観光、運輸、アパレル、外食業界の苦境
昨年までバブルのような活況を呈していた観光、運輸業界も、新型コロナウイルスの影響で、厳しい状況に陥っています。私の親戚でも、夏に続き冬のボーナスが支給されない人もいます。このような中、早期・希望退職を募集すると発表した上場企業が28日までに、既に19年比2倍の70社に上まわりました。新型コロナウイルスの影響でアパレルや外食企業の募集が目立っています。
リーマンショック時の運不運
2008年のリーマンショックの時も、早期退職の嵐が吹き荒れました。早期退職金を受け取って、転職できた人、転職はできたものの、その会社の風土になじめず、職を転々とした人などが私の周りにもいました。
アメリカは労働力が流動化しているものの・・・
アメリカは、労働力の流動化が進んでいて、最近では学校を卒業した人たちは、1年で転職を繰り返して専門性を身に付けているという話も聞きます。しかし、50歳代、60歳代の高齢になると、恵まれた転職をすることが難しいようです。リーマンショック後には、老後の退職貯蓄が減った人がかなりいたとも聞きます。そのような事態に備えて、どんな準備をしておくべきでしょうか。USA TODAYの2020年10月18日の記事をもとに、考えてみましょう。以下は拙訳です。
もし、考えていたよりも早く退職した場合には、何をすべきでしょうか。何を知っておくべきでしょうか。
予期せぬ早期退職
非常にたくさんの人は、退職のために何十年も準備していますが、ほとんど予期せぬ時に突然忍び寄ってくることがあります。
パイロットを引退
そんなことがロッキー・マンに起こりました。サウスウェスト航空のパイロットとしての自分の翼を、少なくとも数年も早くもぎ取られることになるとは考えていませんでした。しかし会社が寛大な早期退職制度をすると、マンさんは受け入れました。
残り4年の3分の2を支払い
彼と、サウスウエストで今後もフライト・アテンダントを続ける妻のリンダは、家計状態は良いのです。二人はアリゾナ州ケイブ・クリークに家を持ち、小さくすることは考えていません。マンは11月に61歳になりますが、サウスウエストは65歳までの通常収入の3分の2以上を支払うそうです。健康保険もその時まで維持されます。
責任の重さから解放
マンはこの会社が好きだし、飛ぶことがまだ楽しいのですが、退職すれば、フライト・シミュレーション・テストを完璧に行うことや、他の職業上の責任を全うする必要性から解放されると言います。
453キログラムの重圧
「この申し出を受け入れることを決定した日、1000ポンドが肩から持ち上げられたような感じだった。」と彼は言いました。
半分が予定より早く引退
アメリカ人は通常、自分の引退したいときに自分の思い通りに引退すると思い込んでいるので、驚かされる人は多いのです。アリアンツ生命保険の調査に回答した引退者の半分が、予期していたよりも早く仕事を辞めたと答えています。マンのように上手くいった場合も有りますし、早期退職でトラブルになった人もいます。
引退の理由は失業、健康問題
ほとんどの引退者は、突然の失業や健康問題など、自分でコントロールできない理由で仕事を辞めました。この調査はほとんどが中流階級の1000人で1月に行われ、大規模なレイオフになる新型コロナウイルス流行の直前でした。
「自分が望むより前に、実際に引退する日が来る可能性があるということを、あらかじめ知っておく必要のあるアメリカ人はたくさんいる。」とアリアンツのケリー・ラビーニュ副社長は言います。
家計圧迫
引退が考えていたよりも早くなれば、家計を圧迫することにもなりえます。
61歳か62歳で引退
「人々は65歳まで待って引退すると言いますが、平均引退年齢は61歳か62歳だ。」と、スコッツデールのファイナンシャル・プランニング会社であるセンシブル・マネー創業者、ダナ・アンスパッチは言います。
検討事項
予定より早く、突然に仕事を辞める選択肢を与えられたり、辞めざるを得なくなったりしたら、考えなければいけないことがあります。
時間をどう使うかの計画
拘束されない自由な時間のことを考えたいかも知れませんが、自由な時間も問題かも知れません。多くの人は仕事によって、社会的交流を得るとともに満足感を得ます。その満足感は早期退職によって消えるかも知れません。
趣味、ボランティア
マンは、ゴルフをしたり、オートバイに乗ったり、旅行、ボクサー犬救助隊のボランティアが好きで、その点について準備しました。「時間を埋めることは問題ではない」と言います。
家族と長時間過ごす
しかし、多くの労働者は、配偶者や他の家族と、良かれあしかれ長い時間を過ごす可能性があることを含めて、まだ計画を練っていません。
お金が無くても活動に満足する場合も
「自分にとって何が重要か、何が幸せにしてくれるかを絞り込むことだ。」と、センシブル・マネーの公認フィナンシャル・プランナーでマンのアドバイザーを務める、アミ・シェパードは助言します。仕事を他の活動に比べてどのよう見ているかによっては、「もし、退職制度が金銭面で十分でなくても幸せかもしれない」と、アミは言います。
健康に関する費用を見積もる
もし少なくともメディケアが始まる65歳まで、自分の経営者が補助したまま健康保険の補償を維持できるのであれば、早期退職制度に応じやすい。そうでないのなら、年間の健康保険料が数千ドルになり、自己負担することかも知れないことを覚悟しておいた方が良い。
医療コスト節減口座
もし医療コスト節減口座を持っていれば、この口座から引かれるお金は非課税で、医療費の範囲内で使われるので、有利です。