2000兆円の家計金融資産

家計の金融資産は、2021年6月末に1992兆円で過去最高

日銀が発表した2021年4─6月期の資金循環統計によると、家計が保有する金融資産残高は6月末時点で1992兆円となり、前年に比べて6.3%増加しました。現預金の増加や、株高による株式や投資信託の残高増加で過去最高を更新しました。

家計の金融資産のうち、「現金・預金」は前年比4.0%増の1072兆円。賞与の支給が押し上げ要因。預金残高は970兆円で過去最高で、「株式等」は30.0%増の210兆円、「投資信託」は28.7%増の89兆円です。投信の残高は過去最高でした。

家計の金融資産は初の2000兆円乗せに迫りました。

企業の金融資産は8.4%増の1226兆円。「現金・預金」が4.6%増の316兆円となったほか、「株式等」は10.3%増の357兆円。

日銀の国債保有は540兆円で、残高に占める比率は44.1%で3月末の44.5%から低下しました。海外の保有額は162兆円で、残高に占める比率は13.2%。

昨年の資金循環統計で、昨年のお金の状態を見ましょう。

1年半前の2020年3月末の家計資産は1828億円で内訳は、

  • 現金・預金     1000
  • 証券         246
  • 保険・年金・定額保証 527
  • その他         55

でした。この現金・預金の1000億円のかなりの部分が銀行預金1519億円を占めます。銀行等の資産1256億円の内訳は

  • 貸出         856
  • 証券         400

です。この貸し出し856億円は、保険・年金基金、その他金融機関の貸し出しと一緒に

  • 家計の借入      325
  • 民間非金融法人企業  422
  • 一般政府       154

等に行きます。

また、銀行等の証券400億円は、保険・年金基金、その他金融機関、中央銀行の証券と一緒に

  • 民間非金融法人企業  876
  • 一般政府      1121

に行きます。

もし、日本でインフレが進み、海外に逃避させれば、円売り・ドル買いの結果、円が安くなって、いっそうインフレが進みますし、首都直下型大地震や東南海地震が起きて、住宅、商業ビルディングの建設やインフラ復旧需要が起きれば、銀行預金は引き出されることになります。

そうなると、個人や民間非金融法事企業に対する貸しはがしが起きたり、証券が売却されて、株安、債券安等が発生します。

資金循環統計

資金循環統計とは、国内の金融機関、法人、家計といった各経済主体の金融資産・負債の残高や増減などを、預金や貸出といった金融商品ごとに記録した統計のことです。

資金循環統計は、(1)金融取引表(金融取引によって生じた、期中の資産・負債の増減額を記録)、(2)金融資産・負債残高表(取引の結果、期末時点で保有される資産・負債の残高を記録)、(3)調整表(金融資産・負債残高表と金融取引表の間の乖離額を記録)の3表からなります。

本統計を利用することにより、各経済主体の四半期末時点における金融資産残高等を把握することが可能です。例えば、「個人金融資産 1,900兆円」といった表現を耳にすることがあります。これは、資金循環統計の金融資産・負債残高表における、わが国の家計部門の資産残高(注)で確認することができます。

家計

家計は、消費・生産活動を行う小集団であり、雇用主、被用者、個人企業
(法人形態を採らないで事業を行う個人事業主〈農林漁業従事者を含〉)、財産・移転所得の受給者等が含まれている。なお、基礎データの制約から、「民間金融機関貸出」のうち「企業・政府等向け(負債)」や「企業間・貿易信用(資産)」など、一部を除いて家計の資産・負債から事業性のものを分離することは困難である。

現金・預金

現金・預金は、現金、日銀預け金、政府預金、流動性預金、定期性預金、譲渡性預金、外貨預金という内訳項目で構成されている。各項目には、わが国の現金や、国内の預金取扱機関(在日外銀支店を含む)に預けられた預金のほか、居住者が海外金融機関に預けた預金も含まれている。

現金

現金は、日本銀行券(紙幣)および貨幣である。当項目には、居住者・非居住者を問わず、経済主体が保有するわが国の現金が含まれており、その総額は、日本銀行券発行高と貨幣流通高を合計したものである。

[現金の発行主体]

現行の制度において、日本銀行券の発行主体は日本銀行であり、貨幣の発行主体は国である。しかし、資金循環統計においては、日本銀行券と貨幣を同等に扱うため、両者とも中央銀行が発行したものとみなし、同部門の負債に計上している。両者を同等に扱うのは、日本銀行券と貨幣が相互に互換性を持つためである。

日銀預け金

日銀預け金は、取引先金融機関から日本銀行へ預け入れられる当座預金である。

政府預金

政府預金は、国庫資金の受払い等を行うため、国が日本銀行に預け入れる預金である。これは、日本銀行に設けられる国の預金勘定であり、当座預金、別口預金、指定預金などが含まれている。

流動性預金

流動性預金は、預入期限に定めがなく、主に決済のために用いられる預金である。具体的には、預金取扱機関に預けられた当座預金、普通預金、貯蓄預金、通知預金、別段預金、納税準備預金が含まれている。
郵便振替については、当項目に計上される。

定期性預金

定期性預金は、払戻しに一定の制約があり、主に貯蓄のために用いられる預金である。具体的には、預金取扱機関に預けられた定期預金、定期積金のほか、居住者が海外金融機関に預けた円預金も含まれている。

譲渡性預金

譲渡性預金は、預金者が第三者に譲渡(指名債権譲渡)することができる預金である。ただし、国内金融機関(部門分類における預金取扱機関)の発行分が含まれており、海外金融機関(在日外銀を除く)の発行するものは含まれていない。

外貨預金

外貨預金は、外国通貨建ての預金である。具体的には、預金取扱機関に預けられた外貨建て当座預金、外貨建て普通預金、外貨建て通知預金、外貨建て別段預金、外貨建て定期預金のほか、居住者が海外金融機関に預けた外貨預金も含まれている。

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