(昨日からの続き)
◎今日のテーマ:円建て保険、外貨建て保険
今回説明してくれたのは、2種類の保険です。
1.円建て保険
死亡時受取金は101~102%
三菱UFJ銀行は募集代理店で、引受保険会社は太陽生命保険です。私の場合、死亡時には、1年目だと払込保険料の101%弱、2年目から少しずつ増額され、5年目には約102%を受け取ります。それ以降は何年たっても増加しません。つまり10年経っても、20年経っても、30年経っても同じ額を受け取ることになります。何年経っても102%の金額しか受け取ることができないのでは、リターンが低すぎます。
インフレ率が2%になると受取金の価値が払込保険料より減少
日本銀行は 2018 年 7 月 30 日および 31 日の金融政策決定会合を開催して、政策委員見通しの消費者物価指数の中央値は、2018年で1.1%、2019年2.0%、2020年2.1%でした。これが実現すると、2019年の1年間で受取金が増加した2%分が吹き飛んでしまうことになります。翌年の2020年には、インフレによって実質の価値が減少してしまいます。その後は、毎年さらに減価が続きます。従って、この商品に関心はありません。
2.外貨建て終身保険
PGF生命が引受保険会社
三菱UFJ銀行が募集代理店で、PGF生命が引受保険会社です。PGF生命とはプルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険の略です。似た言葉に、ジブラルタルという島がありますが、英語としては同じつづりで、イギリス英語の発音がジブラルタ、アメリカ英語の発音がジブラルタルです。
毎年の利回りは1%未満
私の場合、死亡時、高度障害状態等になった場合、保険料の約139%を受け取ることになります。保険料は3年間に分けて払い込んで、その後は生涯補償になります。ただし、支払いも受け取りもすべて米ドルで行われます。実質返礼率は、10年後に約105%、20年後に約121%、30年後に約130%です。従って、毎年の利回りは1%未満となります。
利回り1%ではインフレに対応できず
1.の円建て保険でも説明しましたが、今後、日本の政府と日本銀行は、毎年2%のインフレ率を目標とするのですから、毎年1%未満しか受取金が増えないのでは、実質価値が損なわれてしまいます。
為替リスク
さらに、為替リスクがありますので、その分のリスクプレミアムが必要ですが、それがなくても実質価値が減少しそうですので、さらに状況は悪くなります。三菱UFJ銀行ホームページの解説によると、リスクプレミアムとは、「投資家が特定の資産・証券に投資を行うにあたり、それに伴うリスクの補償として期待する、安全 資産収益率を上回る収益率部分を意味する。」とあります。簡単に言うと、リスクプレミアムとは、為替リスクがあるのだから少し利回りが良くなる必要があります、ということです。
保険はコストが分からない
顧客にとっての保険の問題は、コストが不明なことです。公社債投信も、ファンドラップも、コストは高いのですが、具体的な数字を表示してあります。従って、他の商品とコストを比較して購入すべきかどうかを判断できます。一方、保険の場合には、コストがブラックボックスの中にありますので、顧客からは分かりません。銀行や保険会社の中では受け取り保険金を計算しているのですから、当然にコストも計算しているはずです。従って、顧客本位であるためには、保険のコストを表示していただきたいと思います。今回提示された保険について言うと、受け取る保険金の金額が少ないので、コストはかなり高いだろうと推定できます。
結論として、2種類の保険について、利回りが悪いので、この商品で資産運用をしようという気持ちにはなりません。また、保険のコストについてはぜひ開示してほしいものです。