財政破綻にまた一歩近づく 3

<昨日の続き>

このブログの最大のテーマの一つが財政破綻であり、今までいろいろな角度から取り上げてきました。最近、東洋経済ONLINEに、小幡 績 : 慶應義塾大学大学院准教授が載せた記事が、様々なテーマを扱っているので、それを題材に考えてみたいと思います。⇒は私のコメントです。

<昨日の記事に対する私のコメントから始めます>

⇒ 財政破綻はいつ起こるのでしょうか?

いくつか具体例を挙げてみましょう。

  • 国債が買われなくなり、債券価格が暴落した時
  • 首都直下型地震、東南海地震などで、財政支出、民間建設ラッシュになって高インフレになった時
  • 外国のヘッジファンドが日本国債、円、日本株式などを売り浴びせる
  • 資金の海外逃避が始まった時

日本のような先進国の場合、資金の海外逃避は起こらないという人がいますが、それは間違いです。

資産形成に敏感な人たちは既に海外に金融資産を移し始めています。

  • 日本銀行、財務省のOB達は退職金をドルに変換しているそうです
  • 「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 」の上位はほとんど外国株式のファンドが占めています
  • SBI証券、楽天証券の投信ランキングも外国株式投資が多くなっています

私の連れ合いも、勤めている会社の資産形成講習会で、アメリカのS&P500のファンドに投資することを勧められました。

資産形成に敏感な人は資金を海外に投資し始め、そうでない人は銀行預金のままにしているようです。

既に資産の海外逃避は始まっています。


借金残高が大きいとどうなる?
では、借金残高の大きさはまったく関係ないのか? 500兆円でも1200兆円でも関係ないのか?

借金の大きさには、2つの大きな影響がある。まず第1に、借金残高が大きいと「こいつ返せるのか、返す気あるのか」という疑念を持たれ、新たに貸してもらえなくなる。その意味では、GDP比で250%でも財政破綻しないのだから、300%でも400%でも大丈夫、60%程度で破綻したギリシャなどとは日本は根本的に違う、という議論は間違いだ。

つまり、日本がこれまで破綻しなかったのは、政府に金を貸してくれる人がいたからで、いまやそれが日銀しかいなくなりつつある、というのが問題であり、250%で破綻しないことは、今後破綻しないことを意味しない。何より、日銀に半分を買わせないといけないという現実は、まもなく破綻することを示している。

第2に、破綻した後の再生の困難さに大きく影響する。日本にとってはこれが最大の問題だ。

ギリシャと違って「自国通貨建てで、国内で借金をしているから大丈夫だ」というのは、厳しい国際金融市場ではない、馴れ合いのそして政府の影響力のある金融機関それと中央銀行が保有しているから、破綻がすぐには起こりにくい、という意味では正しい。

だが、それは逆に言えば、市場が鈍感であり、鈍感な投資家が保有している(鈍感に振舞うことを強制されているとも言えるが)ことを示しているのであり、破綻危機が近づいても、金利が上昇しない(国債価格が下落しない)という市場の警告機能がマヒしていることを意味する。だから、日本政府の破綻は突然起こるのである。

そして、破綻後、政府の財政再建が非常に困難になる。国内の資金は使いつくしている。個人の金融資産は銀行に預けられ、地域金融機関やあるいは半公的な金融機関、ゆうちょ銀行などに預けられている多くの部分は国債になっているから、返ってこない。国民の金融資産の実質価値は激減してしまうのであり、国債の返済は先送り(リスケ)されていつかは返済されるとしても、長期にわたり、インフレ分は目減りするし、何より、すでに老後を迎えている多くの国民は貯金が今必要なのに使えなくなってしまう。

開き直って、財政破綻、デフォルトした場合、過去の借金は水に流してもらって再建するのが政府破綻の場合が多い(実質ベースで半分程度返済される、つまり半分は棒引き)。

国内保有が多いほど、破綻したら大変な事態に
この場合、海外投資家が保有していれば、破綻の負担は海外に転嫁できるが、国内保有の場合は、すべて国内で負担しなければならない。つまり、夜逃げすらできないのである。自分の処理はすべて自分でしなければならないのである。これが、国債が国内保有だから大丈夫、という議論の最大のウソである。

むしろ、国内保有だからこそ、破綻したら本当に終わりであり、再起がほぼ不能になってしまうのである。そして、その額が莫大であれば、1200兆円であれば、1200兆円の負担を国内で負うことになり、2000兆円になってから破綻すれば、そのときの日本国民が2000兆円負担することになるのである。

だから、政府の借金の大きさは致命的に重要なのであり、ほぼ国内から借金をしていることは、日本政府の財政破綻リスクにおいて、もっとも致命的なリスクなのである。


⇒ 鹿威し理論(ししおどしりろん)

鹿威しは、水がたまると重心が前にきて竹筒が傾き、中の水が吐かれて勢いよくもどった時に、竹筒の尻が後ろの石の頭に当たって音を発する仕掛けです。一定量までは水を溜めていて、変化が起こっているようには見えませんが、限界量に達するとすべての水が外に出ていきます。

昨日まで生きていたから明日も生きているとはならない

第一生命経済研究所の永濱 利廣首席エコノミストは、最近出演したテレビ番組で、「私がエコノミストの仕事を始めて25年経ち、その頃から財政は破綻すると言われていたが、起こらなかった」と言いましたが、今はまだ竹筒に水が溜まっている途中です。

竹筒に貯まる水の量が少なければ、その後のショックも小さくて済みますが、たくさん溜まれば溜まるほどショックも大きくなります。

ドイツと日本の違い

ドイツは、ハイパーインフレに関して敏感で、財政破綻を起こさないように努力しています。ところが日本は、戦後2万%のインフレを経験したにもかかわらず、そのことを覚えている人はどんどん減っています。その違いが生まれる原因の一つは、次の写真です。日本人はこの写真を他人事としか受け止めていないようです。

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