住民税で損をしないために

住民税税額決定通知書が届きました。久しぶりに、住民税の勉強をしましょう。

DIAMOND online2023.6.13の記事で確認します。


6月は“住民税”を絶対チェック!「控除」を見逃さず得する確認方法とは?

6月は住民税が変わるタイミングです。会社や自治体から住民税の通知を受け取りましたよね。住民税を確認する際には、必ず「控除」を確認してください。住民税や控除の仕組みを理解していれば、公共サービスの負担を軽減できることもあります。この機会に住民税の仕組みや、チェックすべき「控除」を確認しましょう。

そもそも住民税とは…

そもそも住民税とはどういった仕組みの税なのでしょうか。

住民税は地方税のひとつで、1月1日に住所がある都道府県・市町村に納付します(所得税は国税で国に納めます)。住民税の税率は、「ざっくり収入の10%程度」と理解している人も多いかもしれません。

その通り。正解です。正確には、「所得の10%」+「5000円(2023年)」となります。

より具体的に見てみましょう。

住民税には、「所得割」と「均等割」の2つがあります。

6月は“住民税”を絶対チェック!「控除」を見逃さず得する確認方法とは?

所得割」は、都道府県に納める「道府県民税・都民税」が4%、市区町村に納める「区市町村民税」が6%で、計10%となっています。住民税は、主に教育、福祉、救急、ゴミ処理などのサービスを提供するために使用されます。こうしたサービスにかかる費用は、その地域に住む住民が負担する必要があるという考えから、「一律10%」の税金が課されています。

均等割」は、収入にかかわらず、住民税の課税対象となる人に一律で割り当てられる税額です。いわば「その地域に住むための会費」のようなものですね。2023年度は多くの自治体で5000円となっています。

この「所得割」と「均等割」を合算した額を、市区町村に納税することになります。

さて、そんな住民税ですが、その税額が決まるのは「6月」です。なぜ6月なのか、どうやって計算されているのか、わかっていない人もいるのではないでしょうか。順を追って説明しましょう。

なぜ6月に住民税の通知が来る?

住民税は「遅れて」決まるから住民税の税額が決まるのは「6月」です。

なぜ6月なのかというと、住民税は前年の所得を基に計算されるからです。前年の所得は、2~3月半ばに行われた確定申告で判明します。それを4~5月にかけて確認し、必要な手続きを行うため、結果的に6月になるのですね。

6月は“住民税”を絶対チェック!「控除」を見逃さず得する確認方法とは?

図表2 住民税は遅れて課税される

社会人になって、入社2年目の6月に手取りが減った…そんな記憶がある方もいるかもしれません。これは、住民税が前年の所得を基に計算され、6月から天引きがはじまったからです。「収入が上がると翌年の住民税も上がる…」と覚えておきましょう。

反対に、収入が下がった場合にも注意が必要です。

たとえば、転職や退職などで収入が減っていても、6月には「前年の所得を基に計算された税額」を支払うため、負担が大きくなりがちです。収入が減ると予想できる場合は、転職・退職の段階で、翌年の住民税を考慮してお金を別途確保しておくことをおすすめします。

住民税はどうやって算出する?
誰でもできる計算

住民税の計算方法も見ておきましょう。

6月は“住民税”を絶対チェック!「控除」を見逃さず得する確認方法とは?

図表3 住民税の計算方法

住民税は、収入「全て」に対して課税されるわけではありません。

納税者の経済事情や扶養している家族の人数などに応じて、一定の「所得控除」を引いて計算されます。その金額に税率を乗じ、適用できる「税額控除」があれば、さらにそこから税額が差し引かれます。

つまり、所得控除や税額控除によって、税負担は軽くなるということです。控除できるものは漏れなく控除しておきたいところです。

税負担を軽くしたい!控除できるものは?

住民税の控除の主だったものを、いくつかピックアップしました。まず、住民税における所得控除がこちらです。

6月は“住民税”を絶対チェック!「控除」を見逃さず得する確認方法とは?図表4 住民税における所得控除 抜粋 (※所得税の所得控除と控除額は異なります)

また、住民税における税額控除がこちらです。

6月は“住民税”を絶対チェック!「控除」を見逃さず得する確認方法とは?図表5 住民税における税額控除 抜粋

ここでチェックしていたただきたいのが、所得控除と税額控除の違いです。

図表3のように、「所得控除」は「所得金額から一定額を差し引く」制度。課税される所得が少なくなるイメージです。

一方の「税額控除」は「税額から直接一定額を差し引く」制度です。直接税額が差し引かれるため、税額控除は節税効果が大きくなるケースが多いです。

所得控除は、医療費控除や社会保険料控除、生命保険料控除など15種類(図表4)あり、それぞれ差し引ける金額は異なります。フリーランス・個人事業主などは自身で申告をしますが、会社員であれば、年末調整の際に申告すれば、ほとんどの控除を勤め先が計算してくれます。

しかし、自分で手続きをしなくてはならない控除もあります。たとえば、医療費控除、寄付金控除、雑損控除などは自分で確定申告する必要があります。該当するものがありそうな場合・不明な点がある場合は、年末調整の際に人事の方に相談しても良いですね。

税額控除(図表5)も原則として自分で申告する必要があります。

控除されているか「通知書」で確認できる
ふるさと納税やiDeCoの注意点

こうした控除は、各通知書で確認できます。

会社員(給与所得者)であれば、5月頃に勤め先から「給与所得等に係る市町村税・道府県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」を受け取っているはずです。フリーランス・自営業者などの場合は自治体から「住民税決定通知書」が届きます。

通知書を受け取ったら、所得控除は確実に反映されているか、税額控除が適用される人は、その額が合っているかチェックしておきしょう。

たとえば、「ふるさと納税」は「寄付金控除」に該当しますので、「所得控除欄」あるいは「摘要欄」に記載されているはずです。

確定申告をしなくても寄付金控除が受けられる「ワンストップ特例制度」を利用している場合は、「実際のふるさと納税額-2000円」の金額の記載があるかを確認してください

また、iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している人も増えています。

iDeCoの掛け金は、その全額が所得控除されます。iDeCoは「小規模企業共済等掛金控除」に該当しますのでチェックしておきましょう。前年の通知書が手元にある人は、見比べてみても良いですね。控除によって住民税がどのくらい減ったか、その節税効果を確認できます。

住民税を基に支払い負担が変わるサービスあり

控除といっても数千円の違い…申告するのは面倒だなあ…と迷っている方もいるかもしれません。しかし、各種の公共サービスを受ける際、住民税額によってその負担が変わることがあります。

6月は“住民税”を絶対チェック!「控除」を見逃さず得する確認方法とは?図表6 住民税によって変わる公共サービス

たとえば、0~2歳の保育施設の保育料は「税額控除前の所得割」に応じて算出されます。東京都千代田区の場合、専業主婦(夫)世帯で子ども2人がいずれも15歳未満の世帯では、年収約600万円の世帯の保育料は月2万9200円。年収約800万円では月4万3400円。年収約1000万円では5万3700円…と、保育料が大きく変わってきます。

その他にも、70歳以上の人は、住民税が非課税かどうかで、病院の「外来診療」の自己負担限度額が1万円以上変わってしまいます。

このように「住民税をいくら支払っているか」によって、公共サービスの負担が変わることもあります。一手間かかるものの、控除できるものは確実に申請しておく、通知書が届いたらその内容をしっかり確認しておくことをおすすめします。

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