長期投資に適している投資家

バンガードのファンドが適している投資家について、バンガード社は以下のように説明しています。


中程度~積極的なファンドに関連するリスク

中程度~積極型に分類されるバンガードのファンドは、株価が大きく変動する可能性があります。これは、実質的にすべての資産を普通株式で保有しているために起こるものです。一般的に、このようなファンドは、以下のような投資家に適しています。

  • 長期投資(10年以上)の視野を持っている。
  • 第一の目標として、資本の成長を求めている。
  • 株式市場で起こりうる株価の下落に耐える覚悟がある。
  • 株価の変動は、普通株式が提供し得る潜在的な高リターンと引き換えのものです。このカテゴリのファンドが生み出す経常利益の水準は、中程度から非常に低いものまであります。

これについて、考えてみます。

長期投資(10年以上)の視野を持っている。

投資家には大きく分けて、長期投資の人と短期投資の人がいます。NISAの場合、長期投資の代表格はつみたてNISAであり、短期投資の代表格は一般NISAの一部でしょう。私と連れ合いは、2018年につみたてNISAを始めて以来、一度も引き出したことがありませんし、今後20年間引き出すつもりはありません。一方で、私は2015年から一般NISAを始めましたが、生活費を補充するために引き出してしまいました。なお、連れ合いは満期まで保有しました。

投資家の周りの情報源についても、長期投資と短期投資があります。新聞、テレビ、ラジオ、インターネットの株式相場は基本的に短期投資です。長期投資は、このようなメディアにとって儲からない分野です。極めつけは、ネット証券の低コストインデックスファンドです。信託報酬等のコストは0.1%しかかかりませんから、証券会社にとってもメディアにとって儲からないのです。一方で、証券会社店頭のアクティブファンドや個別株式は2~3%の収入がありますから儲かるのです。

デイトレーダーで、数億、数十億円儲けたという話がありますが、そういう人は例外中の例外だと思った方が良いでしょう。10年、数十年かけて、ほぼ確実に数倍、数十倍に資産を増やせるのが長期投資であり、1年以内に一か八かのギャンブルをするのが短期投資です。

第一の目標として、資本の成長を求めている。

アメリカの株式市場は、過去30年間、年率平均利回り10%で推移しきました。この結果、例えばSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)を持っていれば16倍に資産が増えたことになります。一方で、短期投資だと、極端な場合には、今日買って明日売ることになりますから、資本成長の恩恵は受けられず、ギャンブルとなってしまいます。一攫千金を狙うギャンブラーを否定するつもりはありませんから、それぞれの判断で投資をすればよいと思いますが、私は長期投資を選択します。そして、仕事に忙しい娘や息子には、つみたてNISA、投信積立による長期投資を勧めています。ただし、人によっては、9割を長期投資にして、1割を中期投資にして趣味を楽しみたいというのも、長期、短期の両方を楽しむ一つの方法かもしれません。私は、投資する業界や個別の会社を調べるよりは、他のことに時間を使いたいので個別投資はしません。

株式市場で起こりうる株価の下落に耐える覚悟がある。

これは、人によってはかなりむずかしいかもしれません。私の連れ合いは、2007年に、1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))とSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)を合計で1000万円買い、2008年にリーマンショックに遭遇しました。株価がどんどん下がっている時に、「今売って、もっと下がったら買い直すのが良い」と連れ合いは何度も言いましたが、私はそのたびに「それでうまく行くなら、世界中の株式投資家は大金持ちになる。何もしないで放っておけば、回復する。」と繰り返し説得しました。

2014年には元値を回復し、その後、数年停滞した後に40%の利益を得ました。しかし2020年3月の新型コロナショックでは、その利益が吹き飛び、再び「今売って、もっと下がったら買い直すのが良い」を言い始めました。その時も、売らずに持ち続けた結果、現在では60%の利益を手にしています。

バイ・アンド・ホールドBuy And Holdが重要だという話は良く聞きますが、株価が下落した時にホールドを続けるのはとても難しいことです。

しかし、私の周りを見るともっと難しいのが、バイ、つまり、買うことではないかと思います。アメリカの過去30年間、60年間、200年間の株式相場を見る限り、アメリカ株に投資した方が良さそうだということは分かるのですが、ほとんどの日本人はアメリカ株に投資しません。私の親戚や友人にそれを教えても、実際に買った人はいません。

株価の変動は、普通株式が提供し得る潜在的な高リターンと引き換えのものです。

投資に、必ず儲かる商品はありません。元本を保証してくれるのは銀行の普通預金1000万円だけです。ただし、ペイオフ制度は、小規模な銀行数行しかカバーできないのではないかという話もあり、絶対確実かどうかは不透明かも知れません。

一方、アメリカの株式相場は、翌年に4分の1の確率で下落しますので、8%程度のプレミアムが付いています。投資が長期になるほど下落の確率は小さくなりますので、長期投資の利点を生かしたいものです。

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