国証券分配金支払いのお知らせ」が届きました。VWOの分配金は、3月、6月、9月、12月の月末(または翌月の初め)に支払われます。VWOは新興国市場の株式のETFで、ドル建てです。米国では10%の税金が課されます。その後、日本においても、国内源泉所得税15.315%、 国内源泉地方税5%の税金が課されます。

外貨ETF分配金の二重課税分は翌年の確定申告で還付

所得税は日米合計で20.315%でよいので、翌年の確定申告において、二重課税された10%分を還付してもらう必要があります。インデックスファンドと外貨ETFを比べた時、この税金の還付の面で、外貨ETFは手間がかかります。ただし、外貨ETFの信託報酬はインデックスファンドより安いので、10年、20年の長期保有の場合には、有利です。

米国現地源泉税 国内源泉所得税 国内源泉地方税
10.000 15.315 5.000

◎今日のテーマ:毎月分配型ファンドの問題点は何か

新聞、雑誌が宣伝広告する商品には警戒すべし

毎月分配型の投資信託は、最近とても評判が悪く、流出額も大きい状態が続いています。この商品は、資産運用の本や広告の載っていない雑誌、個人ブロガーでお目にかかることはありません。一方で、新聞には全面広告を行っています。また、対面の証券会社、銀行で勧めているようです。ここから得られる結論は、対面の証券会社、銀行のアドヴァイスは聞かない方が良いということです。そして、新聞の広告宣伝の商品は避けた方が良いということかも知れません。

新聞、雑誌の記事も要注意

さらに言えば、そのような証券会社、銀行から広告宣伝料を受け取っている新聞の記事も用心した方が良いということです。新聞の顧客は、広告宣伝料を払ってくれる金融機関と、新聞を購買してくれる一般購読者ですから、どちらかの立場に立った記事を書きます。それを峻別する力がメディア・リテラシーです。

ETFの分配金は便利に使う

私は、ETFを中心に資産運用を行っていて、毎月分配型のファンドを利用していません。ETFのうち国内に関しては全額を1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)で運用していて、毎年8月に2%弱(源泉徴収を差し引かれると1.5%程度)の分配金を受け取っています。この分配金はあまり変動しませんので、ある程度生活費の当てにできます。私のように、40代、50代の時に比べて収入がかなり減り、比例報酬部分の厚生年金を受け取っている身にとっては、1年に1度の収入ではありますが、ありがたいというか便利な仕組みです。

毎月分配型ファンドの問題

現在毎月分配型ファンドが問題になっているように聞きますが、その大きな理由を考えてみたいと思います。

高いコスト

理由の一つは、運用管理費用(信託報酬)が高いことではないかと思います。現在、1%台の商品が多いようです。つみたてNISAのパッシブファンドの主流が0.2%台になっている現在、経費が高すぎると思います。

コストが見にくい

広告宣伝する場合、運用管理費用(信託報酬)が目立つ位置に大きな文字で表示されないことも問題だと思います。信託報酬は、非常に大事な情報であるにもかかわらず、なかなか見つけにくいので、情報として入ってきにくい状況です。野菜や魚も産地が重要な情報なので、小さなお店でもお客様が瞬時にわかるようにきちんと表示しているのですから、信託報酬を大きく目立つ位置に表示してほしいと思います。広告宣伝では、一定の面積、フォントの大きさ、表示位置(商品名の隣)についての義務化をしていただけると分かりやすいと思います。

分配金が元本を侵食していることを顧客が知らない

もう一つの理由は、分配金が元本の一部を払い戻して分配するケースがあるということです。その結果、基準価格がどんどん下がっています。5年前に比べて3割近く下がっている場合も有ります。元本を払い戻すこと自体は一つの商品特徴なので問題ありませんが、問題なのをそのことを購買者が知らないことです。調査では、約半数の人が知らなかったようです。この点についても、信託報酬同様、商品パンフレット、広告宣伝では、一定の面積を使って分かりやすくすると同時に、対面の場合には口頭説明をする必要があると思います。