◎今日のテーマ:「見える化」の取組み
見える化に当たって、金融庁はKPI(KPI:key performance indicator の略で、企業目標の達成度を評価するための主要業績評価指標のこと)という指標を導入しています。
リターン
顧客が投資信託を購入する目的は、基本的にはリターンを得るためであると
考えられるので、長期的にリスクや手数料等に見合ったリターンがどの程度生じているかを「見える化」することが、顧客が良質な金融事業者を選ぶ上で、有益であると考えられます。
2019年3月末のデータを見ると次の表の通りです。
投資信託の運用成績がプラスになった顧客の割合 | 2019年 3月末(%) |
2018年 3月末(%) |
セゾン投信 | 98 | 85 |
コモンズ投信 | 84 | 98 |
鎌倉投信 | 82 | 100 |
野村證券 | 80 | 77 |
フィデリティ証券 | 78 | 66 |
ゆうちょ銀行 | 76 | |
楽天証券 | 75 | 63 |
カブドットコム証券 | 75 | 62 |
SBI証券 | 71 | 65 |
マネックス証券 | 70 | 64 |
三菱UFJ銀行 | 68 | 58 |
SMBC日興証券 | 64 | 67 |
大和証券 | 64 | 61 |
三井住友銀行 | 60 | 60 |
三井住友信託銀行 | 54 | 43 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 51 | 44 |
レオス・キャピタルワークス | 45 | 91 |
さわかみ証券 | 96 | |
みずほ証券 | 64 | |
みずほ銀行 | 54 |
アクティファンドは変動
昨年は元気のよかった「ひふみ投信」や「ひふみプラス」を運用するレオス・キャピタルワークスが91%から45%へ急減速しました。アクティブファンドは変動が大きいので、今期好調だからと言って、来期も好調であるという保証はありません。
コストの高いアクティブファンド
私には、コストの低いETFやインデックスファンドを買わずに、コストの高いアクティブファンドを買う気持ちが全く理解でしません。
KPIは企業を対象
この表は企業に関するKPIですから、企業が顧客本位であるかどうかを表す指標であることに注意してください。私は、1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)やSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)などの銘柄を野村證券の口座で保有していますが、そのことは金融庁が見える化をしている共通KPIとは直接関係ありません。もし、野村證券やSBI証券の共通KPIが低くても、リターンには影響しないからです。
KPIよりETFのコスト
私のようにETFやインデックスファンドのように商品本位で金融商品を選ぶ場合には、共通KPIは気にすることが必要ないと思います。
アクティブファンドは高コスト
逆にセゾン投信やコモンズ投信の投資信託の運用成績が優れているからという理由で、コストの高いアクティブファンドを選ぶことは、問題があると思います。つまり、共通KPIはアクティブファンドを選ぶ場合には参考になるかもしれませんが、そもそもアクティブファンドが選択肢に入っていない人にとっては、無意味なデータだと思います。
共通KPIは、自分の利益を優先するのではなく、顧客本位になりなさいと、金融庁が金融機関をたしなめる手段なのです。