日本の国債がどんどん増えても時々円高になるのはなぜか

◎今日のテーマ:日本の国債がどんどん増えても時々円高になるのはなぜか

日本の立つ断崖絶壁は、今は大丈夫

現在のように、政府がお金をどんどん使って、国債をどんどん発行して、お札ドンドンを刷って行くと、10年、20年経てば、大幅なインフレ、その後のひどい不況、極端なインフレ税が発生するでしょう。でも、今すぐには発生しません。今は、まだ、幅10mの高さ100mの断崖絶壁の岬の上にいて、大地震が起きても、台風が来ても、集中豪雨になっても、岬が崩れることはありません。ドイツは、幅100m高さ50mの岬の上に立って、これ以上海に近づかないようにしていますから安心です。アメリカは、幅50m高さ70mの岬の上にいますが、海とは逆の方に歩いているのでとても安全です。

10年後の岬の幅は2m

日本は、これから10年後には幅2mしかない岬の上に立つことになるでしょう。その時に、後戻りできるかもしれませんが、とてもつらい不況が待っている可能性が高くなっています。何しろ、今まで、大規模な財政支出によって、生きながらえてきた企業が、不況のために一気に倒産するかもしれません。数十年に分けて少しずつ失業者を吸収できても、一度にたくさんの人を雇用できません。産業構造も少しずつ変わっていれば良かったのですが、財政を使って古い産業を温存していたために、突然大量の失業者が発生しても対応できません。

インフレ税

銀行預金は、インフレ税を掛けられて、目減りします。インフレ税とは、インフレによって現金・預金の実質的価値が目減りすることです。目減りした分は、他の誰かが得をします。それは借金をしている人たちです。日本で最大の借金をしているのは日本政府です。その日本政府の借金は、将来の国民が背負っている借金です。つまり、インフレ税によって、将来の国民の借金が減りますが、その減った分を負担するのは、現在現金・預金を持っている人たちです。現在、日本の個人金融資産は1,809兆円で、そのうち51.5%を現金・預金で保有していますので、932兆円です。

1,809兆円×51.5%=932兆

1%インフレになると、9.32兆円をインフレ税で徴収されます。

932兆円✖1%=9.32兆円

政府と日本銀行は2%のインフレを目指していますから、その2倍の18.64兆円が、個人の資産から政府に召し上げられることになります。しかも、このインフレ税について、政府から国民への説明がありません。現在のインフレ税は、10兆円、20兆円程度ですが、岬の崖が崩れるときは数百兆円のインフレ税が、徴収されます。この事情をよく理解し、危機感を持っている日本銀行OB、財務省OBは、円を外貨にせっせと変換しているのです。

現在はまだ余裕があるので円高もある

2018年現在は、岬の幅が10メートルありますから、崖から落ちく心配はないので、円安になることもあれば、逆に円高になることもあります。しかし、10年も経って、近いうちに岬が崩れ始めると皆が思い始めた時には、円高になることはなくなるでしょう。